【完結】悲劇のヒロインぶっているみたいですけれど、よく周りをご覧になって?

珊瑚

文字の大きさ
上 下
11 / 78
本編

しおりを挟む
勿論、本当に彼女をいじめて、その延長線上でドレスを汚すなどといった幼稚な事を仕出かした訳では無い。
しかし、アリシアが非を認めるのかと盛大な勘違いをしたメアリーは、得意気な顔をする。


「ええ、そうよ!なんだ、覚えてるんじゃない!」
「ええ。あれだけ目の前で派手に転ばれたら嫌でも記憶に残りますわ。」

はち切れんばかりの笑顔と共に答えるメアリーに、冷たい表情をしたままそう告げる。それに対して、メアリーは声を張り上げる。


「何よそれ!私が勝手に転んだみたいな言い方して!貴女があたしを転ばせたんでしょ!?」
「……実はここに、その日の映像記録がございます。」

喚くメアリーに静かに告げると、先程アリシアがアイコンタクトをしていた友人の1人が前に進み出る。


「こちらです。」

何故彼女が丁度記録を撮っていたのか。それはメアリー自身の行動が原因であった。アリシアを目の敵にして何かとあることないこと周りに触れ回っているメアリーの行動に先に堪忍袋の緒が切れたのはアリシア本人ではなく、その友人達だったのだ。
自分から動くと不利になると考え、友人達を宥めたアリシアは、彼女達を納得させる為に証拠集めを徹底する事にした。

丁度1ヶ月前のこの日。
それは学園主催のパーティーが開かれる日だったのだ。パーティーとは言っても、今日開かれている盛大なものではなく、学園で学んだ社交界での振る舞い方やマナーを実践する言わばテストのようなものだ。
だがそれでも、アリシアを貶めようとするメアリーが何も行動を起こさないとはとても思えなかった。
とはいえ、親しくもない彼女らがメアリーを監視するのは難しい。
そこで、その日のパーティーの少し前の時刻からアリシアを録画する事に決めたのだ。


「以前から、ポーラ男爵令嬢はツェローラ公爵令嬢の名誉を貶めるような事を吹聴しておりました。ですから心配になった私たちがツェローラ公爵令嬢にご迷惑をお掛けしてしまうことは承知しておりましたが、何か行事がある際は必ず録画させて頂く事を習慣付けるようにしたのです。」
「私の為に貴女達がしてくれたのだもの、迷惑だなんて思っていないわ。……ですが、私達だけでは証拠の捏造だと言われてしまうかも知れません。そこで、あるお方に助けて頂きました。」

アリシアが言い終わると、王族が座っている方から1人静かに歩み寄ってきた。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします

宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。 しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。 そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。 彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか? 中世ヨーロッパ風のお話です。 HOTにランクインしました。ありがとうございます! ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです! ありがとうございます!

残念ですが、その婚約破棄宣言は失敗です

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【婚約破棄宣言は、計画的に】 今夜は伯爵令息ブライアンと、同じく伯爵令嬢キャサリンの婚約お披露目パーティーだった。しかしブライアンが伴ってきた女性は、かねてより噂のあった子爵家令嬢だった。ブライアンはキャサリンに声高く婚約破棄宣言を突きつけたのだが、思わぬ事態に直面することになる―― * あっさり終わります * 他サイトでも投稿中

妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました

常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。 裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。 ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。

この国では魔力を譲渡できる

ととせ
恋愛
「シエラお姉様、わたしに魔力をくださいな」  無邪気な笑顔でそうおねだりするのは、腹違いの妹シャーリだ。  五歳で母を亡くしたシエラ・グラッド公爵令嬢は、義理の妹であるシャーリにねだられ魔力を譲渡してしまう。魔力を失ったシエラは周囲から「シエラの方が庶子では?」と疑いの目を向けられ、学園だけでなく社交会からも遠ざけられていた。婚約者のロルフ第二王子からも蔑まれる日々だが、公爵令嬢らしく堂々と生きていた。

妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?

カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。 フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます

21時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。 エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。 悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

処理中です...