38 / 91
三十八話 その言葉忘れるなよ!
しおりを挟む
玉穂に抱きつきながら、結衣が佐吉の方を向き、
「そうだ・・・・・・え~と佐吉だっけ?姐様とあたしの封印を解いてくれてありがとう。おかげでこうやって姐様と会うことができたよ」
と満面の笑みで礼を言う。
「それは何より。では、さっそく玉穂様から離れて、負の感情を──」
「やっ!」
と言いながら、佐吉から目を逸らす。
「あたしは、姐様とまだこうやっていたいの!」
「・・・・・・はあ」
佐吉がため息をつく。
「結衣。佐吉も呆れておるぞ」
「いえ、別に呆れてるわけでは・・・・・・」
「いいもん!佐吉に呆れられたってかまわないもん!」
「・・・・・・佐吉。わっちと結衣に気をつかうな。正直に申せ」
「・・・・・・では」
佐吉が玉穂に向かって軽くお辞儀する。
「・・・・・・いささか幼稚というか、こんな奴に負の感情など集めることができるのかと不安です。まだ、この間の旧鼠の方がマシに思えます」
結衣の身体がピクッと動く。
「・・・・・・言ってくれるじゃないの?人間風情が?」
玉穂に抱きつきながら、佐吉を睨む。
「だったら、負の感情をたんまり集めてこい。そしたら、土下座して謝ってやる」
「言ったな!その言葉忘れるなよ!」
そう言いながら、結衣は玉穂から離れる。
「姐様!あたしをさっきいた場所に戻して!」
「ああ。負の感情、楽しみにしとるぞ」
「任せて!たんまり持ってくるから!」
と結衣は両手を広げながら、玉穂に話す。
鳥居が現れ、結衣に向かっていく。
鳥居が結衣を通らせると、結衣はその場からいなくなる。
そして、鳥居が消える。
「・・・・・・すまなかったな。佐吉」
「いえ。玉穂様の為とあれば、これきし。しかし・・・・・・」
「そうだ・・・・・・え~と佐吉だっけ?姐様とあたしの封印を解いてくれてありがとう。おかげでこうやって姐様と会うことができたよ」
と満面の笑みで礼を言う。
「それは何より。では、さっそく玉穂様から離れて、負の感情を──」
「やっ!」
と言いながら、佐吉から目を逸らす。
「あたしは、姐様とまだこうやっていたいの!」
「・・・・・・はあ」
佐吉がため息をつく。
「結衣。佐吉も呆れておるぞ」
「いえ、別に呆れてるわけでは・・・・・・」
「いいもん!佐吉に呆れられたってかまわないもん!」
「・・・・・・佐吉。わっちと結衣に気をつかうな。正直に申せ」
「・・・・・・では」
佐吉が玉穂に向かって軽くお辞儀する。
「・・・・・・いささか幼稚というか、こんな奴に負の感情など集めることができるのかと不安です。まだ、この間の旧鼠の方がマシに思えます」
結衣の身体がピクッと動く。
「・・・・・・言ってくれるじゃないの?人間風情が?」
玉穂に抱きつきながら、佐吉を睨む。
「だったら、負の感情をたんまり集めてこい。そしたら、土下座して謝ってやる」
「言ったな!その言葉忘れるなよ!」
そう言いながら、結衣は玉穂から離れる。
「姐様!あたしをさっきいた場所に戻して!」
「ああ。負の感情、楽しみにしとるぞ」
「任せて!たんまり持ってくるから!」
と結衣は両手を広げながら、玉穂に話す。
鳥居が現れ、結衣に向かっていく。
鳥居が結衣を通らせると、結衣はその場からいなくなる。
そして、鳥居が消える。
「・・・・・・すまなかったな。佐吉」
「いえ。玉穂様の為とあれば、これきし。しかし・・・・・・」
20
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
明治仕舞屋顛末記
祐*
歴史・時代
大政奉還から十余年。年号が明治に変わってしばらく過ぎて、人々の移ろいとともに、動乱の傷跡まで忘れられようとしていた。
東京府と名を変えた江戸の片隅に、騒動を求めて動乱に留まる輩の吹き溜まり、寄場長屋が在る。
そこで、『仕舞屋』と呼ばれる裏稼業を営む一人の青年がいた。
彼の名は、手島隆二。またの名を、《鬼手》の隆二。
金払いさえ良ければ、鬼神のごとき強さで何にでも『仕舞』をつけてきた仕舞屋《鬼手》の元に舞い込んだ、やくざ者からの依頼。
破格の報酬に胸躍らせたのも束の間、調べを進めるにしたがって、その背景には旧時代の因縁が絡み合い、出会った志士《影虎》とともに、やがて《鬼手》は、己の過去に向き合いながら、新時代に生きる道を切り開いていく。
*明治初期、史実・実在した歴史上の人物を交えて描かれる 創 作 時代小説です
*登場する実在の人物、出来事などは、筆者の見解や解釈も交えており、フィクションとしてお楽しみください
獅子の末裔
卯花月影
歴史・時代
未だ戦乱続く近江の国に生まれた蒲生氏郷。主家・六角氏を揺るがした六角家騒動がようやく落ち着いてきたころ、目の前に現れたのは天下を狙う織田信長だった。
和歌をこよなく愛する温厚で無力な少年は、信長にその非凡な才を見いだされ、戦国武将として成長し、開花していく。
前作「滝川家の人びと」の続編です。途中、エピソードの被りがありますが、蒲生氏郷視点で描かれます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
【架空戦記】蒲生の忠
糸冬
歴史・時代
天正十年六月二日、本能寺にて織田信長、死す――。
明智光秀は、腹心の明智秀満の進言を受けて決起当初の腹案を変更し、ごく少勢による奇襲により信長の命を狙う策を敢行する。
その結果、本能寺の信長、そして妙覚寺の織田信忠は、抵抗の暇もなく首級を挙げられる。
両名の首級を四条河原にさらした光秀は、織田政権の崩壊を満天下に明らかとし、畿内にて急速に地歩を固めていく。
一方、近江国日野の所領にいた蒲生賦秀(のちの氏郷)は、信長の悲報を知るや、亡き信長の家族を伊勢国松ヶ島城の織田信雄の元に送り届けるべく安土城に迎えに走る。
だが、瀬田の唐橋を無傷で確保した明智秀満の軍勢が安土城に急速に迫ったため、女子供を連れての逃避行は不可能となる。
かくなる上は、戦うより他に道はなし。
信長の遺した安土城を舞台に、若き闘将・蒲生賦秀の活躍が始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる