妖戦刀義

和山忍

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七十四話 恨み憎しみ

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「そうだ。極稀にいるんだ・・・・・・負の感情が熟成する奴が」

「それはどういうものなのですか?」

「わっちも上手くは言えんのだが、いつも食べている負の感情とはまた違う味がするんだ・・・・・・もちろん美味ではある。ただ、時間を経たせればより美味になるような、そんな感じがすることがあってな」

「では、風太はそれだと?」

「ああ。でもな、ただ時間を経たせれば良いというものでもなくてな」

「それは?」

「もう何百年も前の話だが、村を襲った時にそういう奴がいた。だから、ほとんどの村人を殺して、そいつを捕まえ監禁した」

「はい・・・・・・」

「それから数年後にそいつをいたぶって、味見程度に負の感情を食べたのだが、捕まえる前と味は変わらなかった。むしろ、その間になぜだか懐いてしまった」

「そうなんですか・・・・・・」

「ああ。その後試しに殺して、負の感情を食べたんだが、いつも食べてる負の感情と変わらなかった・・・・・・それから数十年後に村を襲った時、また似たような奴に出会った」

「また、捕まえたんですか?」

「いや、そいつ以外皆殺しにして、今度は放っておいた」

「え⁉」

「数年後にそいつはわっちの前に姿を現し、仇討ちとか言って殺しにかかってきた」

「それで?」

「そしたら、驚いたことにそいつの負の感情は数年前に食べた時よりも格段に上手くなっていた」

「なんと!」

「だから、わっちはそいつを殺して、負の感情を食べた。そしたら、どの人間と比べ物にならないくらい美味であった・・・・・・定かではないが、わっちに対しての恨み憎しみが負の感情を熟成させるのかもしれん」

「なるほど・・・・・・それで風太をあえて見逃したのですか?」

「そうだ・・・・・・それでお前に頼みがある」

「なんでしょうか?」

「もし、旦那様の封印を解けた後に風太が近くに現れたら、わっちらが見つかるようにわざと術を解いてくれないか?」

「いいのですか?」

「ああ」

「わかりました。風太が来るかはわかりませんが、その時は」

「頼むぞ」

「はい」

 ・・・・・・もし、あの可愛い風太がわっちの所に来たら、旦那様とどう痛ぶって遊んでやるか、考えるだけで楽しみでしょうがない。

 玉穂が笑みを浮かべる。


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