浮気されたくない幸の恋愛奮闘記

和山忍

文字の大きさ
上 下
100 / 113

第九十九話 元父その一

しおりを挟む
 三日後──幸の住むアパート。

 幸は登さんとのことが落ち着いてから時折、雅彦のことを考えていた。

 なぜかと言えば、何か引っかかりのようなものを感じたからだ。

 元父である雅彦は約束を一度足りとも破ったことはなかった。

 もちろん、約束を破る可能性もある。しかし、それ以外で何か盲点みたいなのがあるでは・・・・・・。
 
 幸はスマホを操作する。

『約束だよ!二度とあたしとお母さんの前には姿を現さないでね!』

『はて?そんな約束したか?・・・・・・・・・・・・冗談だ。約束は守る』

『さよなら』

『・・・・・・ああ』

 幸はスマホの録音を止める。

「・・・・・・」

 幸はスマホを持ったまま仰向けになって、再び考え始める。

「・・・・・・あっ!」

 幸は身体を起こす。

「二度とあたしとお母さんの前に姿・・・・・・」

 幸は何かに気づいたのか、頭を抱え込んだ。

 次の日──。

 幸はドアを開けると、あたりを見渡す。

 車に乗る時もあたりを見渡す。

 幼稚園では・・・・・・子供達を見守る。

 帰る時にもあたりを見渡す。

 車から降りて、アパートに入る時も見渡す。

 それから数日後──登とのデート中。

「幸?」

「何?」

「さっきからキョロキョロとあたりを見渡してるように見えるんだが、ストーカーにもでもつけられてるのか?」

「ううん。多分つけられてないと思う」

「じゃあ、なんでそんなに・・・・・・」

「え~と、念の為・・・・・・」

「念の為?」

「・・・・・・実は──」

  
 

 
 

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

貴妃エレーナ

無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」 後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。 「急に、どうされたのですか?」 「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」 「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」 そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。 どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。 けれど、もう安心してほしい。 私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。 だから… 「陛下…!大変です、内乱が…」 え…? ーーーーーーーーーーーーー ここは、どこ? さっきまで内乱が… 「エレーナ?」 陛下…? でも若いわ。 バッと自分の顔を触る。 するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。 懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

犠牲の恋

詩織
恋愛
私を大事にすると言ってくれた人は…、ずっと信じて待ってたのに… しかも私は悪女と噂されるように…

処理中です...