上 下
3 / 17

シンデレラ改変その三

しおりを挟む
 馬車から四十代くらいの男性が降りて、何か手紙のような物を持ってエラに近づく。

「君はこの屋敷の者かい?」

「ええ・・・・・・はい」

「では、これを・・・・・・」

 男性はエラに手紙のようなものを渡す。

「これは?」

「お城の舞踏会の招待状です」

「舞踏会の招待状!?」

 すると、突然屋敷のドアが開き、義理の母が現れた。

「今、舞踏会と聞こえたのですが?」

 義理の母が男性に訊ねる。

「ええ。明日の夜に年頃の娘はできれば全員参加とのお達しで・・・・・・」

「そう・・・・・・どうもありがとう」

「はい。では、失礼いたします」

 そう言うと、男性はその場から離れ、馬車に乗り込んだ。

 止まっていた馬車が動き出し、屋敷の前から去って行った。
 
 その舞踏会が開かれることはアスア達にも知らされる。

「シンデレラ!いいでしょう?このドレス」

 アスアがエラに自分のドレスを持ってエラに見せびらかす。

「ええ、とても・・・・・・」

「まあ、あんたはいけないでしょうね」

「・・・・・・」

 すると、義理の母とドリが入ってくる。

「ママ!ドリお姉ちゃん!どう?このドレス似合うと思う?」

「ええ。とても似合うと思うわ。アスア」

「そうね。我が妹ながら悪くないわ」

「ありがとう。ふふ」

 エラは義理の母をじっと見る。

「・・・・・・お義母様!」

「なんだい?シンデレラ」

「私も舞踏会に・・・・・・行きたいです」

 すると、アスアがドレスを持ちながら、

「はあ?何言ってるの⁉あんた?」

 と言い放つ。

「そうよ、あんたが舞踏会に行きたいなんて生意気よ!」

 とドリがエラに指をさしながら、怒鳴る。

 しかしエラは、臆せず義理の母に、

「お願いです!どうか行かせて下さい!」

 と頭を下げて頼んだ。

「・・・・・・」

「・・・・・・いいでしょう」

 それを聞いたアスアとドリが顔を合わせ、

「ちょっとママ!」

 と二人同時で義理の母に話し掛ける。

「いいんですか!」

 エラは喜びに頬を赤くする。

「ただし、条件があります」

「条件?」

 義理の母は部屋のクローゼットから何十着というボロボロの服を取り出す。

「いつもの仕事に加えて、この服の修繕を明日の朝までに終わらせること。あと、ドレスは自分で作って用意すること。それができたら連れて行ってあげましょう」

「・・・・・・わかりました」

 義理の母はそう言うと、エラにボロボロの服を渡す。

「では、よろしく」

 そう言って義理の母が姉達と一緒に部屋から去って行く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミでヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

処理中です...