妖戦刀義

和山忍

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五十二話 不安

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 夕餉後、川次郎は村近くにある川の前にいた。

 夏海が川次郎に近づく。

「川次郎」

「夏海?」

「・・・・・・どうかしたの?」

「・・・・・・どうかしたのって?」

「風ちゃんが空雄さんの術で作った影浮えいふだっけ?その影浮を倒す度、なんだか浮かない顔っていうか・・・・・・」

「夏海には敵わないな・・・・・・考え過ぎなのかもしれないんだけど、風太が力でなんでもできる考えになっちゃうんじゃないかって心配なんだ」

「それは考えすぎじゃないの?」

「空雄にも同じこと言われたよ」

「でも、なんでそんなことを?」

「うん。昔、オラは人間に殺されそうになったことがあってね」

「え⁉そうなの!」

「うん。人間と言っても陰陽術の使い手でね。後ろから木術だったかな?それで拘束されたんだ・・・・・・」

「・・・・・・」

「その時の奴らが妖怪はみんな悪と言う考えの持ち主でね。だから、どんな残酷なことされても仕方ないよねと言われたよ。それで今の風太の気配がその時の奴らに似てるような気がして・・・・・・」

「いやいやないない!風ちゃんがそんな奴らと一緒なわけないでしょ⁉」

 そう言いながら、夏海は手を何度も横に振った。

「さすがにそこまではないとオラも思うんだけど・・・・・・でも、人に危害を加える妖怪に対して必要以上に痛ぶったりしてしまうんじゃないかって・・・・・・」
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