153 / 164
隕石の危機
しおりを挟む
隕石が地球へと接近している。
人類は危機を迎えていた。
と言っても、
勿論、全く対策が無いわけではない。
こういった不測の事態に備え、
かねてより、
「地球外衝突因子研究対策本部」
なるものが設立され、
必要以上の潤沢な予算が振り分けられていた
今回も、そのお陰で、早期に発見し、
なんと衝突の10年前に
突き止めることができたのだ。
彼らのスローガンは、
「必要以上の対策」
今まで数々の隕石を撃破し、
栄光と、実績に満ちた花形部署。
そこの所長に新しく就任したN氏。
早速、使命を果たそうと、
政府とコンタクトをとった。
「資料のとおり、
危険な隕石を探知できました。
しかし、
私達は今すぐにこれを撃破できます。
そのために、潤沢な資金を
いつも援助して頂いています。
すぐに許可を。」
「分かった。すぐに協議を始める。」
報告が終わり、
N氏はほっとしていた。
きちんと処理できるだろう。
研究に情熱を注いだ甲斐があった。
まさに「必要以上の対策」
しかし、N氏は次第に、
落ち着いていられなくなった。
一向に政府からの連絡が無い。
もう3ヶ月が経った。
聞いた話では、隕石撃破の衝撃により、
周りの惑星運動に被害が生じ、
地球への影響はないかと、
議論をしているそうだ。
何をゴタゴタしているのだ。
一分一秒が生存確率に関わるのに。
とにかく現場に行かなければ。
遂にN氏は政府本部へと乗り込んだ。
「隕石撃破の許可を下さい。
我々が日夜、全てを捧げ、
研究に励んでいるのはこのためです。
資金も沢山。技術も十分です。
あなた方が、心配しているような
被害は何一つ出すことなく、
無事任務を完遂できます。
私達のモットーは、
「必要以上の対策」
こちらをご覧下さい。」
N氏は、徹夜でシュミレーションしてきた
資料をドンと机の上に広げた。
しかし、政府の役人達は、
一向に話を聞いていない。
それどころか高らかに笑い出した。
「はははは。
それだから君達は、花形部署ではあるが、
出世できないのだぞ。
いいかね。
10年先に地球に衝突する隕石を
撃ち落として、
誰がそのありがたみを感じるというのかね
自分が危ない目に遭う。
危機一髪という状況になって初めて、
人々は感謝するのだ。
安全を保障してやるより、
危険を味合わせた方が、
よっぽど感謝される。
我が国の宇宙開拓事業が
あまりうまくいっていないのを
知っているだろう。
民信は落ち、徴税もままならない。
そんな中、君達の部署にだけ
必要以上の潤沢な資金を提供しているのは
なんのためだと思う。
今こそ、その真価を発揮し、
国を取り戻すべき時だ。
すぐに研究に取り掛かってくれ。
事前に撃ち落とすより、
遥かに難しい技術が要るぞ。
しかし、君達ならやり遂げられる。
これこそ、私達が考え、立ち上げた部署の
スローガン。
「必要以上の対策」の真の意味だ。」
N氏は熱く使命に燃えていた。
この難しい課題を絶対に克服してやる。
誰にもできないことをするんだ。
研究者としての血が騒ぐ。
しかし同時に、
昨日までの自分とも決別していた。
絶体絶命、助かるはずのない状況での
全員生還。
防げたはずで、決して起こり得ない
有り得ない事故。
そのどれもが、と言うわけではないが、
1割くらいは今回のようなことが原因に…
人類は危機を迎えていた。
と言っても、
勿論、全く対策が無いわけではない。
こういった不測の事態に備え、
かねてより、
「地球外衝突因子研究対策本部」
なるものが設立され、
必要以上の潤沢な予算が振り分けられていた
今回も、そのお陰で、早期に発見し、
なんと衝突の10年前に
突き止めることができたのだ。
彼らのスローガンは、
「必要以上の対策」
今まで数々の隕石を撃破し、
栄光と、実績に満ちた花形部署。
そこの所長に新しく就任したN氏。
早速、使命を果たそうと、
政府とコンタクトをとった。
「資料のとおり、
危険な隕石を探知できました。
しかし、
私達は今すぐにこれを撃破できます。
そのために、潤沢な資金を
いつも援助して頂いています。
すぐに許可を。」
「分かった。すぐに協議を始める。」
報告が終わり、
N氏はほっとしていた。
きちんと処理できるだろう。
研究に情熱を注いだ甲斐があった。
まさに「必要以上の対策」
しかし、N氏は次第に、
落ち着いていられなくなった。
一向に政府からの連絡が無い。
もう3ヶ月が経った。
聞いた話では、隕石撃破の衝撃により、
周りの惑星運動に被害が生じ、
地球への影響はないかと、
議論をしているそうだ。
何をゴタゴタしているのだ。
一分一秒が生存確率に関わるのに。
とにかく現場に行かなければ。
遂にN氏は政府本部へと乗り込んだ。
「隕石撃破の許可を下さい。
我々が日夜、全てを捧げ、
研究に励んでいるのはこのためです。
資金も沢山。技術も十分です。
あなた方が、心配しているような
被害は何一つ出すことなく、
無事任務を完遂できます。
私達のモットーは、
「必要以上の対策」
こちらをご覧下さい。」
N氏は、徹夜でシュミレーションしてきた
資料をドンと机の上に広げた。
しかし、政府の役人達は、
一向に話を聞いていない。
それどころか高らかに笑い出した。
「はははは。
それだから君達は、花形部署ではあるが、
出世できないのだぞ。
いいかね。
10年先に地球に衝突する隕石を
撃ち落として、
誰がそのありがたみを感じるというのかね
自分が危ない目に遭う。
危機一髪という状況になって初めて、
人々は感謝するのだ。
安全を保障してやるより、
危険を味合わせた方が、
よっぽど感謝される。
我が国の宇宙開拓事業が
あまりうまくいっていないのを
知っているだろう。
民信は落ち、徴税もままならない。
そんな中、君達の部署にだけ
必要以上の潤沢な資金を提供しているのは
なんのためだと思う。
今こそ、その真価を発揮し、
国を取り戻すべき時だ。
すぐに研究に取り掛かってくれ。
事前に撃ち落とすより、
遥かに難しい技術が要るぞ。
しかし、君達ならやり遂げられる。
これこそ、私達が考え、立ち上げた部署の
スローガン。
「必要以上の対策」の真の意味だ。」
N氏は熱く使命に燃えていた。
この難しい課題を絶対に克服してやる。
誰にもできないことをするんだ。
研究者としての血が騒ぐ。
しかし同時に、
昨日までの自分とも決別していた。
絶体絶命、助かるはずのない状況での
全員生還。
防げたはずで、決して起こり得ない
有り得ない事故。
そのどれもが、と言うわけではないが、
1割くらいは今回のようなことが原因に…
10
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【新作】読切超短編集 1分で読める!!!
Grisly
現代文学
⭐︎登録お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐︎登録忘れずに!コメントお待ちしております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐︎登録して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
【アーカイブ】 大好評短編集 後書き付き
Grisly
現代文学
1分で読めます!
これまで、投稿した作品の中から、
特にお気に入りの多かった物、
また感想の多かった物をまとめてみました。
是非⭐︎をつけ、何度もお楽しみ下さい。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる