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高1【春】
優雨
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※※※
ーーーガラッ
扉を開いて保健室へと入ると、私は1つだけカーテンの引かれたベットの前へと近付くと足を止めた。
目の前のカーテンをそっと捲って中の様子を覗いてみると、そこには泣き腫らした瞼を瞑って小さな寝息をたてている夢がいる。
「夢……」
小さな声でそう呟くと、静かに眠る夢へと近付きその顔を覗き込む。
夢の頬には涙の跡が残り、閉じられた瞼の端にはまだ少し涙が残っている。
きっと、つい先程まで1人で泣いていたのだろう。
そう思いながら視線を下へと流すと、首元に付けられたいくつかの鬱血痕が目に入った。
「っ夢……。夢……っ、ごめんね」
私はそっと夢の頬に触れると、静かに涙を流した。
「守ってあげられなくて……、ごめんね……っ」
そう小さく呟くと、静かに眠る夢にそっとキスをしたーー
ーーーガラッ
「ーー夢に何してるの、優雨」
怒りを含んだ声に勢いよく顔を上げると、その声の元へと視線を向けてみるーー
すると、保健室の入り口に立ったままの奏多が、鋭い目つきで私を睨みつけている。
そのままこちらへと近付いてきた奏多は、私の腕を乱暴に掴み上げると夢から引き離した。
「夢に近付くなっ!」
「……っ! ……奏多、夢に優しくするって言ったじゃない! もう、酷い事はしないって! それなのに……っ、それなのに……っ!」
私達の大声で目を覚ましてしまった夢が、泣きはらした瞼を擦りながらゆっくりとベットから起き上がろうとする。
「……ん。……優雨、ちゃん……?」
「……夢、帰るよ。鞄は持ってきたから」
そう言って夢の腕を掴んだ奏多は、目覚めたばかりの夢を強引にベットから引きずり出す。
その光景を目にした私は、頭に血が上ると奏多の腕を掴んで大声を上げた。
「やめてよっ! 酷い事しないでっ!」
私の手を簡単に振り払うと、そのままズルズルと夢を連れて保健室を出て行こうとする奏多。
「っ! 奏多く……っ、痛ッ……! ぅぅっ……ッ」
泣き出す夢に、目もくれずに歩いてゆく奏多。
私はそんな奏多が許せなくて、再び奏多に食らいついた。
「奏多っ!! 夢を離してっ! やめてっ! ……やめてよ!!!」
必死に止めようとしても奏多の歩みを止めることはできず、ついに私達はもつれるようにして廊下へと出てしまった。
「ーー何やってるんだよ!」
突然聞こえたその声に、一瞬だけ奏多の歩みが遅くなったーー次の瞬間。
楓が奏多の肩を掴んだことで、奏多は完全にその動きを止めたのだった。
ーーーーーー
ーーーガラッ
扉を開いて保健室へと入ると、私は1つだけカーテンの引かれたベットの前へと近付くと足を止めた。
目の前のカーテンをそっと捲って中の様子を覗いてみると、そこには泣き腫らした瞼を瞑って小さな寝息をたてている夢がいる。
「夢……」
小さな声でそう呟くと、静かに眠る夢へと近付きその顔を覗き込む。
夢の頬には涙の跡が残り、閉じられた瞼の端にはまだ少し涙が残っている。
きっと、つい先程まで1人で泣いていたのだろう。
そう思いながら視線を下へと流すと、首元に付けられたいくつかの鬱血痕が目に入った。
「っ夢……。夢……っ、ごめんね」
私はそっと夢の頬に触れると、静かに涙を流した。
「守ってあげられなくて……、ごめんね……っ」
そう小さく呟くと、静かに眠る夢にそっとキスをしたーー
ーーーガラッ
「ーー夢に何してるの、優雨」
怒りを含んだ声に勢いよく顔を上げると、その声の元へと視線を向けてみるーー
すると、保健室の入り口に立ったままの奏多が、鋭い目つきで私を睨みつけている。
そのままこちらへと近付いてきた奏多は、私の腕を乱暴に掴み上げると夢から引き離した。
「夢に近付くなっ!」
「……っ! ……奏多、夢に優しくするって言ったじゃない! もう、酷い事はしないって! それなのに……っ、それなのに……っ!」
私達の大声で目を覚ましてしまった夢が、泣きはらした瞼を擦りながらゆっくりとベットから起き上がろうとする。
「……ん。……優雨、ちゃん……?」
「……夢、帰るよ。鞄は持ってきたから」
そう言って夢の腕を掴んだ奏多は、目覚めたばかりの夢を強引にベットから引きずり出す。
その光景を目にした私は、頭に血が上ると奏多の腕を掴んで大声を上げた。
「やめてよっ! 酷い事しないでっ!」
私の手を簡単に振り払うと、そのままズルズルと夢を連れて保健室を出て行こうとする奏多。
「っ! 奏多く……っ、痛ッ……! ぅぅっ……ッ」
泣き出す夢に、目もくれずに歩いてゆく奏多。
私はそんな奏多が許せなくて、再び奏多に食らいついた。
「奏多っ!! 夢を離してっ! やめてっ! ……やめてよ!!!」
必死に止めようとしても奏多の歩みを止めることはできず、ついに私達はもつれるようにして廊下へと出てしまった。
「ーー何やってるんだよ!」
突然聞こえたその声に、一瞬だけ奏多の歩みが遅くなったーー次の瞬間。
楓が奏多の肩を掴んだことで、奏多は完全にその動きを止めたのだった。
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