妖戦刀義

和山忍

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四十話 絡新婦

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 体格の良い男が結衣の胸から手を離し、自分の首をつかむ。

「───!」

 男は身体を震わせ、口から泡を吹き倒れる。

かしら!」

「・・・・・・」

 それを見た痩せ細った男と丸顔の太った男が結衣を見る。

 結衣は腰を落とし、男の胸を触る。

「あ~あ。もう死んじゃったか・・・・・・」

 結衣は残念そうな顔をして、つぶやいた。

「おい!女!頭に何をした⁉」

「何をしたって、あたしね・・・・・・体内で糸の元を作ることができるの。それを使ってこの男を窒息死させただけ」

「糸の元って・・・・・・」

「あたしね・・・・・・」

 結衣は静かに腰を上げる。

絡新婦じょろうぐもっていう妖怪なの・・・・・・」

 結衣はそう言いながら、背中から八本の蜘蛛のような黒と黄色の縞模様しまもようの足を出した。

「ぎゃああああああ!」

 二人は叫びながら、結衣に背を向け、逃げる。しかし、

「わ!」

「な!」

 男二人は地面に転ぶ。

 見ると太さ約三分(約六ミリメートル)の糸のようなものが両足に絡みついてくっついていた。

「ひい!」

 痩せ細った男が叫ぶ。

「はわわ・・・・・・」

 丸顔の太った男は恐怖のあまりか口が回らなかった。

 痩せ細った男が刀を抜く。

 それに気づいた丸顔の太った男も刀を抜いた。

 二人は刀で、糸を切ろうとするが切ることができない。

「無駄だよ。あんたら程度の腕じゃあ、その糸は切れないよ」

 結衣が男二人に近づく。







 
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