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一話 朝食

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 しばらくして、椿は階段を降りて台所のある部屋に入る。

「おはようお父さん」

「おはよう椿。今日は朝まで一人で寝られて偉かったね」

 と朝食に使うお皿を持って褒める。

「うん!あのね!夢で幻獣の獏に会ったの!それで一緒に遊んだの!」

「そうか。それはすごいね」

 と言って、父は椿の頭を撫でる

「うん!」

「今朝食できたから席に座りなさい」

「は~い」

 と言って椿がテーブル席に座る。

 すると、台所の勝手口が開き、

「おはよう椿」

 と言いながら、五十代後半くらいの女性が手に何かを持って入ってきた。

「おはよう婆ちゃん!」

「お義母さん。お目当ての薬草は採れましたか?」

「この通り採れたよ。貞彦さん」

 と言いながらざるに乗せた薬草を貞彦に見せる。

「それはよかった。今ちょうど朝食できたので、薬草と手を洗ったら食べて下さい」

「ありがとう。とりあえず手だけ洗うとするよ」

 祖母は笊を台所のワークトップに置いて、手を洗い始めた。

 椿があたりをキョロキョロと見渡す。

「お母さんは?」

「もう仕事に行ったよ」

 と父は言って、皿に載せた朝食の目玉焼きとウィンナーを椿の前に置いた。

「・・・・・・そっか」

 と言って椿がうつ向く。

 手を洗い終わった祖母は、

「それにしても、今日は朝まで一人で寝られて偉かったね」

 と椿の祖母が褒める。

「うん!あのね!夢で獏に会ったの!」

「あの未確認幻獣の獏にかい?」

「うん!」

「それはすごいね~」

 そう言いながら、祖母は椿の頭を撫でる。

 話してる間に、父が朝食をテーブルに並べ終わる。

 祖母と父が席につく。

「では・・・・・・」  

 と祖母が手を合わせながら言うと、父と椿も手を合わせ、

「「「いただきます」」」

 と挨拶をした。

  
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