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白雪姫
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白雪姫は、孤独だった。
人間誰しも老いていくわけで、
白雪姫も今年で60歳を、
迎えようとしていた。
誰も取り合ってくれない。
彼女は退屈な日々を過ごしていた。
夫は、60を超えた今でも、
可愛い女を求めて、練り歩いている。
それはそうだ。
例え死んだ女にもキスするような性格。
そのおかげで、
白雪姫も生き返ったわけで…
彼女もそれを責めようとはしなかった。
息子はと言うと、これも遺伝なのだろう
毎日舞踏会を開催し、
国中の美女を弄び、
国の財政を圧迫するほどだった。
かと言って、国が傾く心配はなかった。
木こりだった7人の小人達も、
出世に出世を重ね、
今では、国の諜報機関の、
優秀な上役に収まっていたからだ。
仲良くしてくれた彼らも、
今となっては仕事漬けの日々。
彼らのおかげで国が存続しているのだ
白雪姫も文句は言えない。
こう言う時、
動物と話せる能力が役に立つのだが、
いつまでも持てる能力ではなかった。
60歳となろうとしていた白雪姫には、
段々、動物の声が、
聞こえなくなっていった。
白雪姫は孤独だった。
誰も取り合ってくれず、
出来ていたことが、出来なくなって
精神的にも追い詰められていた。
しかし、ある日思いつく。
そうだ、新しい趣味でも探そう。
ついに白雪姫は、
あの日以来、封印していた地下室の
鏡と面会する。
「私に魔法を教えてください。」
そう、
あのリンゴの魔女に、
魔法を教えたものこそ、
他ならないこの鏡である。
鏡は言う。
「あの日のことは、
私も残念に思っています。
先王と、あなたの不倫が原因とは言え、
おかしくなって、
悪い魔法に取り込まれてしまった
お妃様は、あなたを殺そうとした。
指南役としての私も、
あなたに罪を償う機会があればと
ずっと思っていました。
本来、魔法とは
良いものでも悪いものでも無いのです。
あなたへの罪滅ぼしにもなるのであれば
いいでしょう。
私がお教えします。」
白雪姫はみるみるうちに上達した。
有り余る時間を、
全て魔法の習得に注ぎ込んだのだ。
それに、動物と話せたタイプの人間、
もともと素質は十分にあったのだ。
3ヶ月で簡単な魔法が、
使えるようになった。
しかし、彼女は決して、
魔法を悪用することはなかった。
若い頃に過ちを犯せば、
人よりもまっすぐ
生きようと思うようになるものである。
ある日鏡に言う。
「私、せっかく覚えた魔法を、
人々の
チャリティーのために使ってみたいわ。」
鏡は涙を流し感動する。
なにせ、今まで教えてきた生徒達は、
必ず闇の魔術へ走ってしまっている。
やっと公共の福祉に使おうとする、
生徒が生まれてきたのだ。
鏡は言う。
「この国のはずれの家の、
シンデレラという娘が、
大変恵まれない環境で育っている。
あなたのレベルの魔術なら
舞踏会のドレスくらい、
もう十分に…」
全てうまくいった。
心が美しく、しっかり者のシンデレラ。
浮気者だった王子を、
しっかりコントロールし、
幸せな家庭を築く。
もちろん、国も繁栄し、
豊かな大帝国へと変貌していく。
白雪姫もその頃には、
超強力な魔法使いとして成長を遂げ、
国の防衛のために、
自らの魔法を応用していた。
繁栄は続いた。
白雪姫が、認知症を患い、
何が何だかわからなくなり、
自分の孫に、眠り続けるという、
恐ろしい呪いをかけるまでは…
人間誰しも老いていくわけで、
白雪姫も今年で60歳を、
迎えようとしていた。
誰も取り合ってくれない。
彼女は退屈な日々を過ごしていた。
夫は、60を超えた今でも、
可愛い女を求めて、練り歩いている。
それはそうだ。
例え死んだ女にもキスするような性格。
そのおかげで、
白雪姫も生き返ったわけで…
彼女もそれを責めようとはしなかった。
息子はと言うと、これも遺伝なのだろう
毎日舞踏会を開催し、
国中の美女を弄び、
国の財政を圧迫するほどだった。
かと言って、国が傾く心配はなかった。
木こりだった7人の小人達も、
出世に出世を重ね、
今では、国の諜報機関の、
優秀な上役に収まっていたからだ。
仲良くしてくれた彼らも、
今となっては仕事漬けの日々。
彼らのおかげで国が存続しているのだ
白雪姫も文句は言えない。
こう言う時、
動物と話せる能力が役に立つのだが、
いつまでも持てる能力ではなかった。
60歳となろうとしていた白雪姫には、
段々、動物の声が、
聞こえなくなっていった。
白雪姫は孤独だった。
誰も取り合ってくれず、
出来ていたことが、出来なくなって
精神的にも追い詰められていた。
しかし、ある日思いつく。
そうだ、新しい趣味でも探そう。
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鏡と面会する。
「私に魔法を教えてください。」
そう、
あのリンゴの魔女に、
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鏡は言う。
「あの日のことは、
私も残念に思っています。
先王と、あなたの不倫が原因とは言え、
おかしくなって、
悪い魔法に取り込まれてしまった
お妃様は、あなたを殺そうとした。
指南役としての私も、
あなたに罪を償う機会があればと
ずっと思っていました。
本来、魔法とは
良いものでも悪いものでも無いのです。
あなたへの罪滅ぼしにもなるのであれば
いいでしょう。
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使えるようになった。
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魔法を悪用することはなかった。
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ある日鏡に言う。
「私、せっかく覚えた魔法を、
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なにせ、今まで教えてきた生徒達は、
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もう十分に…」
全てうまくいった。
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