48 / 90
四十八話 造形
しおりを挟む
「あんたの刀だよ。あんたらを抱える前に帯の後ろに差し込んどいた」
「逃がしてくれるのか?」
「まさか!」
「じゃあ、なんなんだ?」
「あんた、あたしが憎いんだろ?それであたしを殺してごらん。殺せるものならね」
痩せ細った男は自分の刀を鞘から抜いてじっと見る。
「もし、それだけで心許無いんであれば・・・・・・」
そう言いながら、両方の手のひらからまた蜘蛛の口のようなものを浮かび上がらせ、そこから糸がシュルシュルと出る。その糸で斧と槍を造形した。
「ほれ!」
痩せ細った男の近くに軽く投げる。
「・・・・・・これは?」
「言わなくてもわかるでしょ?自由に使って」
「・・・・・・」
痩せ細った男は斧と槍を順番に持ってみる。
「あと、これも使っていいよ」
結衣は持っていた刀も痩せ細った男の近くに投げた。
「あたしは武器や手も使わない。足も移動する時のみだけで攻撃には使わない。口だけであんたの相手をしてあげるよ」
「・・・・・・わかった。ただ、お前の武器は使わない」
「えっどうして?」
「何か細工がしてあるかもしれないからな・・・・・・」
「くふっ!あははははははは!・・・・・・バレてたか」
と言いながら、結衣は曲げたひとさし指を親指の腹で弾いて鳴らした。
「逃がしてくれるのか?」
「まさか!」
「じゃあ、なんなんだ?」
「あんた、あたしが憎いんだろ?それであたしを殺してごらん。殺せるものならね」
痩せ細った男は自分の刀を鞘から抜いてじっと見る。
「もし、それだけで心許無いんであれば・・・・・・」
そう言いながら、両方の手のひらからまた蜘蛛の口のようなものを浮かび上がらせ、そこから糸がシュルシュルと出る。その糸で斧と槍を造形した。
「ほれ!」
痩せ細った男の近くに軽く投げる。
「・・・・・・これは?」
「言わなくてもわかるでしょ?自由に使って」
「・・・・・・」
痩せ細った男は斧と槍を順番に持ってみる。
「あと、これも使っていいよ」
結衣は持っていた刀も痩せ細った男の近くに投げた。
「あたしは武器や手も使わない。足も移動する時のみだけで攻撃には使わない。口だけであんたの相手をしてあげるよ」
「・・・・・・わかった。ただ、お前の武器は使わない」
「えっどうして?」
「何か細工がしてあるかもしれないからな・・・・・・」
「くふっ!あははははははは!・・・・・・バレてたか」
と言いながら、結衣は曲げたひとさし指を親指の腹で弾いて鳴らした。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
色は変わらず花は咲きけり〜平城太上天皇の変
Tempp
歴史・時代
奈良の都には梅が咲き誇っていた。
藤原薬子は小さい頃、兄に会いに遊びに来る安殿親王のことが好きだった。当時の安殿親王は皇族と言えども身分は低く、薬子にとっても兄の友人という身近な存在で。けれども安殿親王が太子となり、薬子の父が暗殺されてその後ろ盾を失った時、2人の間には身分の差が大きく隔たっていた。
血筋こそが物を言う貴族の世、権謀術数と怨念が渦巻き血で血を洗う都の内で薬子と安殿親王(後の平城天皇)が再び出会い、乱を起こすまでの話。
注:権謀術数と祟りと政治とちょっと禁断の恋的配分で、壬申の乱から平安京遷都が落ち着くまでの歴史群像劇です。
//
故里となりにし奈良の都にも色はかはらず花は咲きけり
(小さな頃、故郷の平城の都で見た花は今も変わらず美しく咲いているのですね)
『古今和歌集』奈良のみかど
小沢機動部隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。
名は小沢治三郎。
年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。
ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。
毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。
楽しんで頂ければ幸いです!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原
糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。
慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。
しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。
目指すは徳川家康の首級ただ一つ。
しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。
その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。
忠義の方法
春想亭 桜木春緒
歴史・時代
冬木丈次郎は二十歳。うらなりと評判の頼りないひよっこ与力。ある日、旗本の屋敷で娘が死んだが、屋敷のほうで理由も言わないから調べてくれという訴えがあった。短編。完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる