世界を救った後のお話

才花

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プロローグ

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「ペンは剣よりも強し、それが一番好きな言葉なんだ」
「ペン? 羽ペンが剣よりも強いのか?」
「あぁ、勿論物理的な強さじゃない」

 目の前の男──魔王はそう発っした少年を推し量るような視線を浴びせる。

「その胸にある物はなんだ?」
「これか?」

 少年──勇者は胸ポケットから引き抜いた物を手渡す。

「これがペンだよ」
「ほぅ……これが貴様の世界のペンか。この中に入っている黒い物がインクか? 実に興味深い」
「へぇ、見ただけで分かるんだな」
「余の目を舐めるな。それにしても、だ。先程の提案は嘘ではないらしいな」
「勿論。それで、どうするんだ?」

 視線が交錯する。

「受けようではないか、貴様の提案を。だが──」

 魔王は構える。その手には漆黒の闇を纏った大剣。
 それを見た勇者の方も構える。こちらは星が輝くが如くの聖剣。

「──とりあえずは戦おうではないか!」
「あぁ! 行くぞ魔王!」

 そして、二つの剣がぶつかり合う。
 雲より高い塔の上。太陽煌めく空の中で最後の戦いの火蓋が切って落とされた。
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