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番外編1~プロポーズ編~
5話
しおりを挟む涙が止まってからも暫く抱き締められたまま背中をさすられていたアリシアは、ふと何かを思い立ったようにルーカスの腕から逃れた。
暫し何か考えたあと、東屋にあるテーブルに受け取った花束を置くと、ゆっくりと黒薔薇に向かって歩き出した。
薔薇の木の目の前にたどり着くと、器用に棘を避けつつ、1輪の花を摘み取った。
髪に飾っていたリボンを抜き取り、薔薇に飾り付けるとルーカスの元へと戻っていく。
「……余所見しないでね……?」
アリシアの瞳に浮かんでいたのは幸福と……ほんの少しの不安。裏切られたばかりなのだ。不安になるのも仕方がないだろう。
黒薔薇の花言葉は『貴方はあくまで私のモノ。』
そして、1輪の薔薇の花言葉は、
「勿論。『僕には貴女しかいない』んだから。」
そう言ってもう一度アリシアを抱き締める。
愛しい少女の不安と精一杯の独占欲に理性が焼き切れそうだった。
「ねぇ、アリシア。ここには1000輪の薔薇が咲いているって言われてるの知ってる?……今は999輪だね。」
999本の薔薇の花言葉は――――――――――
「何度生まれ変わっても君を愛すると誓うよ。」
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