ぱぴLove〜私の幼なじみはちょっと変〜

邪神 白猫

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♡番外編♡

本当の気持ち〜side翔〜

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 本編バレンタインのエピソード



💓🍫🎁💓🍫🎁💓🍫🎁💓🍫🎁💓🍫🎁💓





 いつから君を、一人の女の子として意識するようになったのか──それは自分でも分からない。
 妹の友達。俺にとって、彼女は第二の妹のような存在だった。確かにそう、思っていた。

 でも、気が付けば好きになっていた。

 今までの経験から、俺は誰と付き合ってもどうしても妹の事を優先させてしまうはず。これは、この先も一生変わらないのだろう。
 小さくてか弱いくせに、それでいてどこか無鉄砲で。その無邪気さが、酷く心配で堪らないのだ。

 変な男に騙されやしないか、危険な目に遭ってやしないかなど、いつも心配で目が離せない。おまけに、彼氏はあの響ときている。
 これでも一応、響の事は信用している。あいつは絶対に花音を傷付けるような事はしないだろう。それだけは、不思議と確信を持って言える。だけど──。


(響は少し…。いや、だいぶ変なやつだからな)


 やっぱり、花音の事が心配で放っておく事ができないのだ。

 だから、俺は自分の気持ちに蓋をした。
 彼女を一番に優先してあげられないなら、自分から告白なんてするもんじゃない。そう、自分に言い聞かせていた。

 何より、失うのが怖かったから。
 大切にできずに失ってしまうぐらいなら、この気持ちは一生自分の胸に秘めておこう。そう、思っていたんだ。


「コレね……、本命だから」

「…………え?」


 目の前に差し出された綺麗に包装されたチョコを見つめながら、思いもよらない突然の出来事に呆然とする。


「俺は……、花音のことが一番に優先なんだ」


 俺の口から、無意識にそんな言葉が小さくポツリと溢れた。
 それを聞いた彩奈は、一瞬悲しそうな顔を見せると、俺に向けて小さく微笑んでから差し出した手を引っ込めた。


「うん、そっか……そうだよね。やっぱり迷惑だよね、ごめんね……っ。今のは忘れて」



 ────!



 立ち去ろうとする彩奈の手をグイッと掴むと、驚いた顔をする彩奈が俺を見上げた。


「いや……だから、そうじゃなくて……。俺は彩奈の事が好きなんだ。でも、やっぱり花音の事を優先してしまうと思う。だから……彩奈を悲しませて失いたくない」


 彩奈の言動に触発された俺は、告げるはずではなかった胸の内をさらけ出した。
 すると、涙を浮かべた瞳でニッコリと微笑んだ彩奈。




「なんだ、そんな事。……何年一緒にいると思ってるの?」




 そう言って微笑んだ彩奈はとても綺麗で。

 まるで時間ときが止まったかのような錯覚を覚えた俺は、瞳を逸らすこともできないまま、ただ目の前の彼女に見惚れてしまったんだ──。






─完─


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