浮気されたくない幸の恋愛奮闘記

和山忍

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第百十話 元父その十二

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「やっぱ言いたくない」

「は⁉」

「言った所で、嘘つくなとか言って怒るに決まってる」

「ちょっと!言う前から勝手に決めつけないでよ!」

「じゃあ、怒らないって誓うか?」

「・・・・・・誓う」

「・・・・・・いや、それでも幸は絶対怒る!言わない!」

「はあ⁉」

 幸の手がぷるぷる震える。

「だったらもういい!帰る!」

 幸はドアの方に向く。

「そっか」

 それでいい・・・・・・幸に言う必要はない。

 言った所で何の意味もない。

 それ相応のことをしたんだ・・・・・・嫌われたままでいい。

 幸がドアに手を掛けようとすると、

「あ!」

 何かを思い出したかのように叫ぶ。

「どうした?」

「・・・・・・言い忘れてたことがあった」

 幸はそう言いながら、雅彦の方を向く。

「ん?」

「・・・・・・前に会った時に理由はどうあれ、あからさまに嫌な態度をとってごめん。あと・・・・・・こんなこと言うのはおかしいけど、養育費ありがとう」

「!」

「じゃあね」

 そう言って、幸はドアに手を掛けようとする。

 このまま、帰らせていいのか?

「・・・・・・幸!」

「?」

 幸が雅彦の方を向く。

「理由を話す。聞いてくれ」

「・・・・・・う、うん」

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