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第七十五話 サチとの出会い

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「サチとの出会いは約十年前の孤児院だった・・・・・・」

 カンタロウはその当時のことを思い出しながら、語り始める。

「俺は仕事で孤児院に来ていた。

『ねえ、ねえおじさん!』 
 
 俺が声のする方に目を向けると、そこには当時まだ九歳になったばかりのサチがいてな・・・・・・。

『俺はまだおじさんじゃない!お兄さんだ!』

 と言ったら、

『お兄さんには見えないよ!』

 と当時三十一で独身だった俺に言ったんだ。

 俺は、なんだこの失礼な子供はと思った。でも、俺は怒らず、

『・・・・・・おじさんはやめてくれ!カンタロウさんと呼んでくれ』

 と言った。

『わかった。カンタロウさん』

 サチに対して、割と素直だなと感じた。

『それで、俺に何か用か?』

『カンタロウさん。騎士なんだよね?』

『そうだが、それがどうかしたか?』
 
『あたしに剣を教えて欲しいんだ!』

『剣?騎士に興味があるのか?』

『ううん。騎士には興味ない!剣士になりたいんだ!』

 嘘偽りのない真っ直ぐな良い目だったが、騎士である俺には悪い意味で心に刺さる言葉だった。

『剣士?どうしてだ?』

『昔、剣士に命を助けられたんだ!』

 あとで聞いた話だが、サチは両親を魔族に殺され、自分も殺されそうになった所を剣士に助けられたんだそうだ。 

『そうか・・・・・・でもなぁ、え~と』

『あたしの名前はサチ!』

『サチか・・・・・・いいのか?俺は厳しいぞ。今よりも遊ぶ時間が減るぞ』

『うん。それでもいい!』

 この時のサチは一切の迷いがない目をしていた。

『・・・・・・そうか。わかった!いいだろう・・・・・・その代わり、ここの院長に許可をもらったらな』

『うん!わかった!約束だよ!』

 それから、数日が経って再び孤児院に行ったんだ。すると、

『カンタロウさん!院長から許可もらえたよ!』

 と言ってきてな。そこには院長も一緒にいて、

『よろしくお願いします』

 とお願いされた。

 俺はサチに剣術を教えた。

 サチは意外に飲み込みがはやくて、約一ヶ月で俺の剣術を覚えたんだ。

 それで、俺はもう剣で教えることがないと言おうと思ったんだが・・・・・・」

 とカンタロウが語るのを止めて、息を吐く。


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