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八話 好きだったから
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「さて、どうしようか?簡単に殺してはつまらん」
「・・・・・・玉穂様」
「どうした咲?急にわっちのことを様付けして」
「お願いが・・・・・・あります」
「お願い?」
玉穂は咲をギロっと見る。
「はい・・・・・・あたしはどうなってもかまいません・・・・・・ですから、どうか、風太には危害を加えず、逃がしてくれませんか?」
「!」
「ほお」
「あたしはどのようなことでも、受け入れます。ですから・・・・・・」
咲の身体は震えていた。
「待ってよ!咲姉!そんなことしたら咲姉が・・・・・・」
「・・・・・・いいだろう。佐吉!このままでは痛ぶりづらい。拘束を解け!」
「はっ」
咲の拘束を解く。
「そのまま、黙って座ってろ」
咲は玉穂の顔をじっと見つめる。玉穂も上から咲を睨むようにじっと見る。
「・・・・・・気が変わった。おまえには何もせず、逃がしてやる。もっと面白いことを思いついた」
玉穂はニヤリと笑い、風太を見た。咲はそれに気づき、玉穂は風太目掛けて、風の刃を放つ。風太は死を覚悟する。しかし、咲が風太の前に立ち、両手を広げ、右肩から左下腹部に風の刃を受ける。激しい出血と吐血をした。
「がはっ!」
「咲姉!」
咲はその場に倒れ込む。風太は駆け寄ろうともがく。
「・・・・・・佐吉、風太の拘束を解いてやれ」
「はっ」
風太の拘束が解ける。
「咲姉!」
風太は無我夢中で咲に駆け寄る。
「咲姉、しっかりして!」
傷口を手で押さえる
「風太・・・・・・ケガない?」
「ケガなんてないよ!それより、咲姉が・・・・・・」
「そう・・・・・・良かった」
「なんで、オイラをかばったんだよ!?」
涙をこぼす風太。
「風太の・・・・・・ことが・・・・・・好きだったから・・・・・・」
咲は静かに目を閉じる。
「咲姉?・・・・・・咲姉!」
風太がいくら叫んでも、咲は返事をしなかった。
「・・・・・・」
「やはり、風太のことを好いていたんだな」
「!──まさか、おまえ・・・・・・」
「ああ、風太を殺しにかかれば、かばうだろうと思った」
「貴様ぁ!」
風太は玉穂に殴りかかろうとする。佐吉が風太を止めようとするが、玉穂が手を広げ、手を出すなと合図する。
玉穂は風太の手首を捕まえ、拳を止める。
「捕まえた」
風太を感電させる。
「!───」
風太は倒れ込む。
「怒りを露わにすれば、勝てるとでも思ったか?」
「くっ・・・・・・」
「佐吉!」
玉穂が佐吉に向けて、山なりに石のようなものを投げる。
「わっちの勾玉からおまえの勾玉もどきに負の感情を移せ」
「はっ」
「移し終わったら、この村に張ってる結界を解除し、今集めた負の感情でできる所まで旦那様の封印解除の作業をしろ!わっちはもう少しここで遊んでいる」
「結界を解除してよろしいのでしょうか?そうすると──」
「かまわん。今はそのほうがいい」
「かしこまりました・・・・・・その前に」
佐吉は玉穂に近づき、勾玉を渡した。
「投げて渡してくれればいいのに」
「いえ、そのような渡し方は滅相もありません」
「そうか・・・・・・そうだ。できたらでいいが、三割ほど負の感情を残しといてくれ」
「かしこまりました」
「では頼んだぞ」
「はっ」
佐吉は一瞬でその場からいなくなる。
「!──父ちゃんはどこに行ったんだ!?」
玉穂は手から金を出し、そこから金の扇子を造形した。
「佐吉は旦那様の封印されてる所に行った──よ!」
玉穂が何かを弾いた。それは竹とんぼの羽根を大きくした、風でできたものだった。しばらくして消え去ってしまう。それと同時に誰かに抱えられ、玉穂から約十尺以上(約三.〇三メートル)離れた所で脇から聞き覚えのある声がした。
「大丈夫か?風太!」
「名主さん!」
宗太は抱えた風太をそっと下ろした。
「辛いかもしれないが、状況を説明してくれ!」
「あそこにいる九尾の玉穂が──」
風太は玉穂に会ってから今までのことを話した。
「名主さん、すみません。オイラ・・・・・・騙された上に何もできず、みんな死なせちゃって・・・・・・」
涙を流しながら話す風太。
「謝るな風太。指示通りやった上でこうなったんだ・・・・・・俺の責任だ。その上、村の異変に気づけなかった・・・・・・こんな思いをさせて、すまない」
宗太は拳を強く握った。
「名主さんは悪くありません!だから・・・・・・」
「ありがとな風太・・・・・・もう気がついてるかもしれねえが、俺は人間じゃねえ」
「・・・・・・はい」
「鎌鼬っていう妖怪なんだ。昔は土を舞い上がらせて、人が目をつぶるなり、気をとられてる隙に切り傷を負わして、負の感情を食べていた」
「・・・・・・」
「けど、そんな生活に疑問を抱くようになって、そんな時に佐吉に出会った。そのお陰で──」
宗太が話してる途中で玉穂が、
「ねえ、そういう話はもうやめてくれない?わざわざ待ってる、こっちの身になってほしいのだけど」
話を遮る。宗太は拳を握る。
「ああ、それはすまなかったな」
宗太は右手を横に伸ばして、手のひらを広げる。すると、どこからか日本刀が来て、宗太はそれを掴んだ。
「風太、すまない。話の続きはこいつを倒してからだ!」
「はい!」
「・・・・・・玉穂様」
「どうした咲?急にわっちのことを様付けして」
「お願いが・・・・・・あります」
「お願い?」
玉穂は咲をギロっと見る。
「はい・・・・・・あたしはどうなってもかまいません・・・・・・ですから、どうか、風太には危害を加えず、逃がしてくれませんか?」
「!」
「ほお」
「あたしはどのようなことでも、受け入れます。ですから・・・・・・」
咲の身体は震えていた。
「待ってよ!咲姉!そんなことしたら咲姉が・・・・・・」
「・・・・・・いいだろう。佐吉!このままでは痛ぶりづらい。拘束を解け!」
「はっ」
咲の拘束を解く。
「そのまま、黙って座ってろ」
咲は玉穂の顔をじっと見つめる。玉穂も上から咲を睨むようにじっと見る。
「・・・・・・気が変わった。おまえには何もせず、逃がしてやる。もっと面白いことを思いついた」
玉穂はニヤリと笑い、風太を見た。咲はそれに気づき、玉穂は風太目掛けて、風の刃を放つ。風太は死を覚悟する。しかし、咲が風太の前に立ち、両手を広げ、右肩から左下腹部に風の刃を受ける。激しい出血と吐血をした。
「がはっ!」
「咲姉!」
咲はその場に倒れ込む。風太は駆け寄ろうともがく。
「・・・・・・佐吉、風太の拘束を解いてやれ」
「はっ」
風太の拘束が解ける。
「咲姉!」
風太は無我夢中で咲に駆け寄る。
「咲姉、しっかりして!」
傷口を手で押さえる
「風太・・・・・・ケガない?」
「ケガなんてないよ!それより、咲姉が・・・・・・」
「そう・・・・・・良かった」
「なんで、オイラをかばったんだよ!?」
涙をこぼす風太。
「風太の・・・・・・ことが・・・・・・好きだったから・・・・・・」
咲は静かに目を閉じる。
「咲姉?・・・・・・咲姉!」
風太がいくら叫んでも、咲は返事をしなかった。
「・・・・・・」
「やはり、風太のことを好いていたんだな」
「!──まさか、おまえ・・・・・・」
「ああ、風太を殺しにかかれば、かばうだろうと思った」
「貴様ぁ!」
風太は玉穂に殴りかかろうとする。佐吉が風太を止めようとするが、玉穂が手を広げ、手を出すなと合図する。
玉穂は風太の手首を捕まえ、拳を止める。
「捕まえた」
風太を感電させる。
「!───」
風太は倒れ込む。
「怒りを露わにすれば、勝てるとでも思ったか?」
「くっ・・・・・・」
「佐吉!」
玉穂が佐吉に向けて、山なりに石のようなものを投げる。
「わっちの勾玉からおまえの勾玉もどきに負の感情を移せ」
「はっ」
「移し終わったら、この村に張ってる結界を解除し、今集めた負の感情でできる所まで旦那様の封印解除の作業をしろ!わっちはもう少しここで遊んでいる」
「結界を解除してよろしいのでしょうか?そうすると──」
「かまわん。今はそのほうがいい」
「かしこまりました・・・・・・その前に」
佐吉は玉穂に近づき、勾玉を渡した。
「投げて渡してくれればいいのに」
「いえ、そのような渡し方は滅相もありません」
「そうか・・・・・・そうだ。できたらでいいが、三割ほど負の感情を残しといてくれ」
「かしこまりました」
「では頼んだぞ」
「はっ」
佐吉は一瞬でその場からいなくなる。
「!──父ちゃんはどこに行ったんだ!?」
玉穂は手から金を出し、そこから金の扇子を造形した。
「佐吉は旦那様の封印されてる所に行った──よ!」
玉穂が何かを弾いた。それは竹とんぼの羽根を大きくした、風でできたものだった。しばらくして消え去ってしまう。それと同時に誰かに抱えられ、玉穂から約十尺以上(約三.〇三メートル)離れた所で脇から聞き覚えのある声がした。
「大丈夫か?風太!」
「名主さん!」
宗太は抱えた風太をそっと下ろした。
「辛いかもしれないが、状況を説明してくれ!」
「あそこにいる九尾の玉穂が──」
風太は玉穂に会ってから今までのことを話した。
「名主さん、すみません。オイラ・・・・・・騙された上に何もできず、みんな死なせちゃって・・・・・・」
涙を流しながら話す風太。
「謝るな風太。指示通りやった上でこうなったんだ・・・・・・俺の責任だ。その上、村の異変に気づけなかった・・・・・・こんな思いをさせて、すまない」
宗太は拳を強く握った。
「名主さんは悪くありません!だから・・・・・・」
「ありがとな風太・・・・・・もう気がついてるかもしれねえが、俺は人間じゃねえ」
「・・・・・・はい」
「鎌鼬っていう妖怪なんだ。昔は土を舞い上がらせて、人が目をつぶるなり、気をとられてる隙に切り傷を負わして、負の感情を食べていた」
「・・・・・・」
「けど、そんな生活に疑問を抱くようになって、そんな時に佐吉に出会った。そのお陰で──」
宗太が話してる途中で玉穂が、
「ねえ、そういう話はもうやめてくれない?わざわざ待ってる、こっちの身になってほしいのだけど」
話を遮る。宗太は拳を握る。
「ああ、それはすまなかったな」
宗太は右手を横に伸ばして、手のひらを広げる。すると、どこからか日本刀が来て、宗太はそれを掴んだ。
「風太、すまない。話の続きはこいつを倒してからだ!」
「はい!」
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