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しおりを挟む穏やかな風が吹く午後。
眩いばかりの日差しが風に揺られる木の葉に遮られ、穏やかな木漏れ日となって降り注ぐ。
地面にまだら模様を描くそれは、ほのかな温もりを持って様々な生き物を優しく包み込む。
城の中庭に設置されたティールームは、小屋と呼ぶには小さく、東家というには大きいながらも、白を基調に、趣味よくあつらえられており、不思議と違和感なく緑の中に佇んでいた。
ティールームの中心には、白地に金を差し色として使った重厚ながらも繊細な、猫足の長机が置かれている。その最も上座――いわゆるお誕生日席だ――には、この場所の主人である王妃が柔らかな微笑みを湛え、周囲の他の席には、上位貴族の夫人・令嬢たちがついていた。
皆それぞれ美しく装い、その華やかさは、ティールームの周囲に咲き誇る花々にも見劣りしないほどである。
中でも一際目を引くのは、王妃のすぐ隣――集まっている貴族女性たちの中では最も上座に当たる場所だ――に座っている少女である。
夜を映し取った絹糸のように艶やかな黒髪。
癖ひとつなく、真っ直ぐに腰まで落ちる黒髪は太陽に愛されて不思議な色合いに煌めく。
彼女の深いサファイアのような瞳は、光の加減によってラベンダーカラーにもみえ、タンザナイトのようだとも評される。
抜けるように白い肌は陶器のように滑らかで、彼女の色がよく映える。
彼女のぱっちりとしたアーモンド型の目を縁取る長い睫毛が薔薇色の頬に影を落とす。
彼女の名前はシルヴィア・エガートン。
この場に集まる女性の中で、王妃に次ぐ立場に位置する公爵令嬢である。
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