魔法力士（旧タイトル: ギルドに冒険者登録しに行ったら、なれる職業が魔法力士しかなかった）

第三十四話 バチンッ

　
　バチンッ

　平手の形をした何かが、魔物の頬に当たった。

「痛いんだな！誰だ！」

　魔物が横を向くと、誰もいなかった。

　魔物が正面を向くと、廻し姿のタケシが泣き黒子の女性に何かをやっていた。女性の破れていた服がみるみる修復されていった。

「これで、服は元通りになったと思います」

「ありがとうございます」

「何してるんだな！おまえ！」

「魔法で服を修復しただけだ──ここは任せて早く逃げて下さい！」

「ありがとうございます。けど、足が･･････」

　よく見ると、女性の右足は腫れ上がっていた。

「俺っちにケンカ売るとはいい度胸なんだな！」

「いきなり、手を出したのは謝る･･････だが、女性にこんなことをしてるのをそのまま見過ごすことはできなかった」

「正義の味方気取りか？そういうの大嫌いなんだな」

「大嫌いか･･････見た感じ魔族に見えるが魔族か？」

「そうなんだな！ブターノって名前なんだな！」

「そうか」

　どうする？女性が一人で逃げられない以上俺が囮になっても意味ないし、ここは戦って、ブターノを倒すか？けど、倒せるか？だったら女性を抱えて逃げた方がいいか？けど、逃げきれるか？とタケシが考えていると、

「さっきから、何黙ってるんだな！こっちからいくぞなんだな！」

　ブターノがタケシ達に向かってきた。

「まずい！こうなったら･･････」