妖戦刀義

和山忍

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八十二話 行けるのか?

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「うん。まだ帰ってきてないわ。多分、水希と離れるのが惜しくなって、こっちに戻る決心がなかなかつかないのかも」

「・・・・・・そうか」

 空雄が少し考え込む。

「・・・・・・様子を見てくるか」

 空雄が後ろの翼を広げると、

「ちょっと待って!空雄さん」

「なんだ?」

「オイラが行ってくるよ!」

「行ってくるよって、村がどこにあるのか知ってるのか?」

「昔、父ちゃんと行ったことがある」

「昔って、何年前だ・・・・・・」

「母ちゃんが病気になる前だから・・・・・・九年くらい前かな?」

「おいおい、ほんとに行けるのか!?」

「大丈夫!村を出て、すぐの川に沿って約六里(約二十三.四キロメートル)行けば着くのは覚えてるから」

「しかし、時間かかるぞ」

「走って行く。修行にもなるし」

「・・・・・・わかった。ただ、もし迷いそうになったり、わからなくなったら戻って来い。いいな?」

「はい」

「あと戻る時に暗くなりそうだと感じたら、向こうで泊まって明日の朝、ここに戻ってくればいいからな」

「わかった。じゃあ、行ってくる!」

「ああ」

 風太が二本の刀を持って村を出ようとすると、

「ちょっと待て!風太!」

 康夫が引き止める。

「何、康夫さん?」

「言い忘れたことがあってな・・・・・・」

「言い忘れたこと?」

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