141 / 164
桃太郎と吉備団子
しおりを挟む
「征って参ります。」
遠く鬼ヶ島へと旅立って行く桃太郎を、
お婆さんは、涙を流して見送った。
大事に育てた我が子。当然である。
心配は絶えない。
「ねえ、
あの子無事に帰ってこられるかしら。」
お爺さんに聞く。
「気の弱い事を言うな。
そのために育てて来た子どもだ。
きっとやり遂げる。」
いつものように洗濯物を干し、
気を紛らわそうとしたが、やはり気になる。
理由はなくても、気を紛らわすため、
お爺さんに聞く。
「ねえ、
あの子無事に帰ってこられるかしら。」
「気の弱い事を言うな。
そのために2人で頑張って来たんだぞ。
吉備団子もちゃんと持たせた。」
夕食の準備ができた。
やはりお婆さんは気になってしまう。
親心である。
「ねえ、
あの子無事に帰って…」
最初のうちは冷静だったお爺さんも、
感情が爆発したのだろう。
遂に声を荒げる。
「気の弱い事を言うな。
あの子が帰らなければ、
今度こそ、我々も終わりなのだぞ。
食べれば無敵になる吉備団子。
あれを開発するのに
どれだけの犠牲を払ったと思っている。
ある組織からの依頼で、
この歳になるまで実験を繰り返したが、
1人も成功せず、
皆凶暴化し、理性と言葉を失い、
暴れ回る一方。
幸い、鬼ヶ島に閉じ込めたのだが、
心の奥底に眠る恨みからか、
常に我々を狙っている。
帰巣本能なのだろう。
村を訪れ、被害をもたらす者達も
後を絶たない。
まずいことに、
村人達も勘づき始めた様だ。
バレないよう、ずっとこんな山奥暮らし。
距離を取っていたのに…」
遠く鬼ヶ島へと旅立って行く桃太郎を、
お婆さんは、涙を流して見送った。
大事に育てた我が子。当然である。
心配は絶えない。
「ねえ、
あの子無事に帰ってこられるかしら。」
お爺さんに聞く。
「気の弱い事を言うな。
そのために育てて来た子どもだ。
きっとやり遂げる。」
いつものように洗濯物を干し、
気を紛らわそうとしたが、やはり気になる。
理由はなくても、気を紛らわすため、
お爺さんに聞く。
「ねえ、
あの子無事に帰ってこられるかしら。」
「気の弱い事を言うな。
そのために2人で頑張って来たんだぞ。
吉備団子もちゃんと持たせた。」
夕食の準備ができた。
やはりお婆さんは気になってしまう。
親心である。
「ねえ、
あの子無事に帰って…」
最初のうちは冷静だったお爺さんも、
感情が爆発したのだろう。
遂に声を荒げる。
「気の弱い事を言うな。
あの子が帰らなければ、
今度こそ、我々も終わりなのだぞ。
食べれば無敵になる吉備団子。
あれを開発するのに
どれだけの犠牲を払ったと思っている。
ある組織からの依頼で、
この歳になるまで実験を繰り返したが、
1人も成功せず、
皆凶暴化し、理性と言葉を失い、
暴れ回る一方。
幸い、鬼ヶ島に閉じ込めたのだが、
心の奥底に眠る恨みからか、
常に我々を狙っている。
帰巣本能なのだろう。
村を訪れ、被害をもたらす者達も
後を絶たない。
まずいことに、
村人達も勘づき始めた様だ。
バレないよう、ずっとこんな山奥暮らし。
距離を取っていたのに…」
10
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
痴漢列車に挑む痴漢Gメン女子高生レイコ
ムーワ
大衆娯楽
朝の通勤電車はラッシュ時はギュウギュウ詰めの混雑状態!
その混雑を利用して女子高生を中心に若い女の子をターゲットに頻繁に痴漢を繰り返す謎の男。
実際に痴漢にあっても怖くて何もいえず、泣きながら鉄道警察隊に相談する女子高生もいて、何度か男性の鉄道警察隊員が変装をして捕まえようとするが捕まえることができず、痴漢被害は増加する一方。
そこで鉄道警察隊はエリート大卒新人のレイコ氏に相談すると、レイコはとんでもない秘策を思いついた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる