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「……あなた、何か勘違いしてるんじゃなくて?あなたはただの男爵令嬢で私は公爵令嬢。本来なら話しかけることなど叶わない存在なのよ。」

確かにシルヴィアは笑顔を浮かべていた。しかし、彼女の瞳は全く温度を感じさせないほど冷たく冷えきっていた。


「シルヴィアさんこそ分かってるんですか?私はルバート様の新しい婚約者なんですよ?」

サラは、シルヴィアの様子に一瞬怯んだが、すぐに勢いを取り戻した。震える声を押さえつけるためなのか、先程より声が大きく、耳をそばだてなくとも聞こえるほどだ。

シルヴィアはふと王妃を伺い見て、彼女がこちらを見据えたままぴくりと眉を動かしたのを確認すると、ついと周りを見渡した。
最初にこの場にサラと共に入ってきた面々は信じられないものを見たような表情でサラを見詰めていた。とはいえ、どこかそれぞれに余裕があるように見なくもない所が引っかかる。


「うふふっ。……たかがあの男と結婚することが決まっただけで偉そうにしないでくださいませ。……まぁそうね。これからの苦労を考えて今回に限りあなたの無礼も『水に流して』あげますわ。」

先程の自分のセリフを返されてサラは屈辱に震える。何か言い返そうとしたサラだったが、それが口から出る前に割り込んできた者がいた。


「シルヴィア、お前こそ自分の立場を考えろ!サラは将来俺と結婚するんだ!つまり次期王妃だ!たかが公爵令嬢風情が次期王妃を学園で虐めたんだ!お前こそ身の振り方を考えろ!!」

ルバートはシルヴィアをそう罵倒しながらサラの肩を抱き寄せ、睨みつける。
気分は愛するものを悪役から守る正義のヒーローだろう。
だが、そんな彼らを見ながら、シルヴィアはこてんと小首を傾げた。


「王妃?なんの話しをなさってるんです?」
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