浮気されたくない幸の恋愛奮闘記

和山忍

文字の大きさ
上 下
101 / 113

第百話 元父その二

しおりを挟む
「元お父さんが幸を尾行してるかもしれない?」

「うん」

「なんで、元お父さんがそんなことを?」

「その・・・・・・」

 幸は登に約二週間前、雅彦に遭遇し、食事をする代わりにもう二度と自分と母の前に姿を表さないと約束したことを話す。

「そんなことがあったのか・・・・・・」

「うん」

「でも、考えすぎじゃないか?」

「それがね。そうとも言えなくて・・・・・・」

 幸は前に友達との飲み会や登と手を繋いで歩いてた時に後を付けられていたことを話す。

「・・・・・・全く気がつかなかった」

「それを聞いた時はあたしも驚いたよ」

「探偵か何かやってたの?」

「ううん。家を出てく前は湖町グループっていう会社の副社長やってた」

「湖町グループ⁉なかなかの大手じゃないか!」

「うん。うちのお母さんもそう言ってた」

「とても優秀な人だったんだね」

「・・・・・・優秀だったかはわかないけど、何をやらせても器用にこなす人だったってお母さんが言ってた」

 幸はふと、昔に雅彦とかくれんぼをしたことを思い出す。

「・・・・・・そっか。元お父さんは器用な人だったのか」

「うん。しかも隠れるのが上手かったから厄介なんだよ」

「でも、さすがにそうやって警戒するのも疲れるんじゃないか?」

「そうなんだけど、もし本当に尾行されてたら覗き見されてるようで嫌だし・・・」

「でも、それなら逆に元お父さんに自分は今幸せだってみせつけるチャンスでもあるんじゃない?」

「あ!なるほど・・・・・・ん?」

「どうした?」

「雅彦は登さんが浮気してるかもしれないと思っていて、それでも付き合ってるあたしを見て・・・・・・」
 
 物陰で口を押さえて笑う雅彦の姿が幸の頭に浮かんだ。

「やっぱり嫌!そう思われてるのも嫌だし、直接会って登さんは浮気なんかしてないって言ってやりたい・・・・・・」

 幸が頭を抱える。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

犠牲の恋

詩織
恋愛
私を大事にすると言ってくれた人は…、ずっと信じて待ってたのに… しかも私は悪女と噂されるように…

社長から逃げろっ

鳴宮鶉子
恋愛
社長から逃げろっ

処理中です...