48 / 107
Folge 48 寝落ち
しおりを挟む
今日のベッドは硬いな。
その前に、変な寝方をしているぞ。
ああそうか、勉強していてキリがついた所で寝落ちしたのか。
終わったと呟いた所までは覚えているけどその先はさっぱり。
どうも机に頭を落とした後で意識が飛んだようだ。
首が痛い。
タコの吸盤みたいに机にくっついている耳も痛い。
ヨダレは……大丈夫そうだ。
今は何時だ?
じかん、じかん――四時十分。
また中途半端な時間だこと。
でもまた寝るのは怖いな。
あいつらが起こしてくれるはずだけど。
せっかくだから少し進めるか。
テスト期間までは一週間ある。
しかし全教科一から目を通さなきゃならない状況。
少しでも頭に詰め込まないと間に合わない。
これが嫌で授業はしっかり受けていたのに。
女の子にドキドキしていただけなんて、我ながら情けない。
ん? ――あ。
いつも情けないやつだった。
「ええい、勉強するんだ、勉強を!」
嫌な事はスルーするんだ。
あ、ダジャレになった、いやそんなわけないから。
――寝起きは変な事を思いつくな。
「喉乾いた」
「そこにあるよ。ボク、一口飲んじゃったけど」
「ああ、そんなの構わないよ。ありがと」
シンプルに麦茶。
もう夏だねえ。
カラッカラの喉にはお茶の方が助かる。
「うめえ。染みるわあ」
「んふふ。お酒みたい」
……あれ?
オレ、一人じゃなかったっけ。
「可愛い寝顔だったなあ。サダメ、好き」
「咲乃? いつからいたんだよ」
「ゴトって音が聞こえたから、飲み物もって様子を見に来て――」
机に両肘をついて頬杖にしながら、軽く横目で話をする。
「お邪魔したら寝てたの。それからずっと寝顔見てたんだ」
「それ、可愛いな」
「ん? どれ?」
寝起きなのもあって、口が緩い。
思ったことをそのまま口に出してしまう。
「そのポーズ。結構好きかも」
頭撫でちゃう。
猫みたいに目を閉じてにっと笑みを見せてくる。
「そういうことサダメの方から言ってくれるようになって、嬉しいな」
「言うとマズイ関係でも無くなったからかな。素直に言えるようになった気がする」
「そう、なの?」
「それとも寝ぼけているからってのとどっちがいい?」
頬杖を崩し、片腕をオレに伸ばしている。
そして細い指が腕を掴んできた。
「前者。もっとボクに気持ちを伝えてよ。ボクからばかりだったんだからさ」
「お前が一方的にオレの中に入り込んできたんだろ? 耐性無いから大変だった」
「もう平気でしょ」
「……不思議と平気になってる」
「頑張った甲斐があったなあ。ボクは言葉で伝えられなくて、でも伝えたくて」
掴んだ腕を引っ張られるのかと思ったら、彼女がスゥっと寄ってきた。
上目遣いで目線を合わせてくる。
こっちもロックオン。
明け方の空気感が雰囲気を演出しちゃって。
これ以上コイツを可愛くするなよ――。
「必死だったんだ。でもサダメは全部受け止め続けてくれた」
「気持ちは伝わっていたよ。とても分かり易かった」
「そうなの? ……必死にすること無かったかな」
「いや、妹で慣れているからさ。考える暇も無いぐらい畳みかけてくれたからだよ」
極自然に二人の唇は重なった。
こんなムードでするのもいいな、癖になりそう。
その上、咲乃がいつもより綺麗に見えて。
なんだよこれ、最高じゃないか。
「サダメ、好きだよ。やっぱり好き。ボクのになってよ」
「簡単に、はいそうですってわけにはいかないよ」
気づけば互いの指を絡ませて両手をがっちり握り合っている。
「あの、さ。さく……」
何か言おうとすると、音が鳴るシステムは何とかならないか。
「サダメ? まだ勉強しているの? 寝るのも大事よ」
カルラか。
もう起きたのかな。
そういや時間は――
「五時半か。もう朝の準備をしてもいいぐらいだ」
「そうかもね、んふふ。何を言おうとしたの?」
「ああ、それは……また今度」
「んもぉ、ケチ」
おでこをツンと指先で押された。
テスト勉強せずに何をしているんだ。
はい、イチャついているんです。
寝落ちするのも、いいものですね。
その前に、変な寝方をしているぞ。
ああそうか、勉強していてキリがついた所で寝落ちしたのか。
終わったと呟いた所までは覚えているけどその先はさっぱり。
どうも机に頭を落とした後で意識が飛んだようだ。
首が痛い。
タコの吸盤みたいに机にくっついている耳も痛い。
ヨダレは……大丈夫そうだ。
今は何時だ?
じかん、じかん――四時十分。
また中途半端な時間だこと。
でもまた寝るのは怖いな。
あいつらが起こしてくれるはずだけど。
せっかくだから少し進めるか。
テスト期間までは一週間ある。
しかし全教科一から目を通さなきゃならない状況。
少しでも頭に詰め込まないと間に合わない。
これが嫌で授業はしっかり受けていたのに。
女の子にドキドキしていただけなんて、我ながら情けない。
ん? ――あ。
いつも情けないやつだった。
「ええい、勉強するんだ、勉強を!」
嫌な事はスルーするんだ。
あ、ダジャレになった、いやそんなわけないから。
――寝起きは変な事を思いつくな。
「喉乾いた」
「そこにあるよ。ボク、一口飲んじゃったけど」
「ああ、そんなの構わないよ。ありがと」
シンプルに麦茶。
もう夏だねえ。
カラッカラの喉にはお茶の方が助かる。
「うめえ。染みるわあ」
「んふふ。お酒みたい」
……あれ?
オレ、一人じゃなかったっけ。
「可愛い寝顔だったなあ。サダメ、好き」
「咲乃? いつからいたんだよ」
「ゴトって音が聞こえたから、飲み物もって様子を見に来て――」
机に両肘をついて頬杖にしながら、軽く横目で話をする。
「お邪魔したら寝てたの。それからずっと寝顔見てたんだ」
「それ、可愛いな」
「ん? どれ?」
寝起きなのもあって、口が緩い。
思ったことをそのまま口に出してしまう。
「そのポーズ。結構好きかも」
頭撫でちゃう。
猫みたいに目を閉じてにっと笑みを見せてくる。
「そういうことサダメの方から言ってくれるようになって、嬉しいな」
「言うとマズイ関係でも無くなったからかな。素直に言えるようになった気がする」
「そう、なの?」
「それとも寝ぼけているからってのとどっちがいい?」
頬杖を崩し、片腕をオレに伸ばしている。
そして細い指が腕を掴んできた。
「前者。もっとボクに気持ちを伝えてよ。ボクからばかりだったんだからさ」
「お前が一方的にオレの中に入り込んできたんだろ? 耐性無いから大変だった」
「もう平気でしょ」
「……不思議と平気になってる」
「頑張った甲斐があったなあ。ボクは言葉で伝えられなくて、でも伝えたくて」
掴んだ腕を引っ張られるのかと思ったら、彼女がスゥっと寄ってきた。
上目遣いで目線を合わせてくる。
こっちもロックオン。
明け方の空気感が雰囲気を演出しちゃって。
これ以上コイツを可愛くするなよ――。
「必死だったんだ。でもサダメは全部受け止め続けてくれた」
「気持ちは伝わっていたよ。とても分かり易かった」
「そうなの? ……必死にすること無かったかな」
「いや、妹で慣れているからさ。考える暇も無いぐらい畳みかけてくれたからだよ」
極自然に二人の唇は重なった。
こんなムードでするのもいいな、癖になりそう。
その上、咲乃がいつもより綺麗に見えて。
なんだよこれ、最高じゃないか。
「サダメ、好きだよ。やっぱり好き。ボクのになってよ」
「簡単に、はいそうですってわけにはいかないよ」
気づけば互いの指を絡ませて両手をがっちり握り合っている。
「あの、さ。さく……」
何か言おうとすると、音が鳴るシステムは何とかならないか。
「サダメ? まだ勉強しているの? 寝るのも大事よ」
カルラか。
もう起きたのかな。
そういや時間は――
「五時半か。もう朝の準備をしてもいいぐらいだ」
「そうかもね、んふふ。何を言おうとしたの?」
「ああ、それは……また今度」
「んもぉ、ケチ」
おでこをツンと指先で押された。
テスト勉強せずに何をしているんだ。
はい、イチャついているんです。
寝落ちするのも、いいものですね。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』
星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】
経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。
なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。
「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」
階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。
全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに!
「頬が赤い。必要だ」
「君を、大事にしたい」
真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。
さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!?
これは健康管理?それとも恋愛?
――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった!
……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。
なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ!
秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。
「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」
クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない!
秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる