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番外編2~ルーカスside~
24話
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その後もルーカスは、脱力しながらもなんとか二人の会話を聴き続けていた。少しでも二人にダメージを与えられないか、その一心で。
向かいに座るロキからの生ぬるい視線に心が折れそうになる。
それが功を奏したのは、自分の皿も殆ど空になり、そろそろ二人の桃色空間~な空気に耐えられなくなり、席を立とうかと考え始めた時だった。
「ねぇ、オリバー様。どうしてあんな意地悪な人と婚約をしているの?やめてしまえば良いじゃない!代わりに私が貴方と結婚するわ!」
「いや、だが……、彼女との婚約は父が決めたもので……。」
「それなら尚更よ!愛の無い結婚なんて信じられないわ!あの女はオリバー様の事を好きだから私に意地悪な事をしてくるのかも知れないけど……オリバー様の愛は私にあるでしょう??」
「あぁ、もちろんだ!彼女との間に愛なんて全くないよ。」
「それなら良いじゃない!でも、普通に婚約を破棄するのは面白くないわ……。私に散々意地悪したんだもの。思いっきり恥をかかせたいわ。そうだ!卒業パーティーで婚約破棄を宣言するのはどう?」
「そうだな、お前が言うならそうしよう。」
「嬉しい!もう少しの間だけたけど、頑張って意地悪にも我慢してみせるわ!」
「あぁ、メアリー!なんて君は健気なんだ!」
不穏な会話に聞き耳を立てていたルーカスは、突然始まった桃色劇場に吐き気を催しつつ、二人に気付かれないうちにそそくさとその場を後にした。
彼と一緒にその場に居合わせたロキの目は完全に死んでおり、最早悟りを開いていたのだった。
流石に可哀想だったかとルーカスにほんの一筋だけの罪悪感が芽生えた瞬間だった。
閑話休題。
これでローザの懸念が事実だったことがはっきりした。卒業パーティーには国内の有力者が首を揃える。相手が勝手に事を大きくしてくれたのだ。ルーカスとしてはそれを利用しない手はないだろう。
やっと集めた証拠類を使う為の舞台が出来上がった。
存分に利用させてもらおう。
やっぱり今日は市井に出て来て良かった。
向かいに座るロキからの生ぬるい視線に心が折れそうになる。
それが功を奏したのは、自分の皿も殆ど空になり、そろそろ二人の桃色空間~な空気に耐えられなくなり、席を立とうかと考え始めた時だった。
「ねぇ、オリバー様。どうしてあんな意地悪な人と婚約をしているの?やめてしまえば良いじゃない!代わりに私が貴方と結婚するわ!」
「いや、だが……、彼女との婚約は父が決めたもので……。」
「それなら尚更よ!愛の無い結婚なんて信じられないわ!あの女はオリバー様の事を好きだから私に意地悪な事をしてくるのかも知れないけど……オリバー様の愛は私にあるでしょう??」
「あぁ、もちろんだ!彼女との間に愛なんて全くないよ。」
「それなら良いじゃない!でも、普通に婚約を破棄するのは面白くないわ……。私に散々意地悪したんだもの。思いっきり恥をかかせたいわ。そうだ!卒業パーティーで婚約破棄を宣言するのはどう?」
「そうだな、お前が言うならそうしよう。」
「嬉しい!もう少しの間だけたけど、頑張って意地悪にも我慢してみせるわ!」
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不穏な会話に聞き耳を立てていたルーカスは、突然始まった桃色劇場に吐き気を催しつつ、二人に気付かれないうちにそそくさとその場を後にした。
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これでローザの懸念が事実だったことがはっきりした。卒業パーティーには国内の有力者が首を揃える。相手が勝手に事を大きくしてくれたのだ。ルーカスとしてはそれを利用しない手はないだろう。
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存分に利用させてもらおう。
やっぱり今日は市井に出て来て良かった。
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