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八十七話 川次郎の姉さん
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「水希さんって人間なんですよね?」
「!」
川次郎の目が一瞬大きく開いた。
それを見た風太は、感に触ってしまったと思い、
「すみません!変な意味じゃなくて・・・・・・川次郎さんからは人間の娘と聞いてたのにさっきすれ違った時、妖気を感じたから・・・・・・」
と焦りながら話す。
「・・・・・・そっか。風太も妖気を感知できるようになったんだね」
と川次郎が穏やかに話す。
「まあ、それなりに近ければですけど」
「・・・・・・水希は人間だけど、風太と同じ妖力持ちさ」
「え!?」
「そういえば水希との出会いに関しては詳しく話してなかったね」
「・・・・・・はい」
「あれはだいたい五年近く前だったかな──佐吉が水希を連れて村に来たんだ」
「父ちゃん、この村に来てたの!?っていうか、なんで父ちゃんが水希さんと一緒に?」
「それに関しても含めて話すよ」
「はい」
「佐吉が言うには、水希は数十年前に旅へと出たオラの姉さんの連れだったらしい」
「川次郎さんって姉さんいたんですか!?」
「うん・・・・・・それで話は戻るけど、姉さんは旅の途中で背後から陰陽師にやられたんだ」
「え!?どうして陰陽師に!?」
「理由なんてない。妖怪を見たら善悪関係なく殺す・・・・・・そういう考えの奴だったらしい」
「なんだよ。それ・・・・・・」
「その陰陽師はあろうことか、妖怪と仲良くする奴は人間じゃないと言って水希も殺そうとしたんだ」
「はあ!?そんなめちゃくちゃな!」
「だろ?でも、そこに佐吉が現れて水希を助けたんだ」
「さすが父ちゃん!」
「佐吉は姉さんが心の臓をやられ助からないと知って、陰陽術で姉さんの妖力と一緒に記憶も読み取ったんだ」
「そんなことができるんですか!?」
「死にかけてる妖怪にだけできるらしい。しかもかなりの高度な術だそうだ」
「へぇ~」
「それで事の事情を知った佐吉はその陰陽師にお前に陰陽師を名乗る資格はないと言って陰陽術が使えないように封印術をかけたんだ」
「父ちゃんやさしいな・・・・・・オイラだったらその陰陽師をこれでもかっていうくらい殴ってたな・・・・・・」
「そうだね。オラだったら・・・・・・口では言うのも憚れるくらいに半殺しにして、治療しての繰り返しをやるかな・・・・・・」
と言いながら、川次郎は冷酷な目つきになっていた
「川次郎さん?」
「ああ、ごめん。思わず・・・・・・」
と言って川次郎は目つきが柔らかくなる。
「それで話の続きなんだけど、その陰陽師も術が使えなくなって慌てて逃げたらしい」
「いい気味だ」
「で・・・・・・姉さんは水希を自分の生まれた村に連れて言ってほしいと言って死んで消えたらしい」
「・・・・・・」
風太の顔が険しくなる。
「でも、その後に佐吉が陰陽術で取っていた妖力を水希の体内に入れたんだ。もちろん水希の気持ちを聞いてね」
「それで妖力持ちになったんですね」
「うん」
「でも、川次郎さんの姉さんはなんで水希と一緒に旅してたんですか?」
「それなんだけどね。水希は元々何者かに壊滅させられた村の唯一の生き残りだったんだ」
「生き残り?・・・・・・」
「そう・・・・・・生きてたのが奇跡なくらい重症だったらしい。しかもそのせいなのか、水希も誰にやられたのかはっきり覚えてないらしい」
「・・・・・・そうなんですか」
風太は思わず、玉穂と佐吉に村を壊滅させられたことを思い出す。
「姉さんは直ぐ様、水希を治療して治したんだけど、そのまま放って置くことができなかったんだね。だから、一緒に旅へと連れて行くことにしたんだ」
「そっか。姉さんも優しかったんですね」
「うん・・・・・・でも、優しかっただけじゃない!姉さんはオラなんかより腕っぷしも強かったんだ!さっきの陰陽師にだって、背後から不意打ちされなければ余裕で叩きのめしてただろうしね」
「・・・・・・そうなんですか。オイラも会ってみたかったな」
「・・・・・・」
「!」
川次郎の目が一瞬大きく開いた。
それを見た風太は、感に触ってしまったと思い、
「すみません!変な意味じゃなくて・・・・・・川次郎さんからは人間の娘と聞いてたのにさっきすれ違った時、妖気を感じたから・・・・・・」
と焦りながら話す。
「・・・・・・そっか。風太も妖気を感知できるようになったんだね」
と川次郎が穏やかに話す。
「まあ、それなりに近ければですけど」
「・・・・・・水希は人間だけど、風太と同じ妖力持ちさ」
「え!?」
「そういえば水希との出会いに関しては詳しく話してなかったね」
「・・・・・・はい」
「あれはだいたい五年近く前だったかな──佐吉が水希を連れて村に来たんだ」
「父ちゃん、この村に来てたの!?っていうか、なんで父ちゃんが水希さんと一緒に?」
「それに関しても含めて話すよ」
「はい」
「佐吉が言うには、水希は数十年前に旅へと出たオラの姉さんの連れだったらしい」
「川次郎さんって姉さんいたんですか!?」
「うん・・・・・・それで話は戻るけど、姉さんは旅の途中で背後から陰陽師にやられたんだ」
「え!?どうして陰陽師に!?」
「理由なんてない。妖怪を見たら善悪関係なく殺す・・・・・・そういう考えの奴だったらしい」
「なんだよ。それ・・・・・・」
「その陰陽師はあろうことか、妖怪と仲良くする奴は人間じゃないと言って水希も殺そうとしたんだ」
「はあ!?そんなめちゃくちゃな!」
「だろ?でも、そこに佐吉が現れて水希を助けたんだ」
「さすが父ちゃん!」
「佐吉は姉さんが心の臓をやられ助からないと知って、陰陽術で姉さんの妖力と一緒に記憶も読み取ったんだ」
「そんなことができるんですか!?」
「死にかけてる妖怪にだけできるらしい。しかもかなりの高度な術だそうだ」
「へぇ~」
「それで事の事情を知った佐吉はその陰陽師にお前に陰陽師を名乗る資格はないと言って陰陽術が使えないように封印術をかけたんだ」
「父ちゃんやさしいな・・・・・・オイラだったらその陰陽師をこれでもかっていうくらい殴ってたな・・・・・・」
「そうだね。オラだったら・・・・・・口では言うのも憚れるくらいに半殺しにして、治療しての繰り返しをやるかな・・・・・・」
と言いながら、川次郎は冷酷な目つきになっていた
「川次郎さん?」
「ああ、ごめん。思わず・・・・・・」
と言って川次郎は目つきが柔らかくなる。
「それで話の続きなんだけど、その陰陽師も術が使えなくなって慌てて逃げたらしい」
「いい気味だ」
「で・・・・・・姉さんは水希を自分の生まれた村に連れて言ってほしいと言って死んで消えたらしい」
「・・・・・・」
風太の顔が険しくなる。
「でも、その後に佐吉が陰陽術で取っていた妖力を水希の体内に入れたんだ。もちろん水希の気持ちを聞いてね」
「それで妖力持ちになったんですね」
「うん」
「でも、川次郎さんの姉さんはなんで水希と一緒に旅してたんですか?」
「それなんだけどね。水希は元々何者かに壊滅させられた村の唯一の生き残りだったんだ」
「生き残り?・・・・・・」
「そう・・・・・・生きてたのが奇跡なくらい重症だったらしい。しかもそのせいなのか、水希も誰にやられたのかはっきり覚えてないらしい」
「・・・・・・そうなんですか」
風太は思わず、玉穂と佐吉に村を壊滅させられたことを思い出す。
「姉さんは直ぐ様、水希を治療して治したんだけど、そのまま放って置くことができなかったんだね。だから、一緒に旅へと連れて行くことにしたんだ」
「そっか。姉さんも優しかったんですね」
「うん・・・・・・でも、優しかっただけじゃない!姉さんはオラなんかより腕っぷしも強かったんだ!さっきの陰陽師にだって、背後から不意打ちされなければ余裕で叩きのめしてただろうしね」
「・・・・・・そうなんですか。オイラも会ってみたかったな」
「・・・・・・」
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