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浦島太郎
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海底にある竜宮王国と、地上のN国は、
300年に渡り、緊張状態だった。
表立っては、同盟を結んでいたものの、
いつ戦争になってもおかしくない。
絶対に負けるわけにはいかないN国。
どこで情報が漏れるか分からない。
徹底した諜報活動と、情報統制がしかれ
国民のほとんどは、
竜宮王国の存在すら知らなかった。
ある日、地上のN国の砂浜に
新型兵器が上陸する。
海亀を改造し、しゃべれるようにした
竜宮王国の最高技術で作った、
最新型生物兵器。
諜報活動にも、戦闘にも使え、
見た目は普通の海亀である。
しかし、
N国も徹底した諜報活動の成果だろうか
この情報をすぐにキャッチし、
現場に作戦チームを派遣した。
7歳くらいの子供、5人のチーム。
もちろん普通の子供ではない。
生まれた時から工作員として
特殊な訓練を積ませた暗殺部隊。
海亀をいじめているように見せかけ、
破壊することが目的だった。
そこへ通りかかった、
しがない漁師、浦島太郎。
頭はあまり良くないものの、
彼はまっすぐな男だった。
弱い者いじめなど許せない。
加えてもちろん海亀が生物兵器だ等と
知るはずもない。
徹底した情報統制の結果だった。
いかにプロの暗殺集団と言っても、
7歳の子供である。
加えて、浦島太郎は、
普段、遠洋で鯨を追いかける漁師。
力はめちゃくちゃに強いのだ。
勝負はすぐについた。
さて、助かった海亀、考えを巡らせる。
この男1人連れて帰れば、
拷問なりなんなりして、
地上のことを聞き出せるではないか。
「お礼がしたいのでぜひ竜宮城へ。」
竜宮王国地下牢、
鎖で繋がれた浦島太郎。
訳もわからず、拷問の日々。
いかに丈夫な漁師といえども、
身体中傷だらけで、死にかけていた。
死なせてしまっては大変と、
久しぶりに地下牢から出され、
竜宮城内の療養所で1ヶ月程、
手当を受けることに。
そこへ通りかかった、乙姫様。
初めて見る地上の人間に、
興味を持った。
話しかけてみよう。
すぐに2人は仲良くなった。
浦島太郎にしてみれば、
散々な扱いを受けてきた日々で、
唯一優しくしてくれた女性。
乙姫にしてみても、
300年の緊張、片時も気が抜けず
周りの人間が殺伐としている中で、
初めて出会う性格の持ち主、
なにしろ彼はまっすぐな男だったのだ。
治療の終わった彼は、
すぐさま地下牢から解放され、
乙姫と、共に楽しく暮らす。
だが、その幸せも長くは続かなかった。
N国の使者が竜宮王国へやってきたのだ
「我が国の国民、
浦島太郎がそこへ幽閉され、
捕虜になっているな。
直ちに解放しないと、
同盟をを破棄したとみて、
すぐさま我が国は攻撃を仕掛ける。」
乙姫は泣く泣く、
浦島太郎をN国へ返す事にした。
「あなたとの日々は永遠に忘れないわ。
とても楽しかった。ありがとう。
最後にこれ、お弁当。
地上に行く船の中で食べてね。
さようなら。」
涙を流しながら、玉手箱を渡した。
しばらくして、大きな爆発音が、
海底の竜宮城まで響き渡る。
乙姫は、それまで泣きじゃくっていた
顔を上げて、決意を固めた。
竜宮城は海底、
ただでさえ事故の多い難所。
N国では船舶事故として、
処理されるだろう。
1番の秘密は、誰にも知られないまま、
海底へ沈んだのだ。
なんとしても、
お腹の中のこの子だけは守るのよ。
きっと彼のような、
まっすぐな子に育つわ…
300年に渡り、緊張状態だった。
表立っては、同盟を結んでいたものの、
いつ戦争になってもおかしくない。
絶対に負けるわけにはいかないN国。
どこで情報が漏れるか分からない。
徹底した諜報活動と、情報統制がしかれ
国民のほとんどは、
竜宮王国の存在すら知らなかった。
ある日、地上のN国の砂浜に
新型兵器が上陸する。
海亀を改造し、しゃべれるようにした
竜宮王国の最高技術で作った、
最新型生物兵器。
諜報活動にも、戦闘にも使え、
見た目は普通の海亀である。
しかし、
N国も徹底した諜報活動の成果だろうか
この情報をすぐにキャッチし、
現場に作戦チームを派遣した。
7歳くらいの子供、5人のチーム。
もちろん普通の子供ではない。
生まれた時から工作員として
特殊な訓練を積ませた暗殺部隊。
海亀をいじめているように見せかけ、
破壊することが目的だった。
そこへ通りかかった、
しがない漁師、浦島太郎。
頭はあまり良くないものの、
彼はまっすぐな男だった。
弱い者いじめなど許せない。
加えてもちろん海亀が生物兵器だ等と
知るはずもない。
徹底した情報統制の結果だった。
いかにプロの暗殺集団と言っても、
7歳の子供である。
加えて、浦島太郎は、
普段、遠洋で鯨を追いかける漁師。
力はめちゃくちゃに強いのだ。
勝負はすぐについた。
さて、助かった海亀、考えを巡らせる。
この男1人連れて帰れば、
拷問なりなんなりして、
地上のことを聞き出せるではないか。
「お礼がしたいのでぜひ竜宮城へ。」
竜宮王国地下牢、
鎖で繋がれた浦島太郎。
訳もわからず、拷問の日々。
いかに丈夫な漁師といえども、
身体中傷だらけで、死にかけていた。
死なせてしまっては大変と、
久しぶりに地下牢から出され、
竜宮城内の療養所で1ヶ月程、
手当を受けることに。
そこへ通りかかった、乙姫様。
初めて見る地上の人間に、
興味を持った。
話しかけてみよう。
すぐに2人は仲良くなった。
浦島太郎にしてみれば、
散々な扱いを受けてきた日々で、
唯一優しくしてくれた女性。
乙姫にしてみても、
300年の緊張、片時も気が抜けず
周りの人間が殺伐としている中で、
初めて出会う性格の持ち主、
なにしろ彼はまっすぐな男だったのだ。
治療の終わった彼は、
すぐさま地下牢から解放され、
乙姫と、共に楽しく暮らす。
だが、その幸せも長くは続かなかった。
N国の使者が竜宮王国へやってきたのだ
「我が国の国民、
浦島太郎がそこへ幽閉され、
捕虜になっているな。
直ちに解放しないと、
同盟をを破棄したとみて、
すぐさま我が国は攻撃を仕掛ける。」
乙姫は泣く泣く、
浦島太郎をN国へ返す事にした。
「あなたとの日々は永遠に忘れないわ。
とても楽しかった。ありがとう。
最後にこれ、お弁当。
地上に行く船の中で食べてね。
さようなら。」
涙を流しながら、玉手箱を渡した。
しばらくして、大きな爆発音が、
海底の竜宮城まで響き渡る。
乙姫は、それまで泣きじゃくっていた
顔を上げて、決意を固めた。
竜宮城は海底、
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処理されるだろう。
1番の秘密は、誰にも知られないまま、
海底へ沈んだのだ。
なんとしても、
お腹の中のこの子だけは守るのよ。
きっと彼のような、
まっすぐな子に育つわ…
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