恋愛ショートショート

あの人って今何してるんだろう・・・。ふと思い出す元夫の面影

「あの人はどこにいるんだろう？」
恵実子は心の中でつぶやいた。
彼女は新しい夫の昭彦と一緒に大学の同窓会に参加していたが、元夫の直行が気になって仕方がなかった。

直行との離婚から数年が経ち、恵実子は昭彦と再婚し幸せな日々を送っていた。
しかし、同窓会で直行と再び出会ったことで、彼に対する思いが再燃してしまったのだ。

「直行さん、僕もここにいますよ！」
昭彦が恵実子の手を握りながら言った。
彼の優しい声に、少し安心した恵実子は微笑んだ。

同窓会の会場はレストランの一室で、懐かしい友人たちが集まっていた。
恵実子は昔話に花を咲かせながら、時折直行の姿を探していた。

「そういえば、直行さんって最近どうしてるんだろうね？」
友人の一人が話題を振った。恵実子は心の中でドキッとしたが、冷静を装いながら答えた。

「うーん、最近は連絡が取れていないから、よくわからないんだよね。」

その言葉を聞いた昭彦が微笑んで言った。
「気になるなら、連絡を取ってみるのはどうだろう？」

恵実子は考え込んだ。直行とは別れたはずなのに、なぜ彼のことが忘れられないのだろう？
彼との思い出が今も心の奥に残っているのかもしれない。

「そうだね、連絡を取ってみるのもいいかもしれない。」

直行の連絡先を知る方法はたくさんある。
共通の友人や元夫の親戚に聞く、インターネットで検索するなど様々な手段がある。
しかし、恵実子はどうしても直行に直接連絡を取りたいと思った。

「直行さんのこと、ちょっと話がしたいんだけど…」
恵実子は昭彦に頼んで直行の連絡先を教えてもらい、勇気を振り絞って彼にメッセージを送った。

数日後、直行から返信が来た。
「久しぶりだね、元気にしているかな？会って話したいと思うけど、いつが都合がいい？」

恵実子は嬉しさと不安が入り混じる気持ちで返信した。
「会うのは嬉しいけど、今の私の状況を理解してもらえるかな？」

直行からの返信はすぐに来た。
「わかってるよ。君が幸せでいることが一番だから、焦らずゆっくり話そう。」

恵実子はほっとした。直行と再会することで、自分の心の整理がつくかもしれないと思った。

数週間後、恵実子と直行はカフェで再会した。
初めは緊張していたが、話が進むにつれて自然な笑顔が戻ってきた。

「昔のことを思い出すと、なんだか懐かしいね。」
直行が小さな声でつぶやいた。

恵実子も微笑みながら答えた。
「そうだね、あの頃は本当に楽しかったよ。でも、私は今、昭彦と幸せな結婚生活を送っているんだ。」

直行は少し寂しそうな表情を浮かべながら言った。
「そうか、それは良かった。君が幸せでいることが一番だから。」

二人の会話は穏やかに続いた。直行との再会は、恵実子にとって心の整理をする良い機会となった。

「また会えたらいいね。」
直行がそう言って立ち上がった。

「はい、ぜひ。ありがとう、直行さん。」
恵実子は感謝の気持ちで頭を下げた。

直行は微笑んで去っていった。
恵実子は彼の背中を見送りながら、新しい夫の昭彦の手を取った。

「ありがとう、昭彦。あなたとの結婚生活が私の幸せだよ。」

昭彦は優しく微笑みながら言った。
「僕も、君との結婚生活が一番の幸せだよ。」

恵実子と昭彦は幸せな笑顔で互いの手を握り締めた。
過去の思い出が心の奥に残っていても、彼らは今を大切に生きていく決意をしたのだった。