浮気されたくない幸の恋愛奮闘記

和山忍

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第三十五話 実家にて〜そのニ

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 しばらくして、リビングで千冬が画用紙にクレヨン使って、象の絵を描いていた。

「千冬ちゃん。この象、鼻が伸びやかでいいね」

「・・・・・・うん」

 幸が笑顔で言うと、千冬は頬を少し赤くしながら、返事をする。

「千冬ちゃん、絵を描くのが好きね」

「そうなんだよ。将来漫画家になりたいって言ってて」

「夢があっていいじゃない」

「まあね」

「そういえば、タクシーの仕事はどうなの?」

「ああ、運転するのは、好きだし、緊張感あって楽しいよ」

「そう。それはよかった」

「でも、今さらながら、市内で従姉弟同士がこうやって会うのも悪くないもんだ」

「そうね」

 二人が話してると、幸が二人の方を見て、

「そういえば、お母さんと道夫さんって、従姉弟同士なのに、なんで互いにさん付けなの?」

 と質問をした。

「あ~、それはね昔、厳しい親戚の婆ちゃんがいたんだよ」

「そう。その人の近くで私が道夫ってと呼ぶとさん付けしなさい!って怒ってきてね」

「俺は元からさん付けで呼んでたから何も言われなかったんだけど、真知さんにはもう凄くてな・・・・・・」

「そうなのよ!そのお婆ちゃんはもう死んだんだけど、今だにそれが抜けきらなくてね・・・・・・」

 それを聞いた幸が思わず、

「へぇ~、そんな人がいたんだ」

 と信じられないような顔をした

「そうよ」

 そして、数時間後──

「そろそろ、お昼だし、帰るよ」

「えっ、ご飯食べていったら?」

「いや、流石にそれは悪いよ」
 
 道夫がそう言うと千冬が、

「え~ご飯食べて行きたい!」

 と言い出す。

「千冬ちゃんもこう言ってるし・・・・・・」

「・・・・・・じゃあ、お言葉に甘えて」

「やったー」

「じゃあ、さっそく」

 真知が立ちあがる。

「ちょっと待ってお母さん!今日はあたしが作りたい」

「あら、いいの?」

「うん。たまには」

 幸が立ちあがり、台所に行く。その後を千冬が追いかける。

「千冬ちゃん、何がいい?」

「え~とね・・・・・・オムライスがいい!」

「じゃあ、オムライスにしようか」

「やったー」

 幸が冷蔵庫を開けると、

「あっ!」






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