【完結】公爵令嬢はただ静かにお茶が飲みたい

珊瑚

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そこからはまさに蜂の巣をつついたような騒ぎだった。

「一体何のことだ……俺だけだといったよな!?そうだろ、サラ!!」
「待てよ、どう言うことだ!?俺のことを愛してるからだといったのは嘘だったと言うことなのか!?」
「さっきの意味ありげな視線はなんだったんだ!?誘ってたんじゃないのか!??余計な事を言わせたくなかっただけという事か!?」
「うるっさいわね!私は王妃になるのよ!この私にそんなこと言ってタダですむと思ってんの!?」

阿鼻叫喚、混沌と呼んで差し支えない様相を呈している。
目の前で心底くだらないことで騒がれてシルヴィアはどっと気疲れしていた。


「正直、あなた方の恋愛沙汰なんて微塵も興味無いのですけど、フィンレー男爵令嬢は王妃殿下に謝罪したらよろしいのでは?多大な迷惑をかけることになったのですし。」
「謝る?何を?ルバート様に真実の愛を教えたことに感謝して欲しいくらいたわ!……でもまぁ、そうね。せっかくあてがった次期王妃が私になっちゃったんだし、ご苦労様です、お・義・母・様?」

満面の笑みを浮かべるサラに対して、王妃は小さく息をつくとサラとは目も合わせずに口を開いた。


「……別に謝る必要なんてありませんよ。さっきそこの男にも言いましたが、勝手になさい。」
「まぁ、私のことを認めてくださるのですね!ありが……」
「王妃である私が、たかが男爵家の後継問題に口出しするとでも?その男と結婚して男爵家を継ぐのでしょう、勝手になさい。」
「何を……!」
「気軽に話しかけないでちょうだい、男爵令嬢の分際で。さっきから黙って聞いていれば……。そもそも今日、私は貴女たちを招いたかしら?」

やっとサラと目を合わせた王妃の瞳は、冷たく凍てつくようだった。
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