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Folge 46 妹語り

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 タケルと色々考えた結果が出た。
 全員が初めての旅行だ。
 あまり動き回ると疲れ果ててしまうのではないか。
 確かに。
 普段は部活もせず、必要最低限の生活行動のみ。
 そんな連中だから一日もたないだろう。
 ということで。
 美咲に別荘周りのことを聞きながらスケジュールを組んでみた。
 組んだって言えるようなものではない、と言えば想像に難くないだろう。

「よし、ウチらしくていいというか、これしか無いな」
「だね。後は当日を待つだけだあ」

 タケルは思いっきり伸びをしながらそんなことを言っている。
 大して苦労せずに終わったのだが。
 こういう計画さえ初めてで慣れていないからかな。

「そうだな。行けば自然にやりたいことをやっているだろう」

 大抵こういう予定は無意味な事が多いように思う。
 一緒に行くのはあの女子四人だ。
 それぞれが勝手に動いて終了だろう。
 伸び伸びと遊んでくれればそれでいい。

「それじゃあ兄ちゃん、テストがんばってね」
「へ?」
「いや、先に来るイベントはテストでしょ?」
「ぐはっ!」

 そうだった。
 弟妹はあれだけワイワイしていても成績優秀。
 心配する必要が無いんだ――問題はオレだ。
 美乃咲姉妹が加わってからは授業に身が入っていない。
 二人掛かりでアタックしてきていたからなあ。
 美咲は別クラスだけど授業が終わる度に登場していた。
 咲乃は同クラスで隣の席だから、何かと絡んできていたし。
 授業中に脚を絡めようとするとか、勉強どころじゃなかった。

「今回は兄ちゃん大変なんじゃないかなと思ってさ」
「お前なんで分かるんだよ」
「兄ちゃんの弟だから。兄ちゃんチェックは自信ある」
「実は傍から見ているお前が一番良く知っているんだよな」
「そういうこと。でもカルラにはかなわないなあ」
「そうなの?」

 タケルは体勢を戻してまで語り出した。

「カルラの兄ちゃん好きは強烈だから」
「ま、まあ当事者のオレはもちろん存じているけれど」
「兄ちゃんが感じているそれを遥かに超えていると思う」
「マジか」
「本当に兄ちゃんのために産まれたのかってぐらい」

 いつもそんなことを言っているけれど。
 確かにカルラはオレの危機的状況を即察知して助けてくれる。
 他にもオレの内面を常にチェックしているな。
 それをありがたいと毎度思ってはいた。
 ツィスカは言葉で表現できない気持ちが多いようで、心も体もとにかくぶつけて分かってもらおうとするよな。
 それも痛いほど伝わっている。

「ツィスカも凄いじゃないか」
「兄ちゃんチェックってしないじゃない。ひたすら愛をぶつけるタイプ」
「ははは。ぶつかってからチェックされているぞ。先か後かの違いだろ」
「……ふむ。そういうことかあ。それはそれで僕はマネできないや」

 頭の後ろで両手を組んで天井を見上げる。
 こういう何気ない仕草、お前は恰好いいんだぞ。

「ツィスカのチェックって、何するの?」
「カルラに及ばないところはあるけど、近い線でオレの内面を当ててくる」
「へえ」
「あいつな、くっついてからが凄い」

 思わずツィスカについて語り出してしまった。

「愛情を流し込みつつ、オレの内面情報を吸い取っていく感じ」
「そんな風なの!?」
「オレの状況を認識してからの暖かさは半端ない」

 これがこの上なく暖かいから心地良すぎ。

「だからオレはされるがままになっちまうんだよ」
「ただ勢いに押されているだけじゃなかったんだね」
「そうなんだ。ツィスカワールドに浸っているのさ」

 妹のことになると話が止まらなくなってしまう。
 内容はタケルにしか話せないことばかり。
 これって惚気になるのかな。
 それでもいいや。
 だって……あいつら好きだもん。
 それに妹のことなんだから、兄であるオレが何を話そうとかまわないだろう。

「だってさ、お二人さん」
「――なっ、ちょっ、はっ!?」

 タケルの部屋で相手はタケル。
 安心して話していたら――――。

「兄ちゃんたら」
「サダメ、この耳でしっかりと聞いたわ」
「二人がずっとそこにいたからさ、弟として聞き出してみました」

 この三人はチームだったな。
 タケルも姉のことが大好きだから、時々こんなことをする。
 まんまと釣られてしまった。
 妹たちはニコニコ満面の笑みだ。
 タケルはこれをオレに見せたかった、という考えもあったのかも。

「ありがとな、タケル」
「へへ。バレたか」
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