女(聖女)だからって受けって誰が決めたの!?R18

りこりー

文字の大きさ
14 / 22
第二章

今は何も考えたくない

しおりを挟む
 二人でお披露目の為の夜会を抜け出して、あのアホ王子の事や王様の事を考えると頭が痛いがアホ王子と居るとこっちまで頭がおかしくなりそうだった。ジークフリートを何故連れて来てしまったのかは分からないが、手を握り強制的に連れて来てしまった。夜会の会場を少し離れた所で冷静になってジークフリート手を離した。

「あ、ごめんなさい。思わず…」

「い、いや…」

 気まずい雰囲気が辺りを漂う。まだ少し冷たい風に一瞬身震いすると気が付いたジークフリートが自分の鎧の上に羽織っていたマントをいのりにかけてあげる。少し長い裾に苦笑いを浮かべたが、ありがとうと言ういのりにジークフリートは嬉しくなった。

「ジーク様っ!!」

「レイラ嬢…?」

 薄暗い闇世の中から似つかわしくないピンクのドレスの裾を持ちながら可愛らしい少女が現れる。ジークフリートは知り合いなのだろう。その女の子はレイラというらしい。息を切らして走ってきたレイラは、ジークフリートの腕に抱き着いて満面の可愛らしい笑顔を見せた。

「ちょっ…レイラ嬢、やめてくれっ」

「このお方は…?」

 じっとこっちを見てきている瞳には明らかに敵意が向けられていて、いのりは少し胸がズキンと痛んだ。離そうとしているジークフリートを軽くいなして絶対離れないという意志が見受けられる。

「聖女のイノリ・ヒナタです」

 もう面倒になって自分から自己紹介をする。すると、プッとレイラがまるで馬鹿にしたように嘲笑いだした。

「え?やだー。レイラは公爵令嬢。身上の人間から自己紹介するのが普通ですよ?そんなマナーも分からないのです~?」

 イチイチ語尾を伸ばすなといつもなら言い返しているが、ここは異世界。やっぱりこんな夜会なんて来るんじゃなかった。

「彼女は聖女。国王陛下と同等と扱う様にと貴族には通達が来ているはずだが…?」

「え…?レイラ、そんなことお父様から聞いてません!」

「わざわざ言わなくても分かるようなことだから言わなかったんじゃないのか?」

 冷たく言い放つジークフリートに一瞬怯んだレイラ。今だとジークフリートは自分の腕とレイラの腕を離す。明らかにジークフリートは嫌悪感を示しているが、レイラは熱っぽい視線を向ける。

「そんなことより!婚約者の私を放置するのは仕事だからと納得してましたが…聖女様と一緒にいるのはどうかと思いますわ!」

「え…貴方も婚約者が…?」

「いや、ちがっ!お、俺には」

「あたし、婚約者の蔑ろにする男は嫌だとさっきの話聞いてませんでしたか?」

「違うっ!」

「どうでもいいです。レイラさんについてあげてください。ラッシェル令息様」

 無性に腹が立ったいのりは、何か言いかけているジークフリートに借りたマントを叩きつけ、ニヤニヤしているレイラを二人に別れを告げて、自分の仮住まいになっている神殿へ帰った。

 正直腹が立ちすぎて馬車を操る御者を脅すようにして帰ってきたような帰ってこなかったような気がするが、今は何も考えたくない。

「比呂!」

「あら?あんた夜会は…?」

 いのりの服を作りながら呆気にとられた見慣れた顔に思わず涙腺が崩壊した。思いっきり泣いたあと、説明するいのりの話を優しい目で見ながら背中をさすり聞いてくれた。しかし、聞いているうちに眉間の皺が深く刻まれていく。


「はぁぁああああああ!?あんのクソ王子!どういうつもりよ!」

「ははっ…比呂以外の自分の周囲の男は最低な奴ってことが分かった」

「でもさー、ラッシェル令息だっけ?あんたが処置してやった男」

「いやー、完全には治ってないから治療したというか、勝手に手を出したというか…」

「遠目で見ただけだけだからなんとも言えないけど、誠実そうだったけど。それにあの顔、あんたのどストライクじゃない」

「もう!顔だけ男なんて嫌!比呂の言葉は信じない。あの王子だってクソだったもの」


 確かにねと苦笑いした比呂に抱きしめられたら落ち着いたはずなのにまたじんわりと涙が視界に入ってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

聖女を解雇された私のハーレム奮闘記

小村辰馬
恋愛
聖女として召喚されて3年が経過したある日、国の邪気は根絶されたので、城から出ていくように告げられた。 ついでに新たな命として、隣国の王子の妃候補として、住み込みで入城するよう言い渡される。 元の世界へ帰ることもできず、かと言って働きたくもない。というか、王宮で散々自堕落を繰り返していたので今更働くのとか無理! だったら入ってやろうじゃないのハーレムへ! 働くことが嫌いな怠惰な主人公が、お付きの騎士と一緒に他国の女の園で頑張ったり頑張らなかったりするお話。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず
恋愛
ある日、ユウとチカの姉妹が乙女ゲームの世界に聖女様として召喚された。 好きなゲームの世界に入れたと喜ぶ妹のチカ。 本来、聖女様として召喚されるのだったの一人。どちらかが死に、召喚された。 妹のことが大切な姉のユウは、妹がこの世界にいたいのならば私が偽物となってこの世界から消えようと決意する。 *乙女ゲーマーによる小説です。乙女ゲーになろう設定混ぜ込んでみました。 *乙女ゲーによくある設定(共通ルートやバッドエンドなどのよくある設定)の説明があります。分かりにくかったらすみません。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...