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第一話
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「部長これはどういうことですか!!どう見てもあっちのミスでしょう!?板倉に責任を押し付けるのは間違ってます!」
私は石崎舞。物事を有耶無耶にできない性格のせいで、度々上の人間に煙たがられてきた。融通がきかない、とも言われたし、女のか弱さが大幅にかけてるとも言われた。笑って誤魔化すものの案外傷つく。
中高一貫の女子校に通っていた為か、高校を卒業した10年前まで全くと言っていいほど男と関わった事がなかった。持ち前の明るい性格で踏ん張ったお陰で男とはすぐに打ち解けたが、彼氏いない歴=年齢を28歳の今でも随時更新中だ。
男の後輩・同僚・先輩には好かれるものの便利な先輩・同僚・後輩止まりだ。
女っ気は確かにないが、もう少し寄ってきてくれてもいいじゃないか、と思わんでもない。
「まぁまぁ石崎さん落ち着かんか・・」
「落ち着いていられる状況ですかっ、訂正してください。彼女が謝罪するべきではないと。」
「・・板倉さんも下がってくれ。」
「待ちなさいよ!何が下がれよ、謝れって言ってんのよ!」
「石崎さん君は誰に向かって口をきいているんだ!!」
「後輩の暴言を指摘する前に自分の間違いを認めてください!私はクビでも何でも構いませんから!」
「・・・すまなかった板倉さん。」
いえ・・と恐縮しているのは私の後輩の板倉佳代。私とは正反対なか弱い女の子で社内の男には人気が高い。
「ふぅ・・ありがとうございました。失礼します。」
「石崎さんはいつも人の間違えを指摘できるから部長とか向いてるんじゃないか。ここに居れば部長になるのも夢じゃないぞ。」
ここに居てほしいなら言いたいならハッキリ言えばいいのに。
「ええ、端から辞めるつもりなんてありませんが?」
振り返ってそう返事をすると笑みを浮かべて自分のデスクへ戻った。
「あの・・ありがとうございますっ」
昼休憩に差し掛かった時、板倉佳代が礼をしに来た。小さな洋菓子が入った箱と
手紙を渡された。
「あ、ありがとう!佳代ちゃんももっとズバッと言っていいのよ?あんな上司、見本にするだけ無駄だから。」
「あはは・・あのぉ、お昼お一人なら一緒にどうですか?私お弁当作ったんですけど、おにぎり作りすぎちゃって・・食べてもらえると嬉しいです!」
「わー!ありがとう!じゃあそこのデスク、今森下いないから使って。」
佳代は空いた椅子にちょこんと座ると、おにぎりを食べ始めた。
笑顔は上品な中にも可愛さがあり、料理が得意そうな一面も私が男だったら惚れるし、同性として羨ましく同時に見習わなければいけない部分でもあった。
「おー、珍しい組み合わせじゃん。か弱い子犬と狼みたいな?」
二人の間に、同僚の森下和希が入ってきた。彼はフレンドリーで一見軽そうな雰囲気だが、意外と恋愛に真面目。5年間付き合っている彼女と近々入籍するらしい。
「森下っ!あんた呑気に外食してる暇あったら仕事終わらせたらいいのに、今日も残業でしょ」
「あっ・・森下先輩お席お借りしてます・・。あの、ごめんなさい!今退きます!」
「いいよ板倉さん座ってて。石崎も板倉さんくらい癒されオーラ出てて可愛かったらいいのになー、毎日デスクの隣で電話に怒鳴ってるの聞かされるこっちの身にもなれよなぁ・・」
「あれは取引先と揉めて・・っていうか、あっちがミス認めないから・・」
「揉めてばっかだと、クビになんぞ?」
「うっさい。」
と、その時昼休憩の賑やかなオフィスに部長と見慣れない青年が入ってきた。
これが彼との、出会いだった。
私は石崎舞。物事を有耶無耶にできない性格のせいで、度々上の人間に煙たがられてきた。融通がきかない、とも言われたし、女のか弱さが大幅にかけてるとも言われた。笑って誤魔化すものの案外傷つく。
中高一貫の女子校に通っていた為か、高校を卒業した10年前まで全くと言っていいほど男と関わった事がなかった。持ち前の明るい性格で踏ん張ったお陰で男とはすぐに打ち解けたが、彼氏いない歴=年齢を28歳の今でも随時更新中だ。
男の後輩・同僚・先輩には好かれるものの便利な先輩・同僚・後輩止まりだ。
女っ気は確かにないが、もう少し寄ってきてくれてもいいじゃないか、と思わんでもない。
「まぁまぁ石崎さん落ち着かんか・・」
「落ち着いていられる状況ですかっ、訂正してください。彼女が謝罪するべきではないと。」
「・・板倉さんも下がってくれ。」
「待ちなさいよ!何が下がれよ、謝れって言ってんのよ!」
「石崎さん君は誰に向かって口をきいているんだ!!」
「後輩の暴言を指摘する前に自分の間違いを認めてください!私はクビでも何でも構いませんから!」
「・・・すまなかった板倉さん。」
いえ・・と恐縮しているのは私の後輩の板倉佳代。私とは正反対なか弱い女の子で社内の男には人気が高い。
「ふぅ・・ありがとうございました。失礼します。」
「石崎さんはいつも人の間違えを指摘できるから部長とか向いてるんじゃないか。ここに居れば部長になるのも夢じゃないぞ。」
ここに居てほしいなら言いたいならハッキリ言えばいいのに。
「ええ、端から辞めるつもりなんてありませんが?」
振り返ってそう返事をすると笑みを浮かべて自分のデスクへ戻った。
「あの・・ありがとうございますっ」
昼休憩に差し掛かった時、板倉佳代が礼をしに来た。小さな洋菓子が入った箱と
手紙を渡された。
「あ、ありがとう!佳代ちゃんももっとズバッと言っていいのよ?あんな上司、見本にするだけ無駄だから。」
「あはは・・あのぉ、お昼お一人なら一緒にどうですか?私お弁当作ったんですけど、おにぎり作りすぎちゃって・・食べてもらえると嬉しいです!」
「わー!ありがとう!じゃあそこのデスク、今森下いないから使って。」
佳代は空いた椅子にちょこんと座ると、おにぎりを食べ始めた。
笑顔は上品な中にも可愛さがあり、料理が得意そうな一面も私が男だったら惚れるし、同性として羨ましく同時に見習わなければいけない部分でもあった。
「おー、珍しい組み合わせじゃん。か弱い子犬と狼みたいな?」
二人の間に、同僚の森下和希が入ってきた。彼はフレンドリーで一見軽そうな雰囲気だが、意外と恋愛に真面目。5年間付き合っている彼女と近々入籍するらしい。
「森下っ!あんた呑気に外食してる暇あったら仕事終わらせたらいいのに、今日も残業でしょ」
「あっ・・森下先輩お席お借りしてます・・。あの、ごめんなさい!今退きます!」
「いいよ板倉さん座ってて。石崎も板倉さんくらい癒されオーラ出てて可愛かったらいいのになー、毎日デスクの隣で電話に怒鳴ってるの聞かされるこっちの身にもなれよなぁ・・」
「あれは取引先と揉めて・・っていうか、あっちがミス認めないから・・」
「揉めてばっかだと、クビになんぞ?」
「うっさい。」
と、その時昼休憩の賑やかなオフィスに部長と見慣れない青年が入ってきた。
これが彼との、出会いだった。
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