113 / 113
最終話 幸あれ
しおりを挟む
約一年後──夕方ごろの太平洋遊園地。
幸と登が歩いていると、登がベンチを見る。
「・・・・・・幸」
「何?」
「ここ覚えてる?」
「え?・・・・・・あ!」
幸は何かを思い出す。
「ここで俺が絶叫系酔いしてる所を幸が声掛けてくれたんだよね?」
「うん、そうだね」
「もし、俺が絶叫系酔いしてなければ幸には出会えなかった」
「・・・・・・その前にお母さんが絶叫系酔いしなかったら、登さんが絶叫系酔いしてても会えなかったかも・・・・・・」
「それ言ったら、姉ちゃんに頼まれてなければ俺は健太とここには来てなかった」
「それ言うなら、お母さんの誘いを受けなかったらあたしも来てなかったかも・・・・・・」
「・・・・・・ぷふっ」
「ふふ」
二人が笑う。
「・・・・・・いろんなことの積み重ねがあって、俺と幸は出会えたんだね」
「そうだね」
「・・・・・・幸、せっかくだから座らないか?」
「うん」
幸と登がそのベンチに座る。
「・・・・・・」
登が幸の前に地面に片膝をついた。
「どうしたの⁉登さん?」
登はショルダーバッグから何かのケースを取り出す。
「この先、いろいろと迷惑や苦労させるかもしれないけど、浮気はしないと誓う。こんな俺で良ければ結婚してくれませんか?」
「!」
登はケースを開け、結婚指輪を幸に見せる。
幸は両手で口を押さえる。
「・・・・・・」
「喜んで」
幸は満面の笑みに涙目で登の手を両手で握る。
一年後──幸の実家。
電話が鳴り出す。
それに真智が出る。
「もしもし幸?」
「あ、お母さん?」
「どうしたの?」
「新婚旅行のお土産渡したいんだけど、明日空いてる?」
「空いてるわよ。それより登さんとはどうだったの?」
「どうだったのって?」
「それは・・・・・・仲良く過ごせた?」
「うん。過ごせた」
「そう。それはよかったわ」
電話の脇に写真立てが置いてあった。
写真立ての中には満面の笑みを浮かべる白無垢姿の幸と袴姿の登、真智達の写ってる写真が入っていた。
完
ここまで、お読みいただきありがとうございました。
幸と登が歩いていると、登がベンチを見る。
「・・・・・・幸」
「何?」
「ここ覚えてる?」
「え?・・・・・・あ!」
幸は何かを思い出す。
「ここで俺が絶叫系酔いしてる所を幸が声掛けてくれたんだよね?」
「うん、そうだね」
「もし、俺が絶叫系酔いしてなければ幸には出会えなかった」
「・・・・・・その前にお母さんが絶叫系酔いしなかったら、登さんが絶叫系酔いしてても会えなかったかも・・・・・・」
「それ言ったら、姉ちゃんに頼まれてなければ俺は健太とここには来てなかった」
「それ言うなら、お母さんの誘いを受けなかったらあたしも来てなかったかも・・・・・・」
「・・・・・・ぷふっ」
「ふふ」
二人が笑う。
「・・・・・・いろんなことの積み重ねがあって、俺と幸は出会えたんだね」
「そうだね」
「・・・・・・幸、せっかくだから座らないか?」
「うん」
幸と登がそのベンチに座る。
「・・・・・・」
登が幸の前に地面に片膝をついた。
「どうしたの⁉登さん?」
登はショルダーバッグから何かのケースを取り出す。
「この先、いろいろと迷惑や苦労させるかもしれないけど、浮気はしないと誓う。こんな俺で良ければ結婚してくれませんか?」
「!」
登はケースを開け、結婚指輪を幸に見せる。
幸は両手で口を押さえる。
「・・・・・・」
「喜んで」
幸は満面の笑みに涙目で登の手を両手で握る。
一年後──幸の実家。
電話が鳴り出す。
それに真智が出る。
「もしもし幸?」
「あ、お母さん?」
「どうしたの?」
「新婚旅行のお土産渡したいんだけど、明日空いてる?」
「空いてるわよ。それより登さんとはどうだったの?」
「どうだったのって?」
「それは・・・・・・仲良く過ごせた?」
「うん。過ごせた」
「そう。それはよかったわ」
電話の脇に写真立てが置いてあった。
写真立ての中には満面の笑みを浮かべる白無垢姿の幸と袴姿の登、真智達の写ってる写真が入っていた。
完
ここまで、お読みいただきありがとうございました。
0
お気に入りに追加
9
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる