初恋は先生。

泉 芳子

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第1章

返答

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宮本彩音です

映画楽しみだね!(≧▽≦)


と渡辺君にメールを送り

 
直ぐにお風呂に入って寝てしまった



チロリロリーン♪

土曜日の朝から誰だ…

重い体を起こしスマホを見た

渡辺君からだった


宮本!昨日連絡ありがとな!

今日良かったらうちで勉強しないか?

再来週からテストあるし

俺勉強教えるの上手いし!



とメールが来ていた。

 
勉強嫌だと思いながらもテストのためだと思い行こうと決めた


勉強教えてくれるの助かるよ!

ありがとうね(≧▽≦)

10時頃に渡辺君のお家に行くね!


と返信した


まだ8時半だしもう少しだけ寝ようと思った

少し寝て起きて時計を見たら9時50分だった…


一気に目が覚めた!

やばい!急いで準備しないと!

家から渡辺君の家まではちょうど10分くらい飛ばせば5分で着くはずと思い外に出た

そしたら外には渡辺君が迎えに来てくれていた

「おはよう!」と声をかけてきた

私も「おはよ」と返して

「なんで迎えに来てくれたの?」と聞いた

「だって、宮本俺の家知らないだろ?」と言われ確かに知らないと思った

渡辺君家に着き、猫が出迎えてくれた

すごくふわふわで可愛かった

勉強を始めて全然分からなかったのが渡辺君が説明してくれたら直ぐに分かるようになった

やっぱり勉強できる人は違うな…

普段は私が美奈に教える係だから今度は渡辺君に頼もうと思った

お昼になり渡辺君のお母さんがオムライスを作ってくれた

オムライスは私の大好物!

渡辺君は昨日の内に美奈に私の大好物を聞いてくれていたようだ

美味し過ぎてほっぺがとろけそうになった

「宮本顔やばいぞ?」と渡辺君に言われ

我に返った

恥ずかしくてすぐにうつむいた

「俺はどんな宮本でも好きだからいいよ!
幸せそうに食べる姿見れて嬉しいし!」
と笑いながら言った

普段はツンツンしてる癖に笑顔だけは可愛い

「あ!それに宮本じゃなくて彩音って呼びたんだけどいいか?」と言ってきた

私は彩音の方が呼ばれ慣れてるし「いいよ」と言った

午後も勉強を続け気づいたら夕方になった

「もう帰らないと!」と私は言った

渡辺君は「家まで送るよ」と言ってくれた

「大丈夫大丈夫!帰り道くらいわかるよ!」と言って

昨日借りたタオルを返して立った時


ギュッ

渡辺君に後ろから抱き締められた

でも、昨日とは違って優しかった

渡辺君は耳元で
「今日来てくれたお礼ね!」と言って家まで送ってくれた


週明け学校に行ったら大騒ぎ

私と渡辺君がお家デートをしてその時に付き合った事になっていた

私が教室に入った瞬間美奈が飛んで私の所まで来た

「どういう事?!渡辺と付き合ったの?先生はもういいの!?」と凄い剣幕で言ってきた

「いや、どうにもこうにも私は渡辺君と付き合ってないし先生諦めてない!」と言った


「彩音おはよ」ニコッ

渡辺君は朝から機嫌が良く私に笑顔で挨拶してきた

クラスのみんなが一瞬で私を見て同じ事を思った

渡辺が宮本を彩音と呼んだ!付き合ったのは事実だ!…と。


この噂は渡辺君が先生に対抗するために流したデマだった

クラスのみんなはそんな事は知らず、その話題で持ちきりだ
渡辺君は私を下の名前で呼ぶしみんなの視線がすごく痛かった
 

授業も終わり放課後になった

美術室に先生の答えを聞きに言った

先生は今日も外をながめていた

雨は降ってないけど曇り空



僕の心には大雨警報が出されてるよ

はぁ…宮本さん本当に渡辺君と付き合ったのかな?

僕の事好きって言ったのに

やっぱり同級生の方がいいのかな

僕だって先生じゃなかったら…



ガラッ

ドアを開けた

私は先生に話かけた

「先生の答え聞きに来たよ」と笑顔で言った

先生は不機嫌なのか

こっちを1度も見ずに静かに言った

「渡辺君と付き合ったんだろ?
何で僕に答えなんか聞きに来たの?」

先生にまで噂が流れたのか…

私は焦って説明した

「渡辺君とは付き合っていません
好きなのは先生だけです
私と渡辺君が付き合ったって言うのは嘘の噂で渡辺君が流したものです」と言った


僕は嘘だというのは頭ではわかっていた

でも、宮本さんが渡辺君と2人でお家で遊んだ事を生徒に聞いてそれを考えると何も無かったにしろ
胸を引き裂かれるように心が痛かった

「でも、渡辺君の家に遊びにはいったんだろ?」と先生は言った

私はいくら勉強のためでも家に遊びに行ったのは本当だし何も言えなかった

「本当にお家に行ったんだね
二人っきりで楽したかった?」と強く先生が言った


僕は本当はそんな事言いたいわけじゃない

宮本さんを傷付けず断りたいだけなんだ

でも、心が言う事を聞かない


私はびっくりした

いつもの先生じゃない、怖い。

私は「ごめんなさい、でも先生が好き」と言った


「そんな無理に言わなくていいよ
好きは僕じゃなくて渡辺君に言いなよ
大人をからかうのは辞めようね
僕に好きだと言って宮本さんは渡辺君とお家で二人っきりで遊んだんだよ?
僕の事は遊びだったんだよね?
人の心をもてあそぶのは楽しい?」と言われた 

なんて事言っているんだ僕は…

渡辺君に嫉妬しているのを宮本さんに八つ当たりしてしまった

自分が許せない


私は「先生の事大好きなのは本当の事です
2人で遊んだ事は謝ります
先生の事遊びだと思った事ありません」と必死に訴えた


先生は「もういいよ
宮本さんの事良く分かったから
明日からはただの教師と生徒
放課後美術室にも来ないでね」ときつい口調で言った

僕はまるで駄々をこねる子供だ

自分の思い通りに行かないからといって逃げた

先生としても男としてもダメな奴だ…



先生は美術室から出て行ってしまった


私はその場で座り込み泣いてしまった

1時間以上美術室で倒れ込んで泣いて居た

心配して美奈と渡辺君が迎えに来てくれた

2人は私を見てびっくりして「彩音大丈夫?」と言ってくれた

私は泣き過ぎて目が腫れて泣きながら2人に先生との事を話した

「は?先生がまじでそんな事言ったの?
意味わかんない!」と美奈が怒ってしまった

渡辺君は「彩音ごめん、俺のせいだ」と言って深く頭を下げ謝ってきた

私は「渡辺君のせいじゃないよ、大丈夫だから顔を上げて?」
「美奈もちょっと落ち着いて!」と言った


「私が悪いんだよ
先生を傷付けて本当に最低だよ」と自分に言い聞かせるように言った

美奈と渡辺君が私を抱き締めてくれた

強くて苦しいけど今はその苦しさから2人の優しさが伝わってきた


2人に言った
「私、先生の事諦めるよ
これ以上先生を傷付けたくないし迷惑かけたくないから」

本当はこれ以上先生に嫌われるのが怖かった


2人はうなずいてくれた

2人に抱えられながらふらふらになって玄関まで向かった

その途中に職員室があり、先生が居た

目があった気がした




そんな事があってから数週間経った…


先生とは全く話す事も無く目も合わせずに居た


照りつける太陽

気づいたらすっかり梅雨明けし夏になった


渡辺君のおかげで私も美奈もテストバッチリで気持ち良く期末テスト期間を終われた


終業式も終わり


 


夏休みが来たー。




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