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新婚編
~ルーカスside~2
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新婚編~ルーカスside~2
眠っているであろうアリシアを起こさないようにそうっと扉を閉める。一息ついて顔をあげると、寝室から続きの間になっている部屋の電気がついていた。
怪訝に思いつつそちらに向かうと、果たして彼女はそこにいた。
「あっ、アリシア!?こんな時間まで起きていたのか……!?何かあったのか??」
思わず声をあげると、彼女は身体をびくっと震わせる。どうやら起きようと頑張っていたものの睡魔におそわれ、格闘している最中だったようだ。
それも当然だ。
世代交代が行われるのは国王だけではない。
次期王妃となることが決定しているアリシアにだって重い責務が課されるのだ。彼女だって昼間は身を粉にして働いている。
まだ覚醒しきっておらず、心做しかぼーっとしているように見えるアリシアは、ルーカスの姿を認めると、ずんずんそちらに歩いていった。
今までこんな時間まで起きていることなどなかった彼女が起きているなど、何か大変なことでもあったのかと心配していたルーカスは、彼女の思わぬ行動に驚いて固まってしまう。
そんな彼に一切構わず、ルーカスの手を掴むとそのままベッドに連れて行き、彼を抱き締めたまま倒れ込む。とんとんと一定のリズムで背中を叩かれると、自然と涙が溢れてきた。
ここ最近、ずっと眠りが浅かったのだ。戴冠を前にした重すぎる重圧で。
それは彼女も同じだろう。薄明かりの中で気付きにくかったが、よくよく見ると、彼女の顔にも濃いクマが見て取れる。
久しぶりに抱きしめた体は、ひとまわり細くなってしまったように感じた。
とんとんというリズムが遅くなり、叩く強さも弱くなってくる。どうやら眠ってしまったようだ。
暖かな体温がじんわりと伝わって、自然と瞼が重くなる。
明日からも、またその先も、仕事や重圧がなくなるわけでは無い。
でも、――それでも、今夜は久しぶりに深く眠れるような気がした。
眠っているであろうアリシアを起こさないようにそうっと扉を閉める。一息ついて顔をあげると、寝室から続きの間になっている部屋の電気がついていた。
怪訝に思いつつそちらに向かうと、果たして彼女はそこにいた。
「あっ、アリシア!?こんな時間まで起きていたのか……!?何かあったのか??」
思わず声をあげると、彼女は身体をびくっと震わせる。どうやら起きようと頑張っていたものの睡魔におそわれ、格闘している最中だったようだ。
それも当然だ。
世代交代が行われるのは国王だけではない。
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まだ覚醒しきっておらず、心做しかぼーっとしているように見えるアリシアは、ルーカスの姿を認めると、ずんずんそちらに歩いていった。
今までこんな時間まで起きていることなどなかった彼女が起きているなど、何か大変なことでもあったのかと心配していたルーカスは、彼女の思わぬ行動に驚いて固まってしまう。
そんな彼に一切構わず、ルーカスの手を掴むとそのままベッドに連れて行き、彼を抱き締めたまま倒れ込む。とんとんと一定のリズムで背中を叩かれると、自然と涙が溢れてきた。
ここ最近、ずっと眠りが浅かったのだ。戴冠を前にした重すぎる重圧で。
それは彼女も同じだろう。薄明かりの中で気付きにくかったが、よくよく見ると、彼女の顔にも濃いクマが見て取れる。
久しぶりに抱きしめた体は、ひとまわり細くなってしまったように感じた。
とんとんというリズムが遅くなり、叩く強さも弱くなってくる。どうやら眠ってしまったようだ。
暖かな体温がじんわりと伝わって、自然と瞼が重くなる。
明日からも、またその先も、仕事や重圧がなくなるわけでは無い。
でも、――それでも、今夜は久しぶりに深く眠れるような気がした。
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