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第八十三話 幸せからの・・・・・・その九
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それから十分後──。
登は窓の外を見ながら、電話をしていた。
「一ヶ月以内にはまた行けると思うから・・・・・・うん。じゃあね」
登は電話を切る。
「か~さんから?」
「ああ、幸のことが気にいったみたいでさ──あ!」
「ど~した、兄貴~?」
「ど~したじゃないよ!どんだけ酎ハイ飲んでんだよ!」
「どんだけって~これで六本だけど~」
「飲みすぎだろ!会話もおかしいし」
「心配ないって~」
「アパートに帰ったら、今日は飲むなよ」
「わかりました~!」
相当、酔ってるなぁ。
登が窓の外を見る。すると、呼んだタクシーがちょうど来た所だった。
「清、タクシー来たぞ!」
「わかった~」
清が立上がろうとすると、ふらつく。
「かなり酔ってるな」
「トイレに行ってくる~」
清はふらつかながら、トイレへと向かった。
しばらくして、清は登の腕にしがみつきながら、階段を下りて行く。
この状態で階段を一人で歩かせるのは危ないからな・・・・・・。
タクシーへと二人は乗る。そして、タクシーを走らせる。
「久しぶりだね。登君」
「?・・・・・・道夫さん⁉」
「兄貴の知り合い~?」
清が登に訊ねる。
「こちらは幸の親戚の道夫さんだ」
登が道夫に清のことを紹介しようと、
「それで、え~と言っても大丈夫か?」
清に訊ねると頷く。
「・・・・・・弟の清です」
「なんだ。弟さんか。しかし、なんでそんな格好を?」
「そのですね──」
登は道夫になんで、清が女装をしているのかを話した。
「なるほど、そういうことか。ははは」
と笑いながら言う。
「ちなみにこのことは他言無用で・・・・・・」
「大丈夫。警察にでも聞かれない限りは話さないよ」
「それなら、よかったです」
数十分後──。
気がつくと清は眠っていた。
「いろいろすみません。弟が・・・・・・」
「いや、全然。むしろ弟さんでよかったよ」
「え?」
「最初、女の人かと思って一瞬、申し訳ないけど、もしや浮気?って思ってしまってね。内心ハラハラしちゃったよ」
「それはすみませんでした」
「いや、こちらこそ疑ってすまなかった」
「いえ」
「着いたよ」
「はい。ありがとうございます」
登は代金を払い、二人はタクシーから降りる。
そして、タクシーは走り去っていった。
清は登の腕にしがみつきながら、自分のアパートへと歩いて行った。
中に入り、清をベッドに横にさせる。
「じゃあ、俺は帰るから」
「待って~兄貴~」
清が起き上がる。
「どうした?」
清の腹が鳴る。
「何か作って~」
「・・・・・・わかった」
そして、現在──。
登は窓の外を見ながら、電話をしていた。
「一ヶ月以内にはまた行けると思うから・・・・・・うん。じゃあね」
登は電話を切る。
「か~さんから?」
「ああ、幸のことが気にいったみたいでさ──あ!」
「ど~した、兄貴~?」
「ど~したじゃないよ!どんだけ酎ハイ飲んでんだよ!」
「どんだけって~これで六本だけど~」
「飲みすぎだろ!会話もおかしいし」
「心配ないって~」
「アパートに帰ったら、今日は飲むなよ」
「わかりました~!」
相当、酔ってるなぁ。
登が窓の外を見る。すると、呼んだタクシーがちょうど来た所だった。
「清、タクシー来たぞ!」
「わかった~」
清が立上がろうとすると、ふらつく。
「かなり酔ってるな」
「トイレに行ってくる~」
清はふらつかながら、トイレへと向かった。
しばらくして、清は登の腕にしがみつきながら、階段を下りて行く。
この状態で階段を一人で歩かせるのは危ないからな・・・・・・。
タクシーへと二人は乗る。そして、タクシーを走らせる。
「久しぶりだね。登君」
「?・・・・・・道夫さん⁉」
「兄貴の知り合い~?」
清が登に訊ねる。
「こちらは幸の親戚の道夫さんだ」
登が道夫に清のことを紹介しようと、
「それで、え~と言っても大丈夫か?」
清に訊ねると頷く。
「・・・・・・弟の清です」
「なんだ。弟さんか。しかし、なんでそんな格好を?」
「そのですね──」
登は道夫になんで、清が女装をしているのかを話した。
「なるほど、そういうことか。ははは」
と笑いながら言う。
「ちなみにこのことは他言無用で・・・・・・」
「大丈夫。警察にでも聞かれない限りは話さないよ」
「それなら、よかったです」
数十分後──。
気がつくと清は眠っていた。
「いろいろすみません。弟が・・・・・・」
「いや、全然。むしろ弟さんでよかったよ」
「え?」
「最初、女の人かと思って一瞬、申し訳ないけど、もしや浮気?って思ってしまってね。内心ハラハラしちゃったよ」
「それはすみませんでした」
「いや、こちらこそ疑ってすまなかった」
「いえ」
「着いたよ」
「はい。ありがとうございます」
登は代金を払い、二人はタクシーから降りる。
そして、タクシーは走り去っていった。
清は登の腕にしがみつきながら、自分のアパートへと歩いて行った。
中に入り、清をベッドに横にさせる。
「じゃあ、俺は帰るから」
「待って~兄貴~」
清が起き上がる。
「どうした?」
清の腹が鳴る。
「何か作って~」
「・・・・・・わかった」
そして、現在──。
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