51 / 78
番外編2~ルーカスside~
24話
しおりを挟む
その後もルーカスは、脱力しながらもなんとか二人の会話を聴き続けていた。少しでも二人にダメージを与えられないか、その一心で。
向かいに座るロキからの生ぬるい視線に心が折れそうになる。
それが功を奏したのは、自分の皿も殆ど空になり、そろそろ二人の桃色空間~な空気に耐えられなくなり、席を立とうかと考え始めた時だった。
「ねぇ、オリバー様。どうしてあんな意地悪な人と婚約をしているの?やめてしまえば良いじゃない!代わりに私が貴方と結婚するわ!」
「いや、だが……、彼女との婚約は父が決めたもので……。」
「それなら尚更よ!愛の無い結婚なんて信じられないわ!あの女はオリバー様の事を好きだから私に意地悪な事をしてくるのかも知れないけど……オリバー様の愛は私にあるでしょう??」
「あぁ、もちろんだ!彼女との間に愛なんて全くないよ。」
「それなら良いじゃない!でも、普通に婚約を破棄するのは面白くないわ……。私に散々意地悪したんだもの。思いっきり恥をかかせたいわ。そうだ!卒業パーティーで婚約破棄を宣言するのはどう?」
「そうだな、お前が言うならそうしよう。」
「嬉しい!もう少しの間だけたけど、頑張って意地悪にも我慢してみせるわ!」
「あぁ、メアリー!なんて君は健気なんだ!」
不穏な会話に聞き耳を立てていたルーカスは、突然始まった桃色劇場に吐き気を催しつつ、二人に気付かれないうちにそそくさとその場を後にした。
彼と一緒にその場に居合わせたロキの目は完全に死んでおり、最早悟りを開いていたのだった。
流石に可哀想だったかとルーカスにほんの一筋だけの罪悪感が芽生えた瞬間だった。
閑話休題。
これでローザの懸念が事実だったことがはっきりした。卒業パーティーには国内の有力者が首を揃える。相手が勝手に事を大きくしてくれたのだ。ルーカスとしてはそれを利用しない手はないだろう。
やっと集めた証拠類を使う為の舞台が出来上がった。
存分に利用させてもらおう。
やっぱり今日は市井に出て来て良かった。
向かいに座るロキからの生ぬるい視線に心が折れそうになる。
それが功を奏したのは、自分の皿も殆ど空になり、そろそろ二人の桃色空間~な空気に耐えられなくなり、席を立とうかと考え始めた時だった。
「ねぇ、オリバー様。どうしてあんな意地悪な人と婚約をしているの?やめてしまえば良いじゃない!代わりに私が貴方と結婚するわ!」
「いや、だが……、彼女との婚約は父が決めたもので……。」
「それなら尚更よ!愛の無い結婚なんて信じられないわ!あの女はオリバー様の事を好きだから私に意地悪な事をしてくるのかも知れないけど……オリバー様の愛は私にあるでしょう??」
「あぁ、もちろんだ!彼女との間に愛なんて全くないよ。」
「それなら良いじゃない!でも、普通に婚約を破棄するのは面白くないわ……。私に散々意地悪したんだもの。思いっきり恥をかかせたいわ。そうだ!卒業パーティーで婚約破棄を宣言するのはどう?」
「そうだな、お前が言うならそうしよう。」
「嬉しい!もう少しの間だけたけど、頑張って意地悪にも我慢してみせるわ!」
「あぁ、メアリー!なんて君は健気なんだ!」
不穏な会話に聞き耳を立てていたルーカスは、突然始まった桃色劇場に吐き気を催しつつ、二人に気付かれないうちにそそくさとその場を後にした。
彼と一緒にその場に居合わせたロキの目は完全に死んでおり、最早悟りを開いていたのだった。
流石に可哀想だったかとルーカスにほんの一筋だけの罪悪感が芽生えた瞬間だった。
閑話休題。
これでローザの懸念が事実だったことがはっきりした。卒業パーティーには国内の有力者が首を揃える。相手が勝手に事を大きくしてくれたのだ。ルーカスとしてはそれを利用しない手はないだろう。
やっと集めた証拠類を使う為の舞台が出来上がった。
存分に利用させてもらおう。
やっぱり今日は市井に出て来て良かった。
22
お気に入りに追加
1,395
あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

この国では魔力を譲渡できる
ととせ
恋愛
「シエラお姉様、わたしに魔力をくださいな」
無邪気な笑顔でそうおねだりするのは、腹違いの妹シャーリだ。
五歳で母を亡くしたシエラ・グラッド公爵令嬢は、義理の妹であるシャーリにねだられ魔力を譲渡してしまう。魔力を失ったシエラは周囲から「シエラの方が庶子では?」と疑いの目を向けられ、学園だけでなく社交会からも遠ざけられていた。婚約者のロルフ第二王子からも蔑まれる日々だが、公爵令嬢らしく堂々と生きていた。
残念ですが、その婚約破棄宣言は失敗です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【婚約破棄宣言は、計画的に】
今夜は伯爵令息ブライアンと、同じく伯爵令嬢キャサリンの婚約お披露目パーティーだった。しかしブライアンが伴ってきた女性は、かねてより噂のあった子爵家令嬢だった。ブライアンはキャサリンに声高く婚約破棄宣言を突きつけたのだが、思わぬ事態に直面することになる――
* あっさり終わります
* 他サイトでも投稿中
【完結】妹に婚約者を奪われた傷あり令嬢は、化け物伯爵と幸せを掴む
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
伯爵令嬢リューディアは侯爵家次男アルヴィと婚約が決まり友人に祝福されていた。親同士が決めたとはいえ、美しく人気のあるアルヴィとの婚約はリューディアにとっても嬉しいことだった。
しかし腹違いの妹カイヤはそれを妬み、母親と共謀してリューディアの顔に傷をつけた。赤く醜い跡が残り、口元も歪んでしまったリューディア。婚約は解消され、新たにカイヤと結び直された。
もう私の人生は終わったと、部屋に閉じこもっていたリューディア。その時、化け物のように醜い容姿の辺境伯から縁談が持ちかけられる。このままカイヤたちと一緒に暮らすぐらいならと、その縁談を受けることにした。
見合い当日、辺境伯は大きな傷があるリューディアに驚くが、お互いの利害が一致したことで二人は結婚を決意する。
顔と心に大きな傷を負ったヒロインが、優しいヒーローに溺愛されて癒されていくお話です。
※傷やあざの描写があります。苦手な方はご遠慮ください。
※溺愛タグは初めてなので、上手く表現できていないかもしれません。ゆるっと見守ってください。
【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!
宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。
そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。
慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。
貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。
しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。
〰️ 〰️ 〰️
中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。
完結しました。いつもありがとうございます!
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる