浮気されたくない幸の恋愛奮闘記

和山忍

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第四十二話 実家にて〜その九

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「私も一緒にいいですか?・・・・・・なーんて」

 芽衣がニコっとしながら言う。

「ちょっと、なんで中に!?」

「知らないんですか?トイレはもしもの非常時の為に鍵がかかっていても、ある物を使えば、外からでも開けられるようになってるんですよ」

 そう言いながら、ドアを閉め、鍵をかける。

「それくらい知ってるよ!そうじゃなくて、なんで鍵を開けてまで中に入って来たかって聞いてるの!」

「それはね・・・・・・」

 芽衣は持ってたハンドバッグから何かを取り出した。

「⁉」

 芽衣が取り出したのはサバイバルナイフだった。

「私は不幸のどん底です。それに比べて、幸は幸せそうで羨ましい・・・・・・だから、あなたを殺します」

「ちょっと待って!落ち着いて!」

「私は落ち着いてますよ」

 いや、ナイフ持って殺害予告してる時点で落ち着いてると言えないから!

「羨ましいって、なんでそう思ったの!?」

「だって三十分くらい前、楽しそうに自分の娘と歌いながら手を繋いで歩いてたじゃない?」

 もしかして、見てたの?というより、さっきのあなたを見てそう感じましたって、そう言うこと⁉

「ちょっと待って!あたしは結婚してないし、この女の子はあたしの娘じゃないよ!お母さんの従姉弟の娘なの!」

「そんな嘘はやめて下さい。見れば分かるんです。あなたはさぞ幸せな家庭を作ってるって・・・・・・」

「だから、あたしは子供もいないし、そもそも結婚なんて──」

「嘘は止めて下さいって言ってるでしょ!」

 芽衣は手をプルプルさせる。

 どうしよう信じてくれない・・・・・・

「幸姉は嘘なんか言ってません!」

 千冬ちゃん⁉
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