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番外編1~プロポーズ編~
2話
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「本来ならばそうだったんだが……あれだけの人数の前でやらかした上に暴れ回ってな……正直裁判を待つまでもなく現行犯だったから貴人用の牢に入れる必要はないと判断した。」
貴人用の牢というのは、賠償では済まない犯罪における裁判が終わるまでの暫定無罪の貴族が入る場所だ。容疑はかかっているが、罪が確定するまでは身分に合った品位ある生活を、という目的の元に入れられる。
有罪判決が出た後も此処に入るのは1部の王侯貴族のみだ。それも、ここで生活する訳では無い。法に則り処刑される前に自ら毒杯を煽り、尊厳ある死をという目的に使われるのみだ。
一介の男爵令嬢でしかないメアリーは罪が確定している時点でそのような丁寧な扱いを受けることは出来ない。
とはいえ、城の地下牢に幽閉されているのは普通の犯罪者では無く、処刑とまでは行かなかった貴族ばかりなのだが、こちらは一般的に想像するような牢と同じように質素な感じのものだ。
更に国王が続ける。
「それから彼女の両親だな。男爵令嬢は『オリバー様とパパが絶対たすけてくれるわ!』と喚き散らしていたそうだ。正直、あんな頭の弱い娘1人でオリバーを誑かせるとは思えん。家族も一枚噛んでいると考えるのが妥当だろう。明日から正式に捜査するよ。」
言い終わった国王が疲れた顔でお茶を啜り始めると、今度は公爵が話し始めた。
「侯爵家についてだが、先程お前が公爵家からこちらに向かっている間に明日こちらに謝罪に訪れる旨の書状が届いたそうだ。伝令が慌ててやって来たよ。」
寝耳に水であったであろう侯爵家。
あまりにも速い対応だ。
やはり商売を成功させる為にはこの位の行動力が必要だということか。
なんにせよ、今日無理してでも王宮を訪れておいたアリシアの判断は正しかったようだ。
「マーシャル侯爵家に貴族位を返還されると税収がなぁ……とはいえ、被害者はアリシアだ。判断は公爵家に任せるが。」
国王がぼやく。
貴族でいる為には年間一定の金額を納めなくてはならない。その上、マーシャル侯爵家は大商会を運営している為、爵位返還と同時に商会の運営も終了してしまうと相当の額減収となってしまうのだ。
「これについては明日の話し合いを見てどうするか考えようと思います。」
「まぁ、妥当だろうな。」
アリシアの言葉に国王が是を返す。
「あと確認しなければならないのは…………お前達の婚約だな。」
貴人用の牢というのは、賠償では済まない犯罪における裁判が終わるまでの暫定無罪の貴族が入る場所だ。容疑はかかっているが、罪が確定するまでは身分に合った品位ある生活を、という目的の元に入れられる。
有罪判決が出た後も此処に入るのは1部の王侯貴族のみだ。それも、ここで生活する訳では無い。法に則り処刑される前に自ら毒杯を煽り、尊厳ある死をという目的に使われるのみだ。
一介の男爵令嬢でしかないメアリーは罪が確定している時点でそのような丁寧な扱いを受けることは出来ない。
とはいえ、城の地下牢に幽閉されているのは普通の犯罪者では無く、処刑とまでは行かなかった貴族ばかりなのだが、こちらは一般的に想像するような牢と同じように質素な感じのものだ。
更に国王が続ける。
「それから彼女の両親だな。男爵令嬢は『オリバー様とパパが絶対たすけてくれるわ!』と喚き散らしていたそうだ。正直、あんな頭の弱い娘1人でオリバーを誑かせるとは思えん。家族も一枚噛んでいると考えるのが妥当だろう。明日から正式に捜査するよ。」
言い終わった国王が疲れた顔でお茶を啜り始めると、今度は公爵が話し始めた。
「侯爵家についてだが、先程お前が公爵家からこちらに向かっている間に明日こちらに謝罪に訪れる旨の書状が届いたそうだ。伝令が慌ててやって来たよ。」
寝耳に水であったであろう侯爵家。
あまりにも速い対応だ。
やはり商売を成功させる為にはこの位の行動力が必要だということか。
なんにせよ、今日無理してでも王宮を訪れておいたアリシアの判断は正しかったようだ。
「マーシャル侯爵家に貴族位を返還されると税収がなぁ……とはいえ、被害者はアリシアだ。判断は公爵家に任せるが。」
国王がぼやく。
貴族でいる為には年間一定の金額を納めなくてはならない。その上、マーシャル侯爵家は大商会を運営している為、爵位返還と同時に商会の運営も終了してしまうと相当の額減収となってしまうのだ。
「これについては明日の話し合いを見てどうするか考えようと思います。」
「まぁ、妥当だろうな。」
アリシアの言葉に国王が是を返す。
「あと確認しなければならないのは…………お前達の婚約だな。」
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