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32【完結】
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5年後。
スチュアート侯爵家はこの世に存在しなかった。
元々特段優秀でもなかった彼等は、自分達の所業を隠すことさえ特別上手だった訳では無いのだ。
最後まで足掻こうとしたものの、領地を売り、屋敷を売り、爵位を返納しでもなお借金は残った。
今、どこで何をしているのか、アイリーンは知るべくもないが、王家の監視の目は着いており、毎月微々たる額ながらも借金の返済は進んでいる。
一方、アイリーンは順調に功績を積み重ね、女伯爵としての地位を確立していた。子爵から伯爵までこの短期間で成し遂げたのは異例の事である。
先日、改めてギルバートからプロポーズされ、その地位をさらひ確固たるものとしていた。
現在、王家からスチュアート侯爵夫人が手放した領地を下賜され、その財政状況はうなぎ登りだという。
「伯爵位はどうするか決めたか?アイリーン。」
「そうねぇ……。王家の直轄領にしてしまって私1台限りの爵位にしてしまおうかとも思ったけど……この先子供が生まれた時に決めさせてもいいかもしれないわね。」
「そうだな。きっと選択肢があった方が遠回りせずに済む。」
2人は今、誰にも邪魔されることの無くなった立場で、件のティールームで今後についての話を進めていた。
元侯爵領と共に、アイリーンが引き継いだものだった。
結婚は、二ヶ月後に迫っていた。
勝利は目前。
彼らはぱちりと目を合わせると、声を上げて笑いあったのだった。
5年後。
スチュアート侯爵家はこの世に存在しなかった。
元々特段優秀でもなかった彼等は、自分達の所業を隠すことさえ特別上手だった訳では無いのだ。
最後まで足掻こうとしたものの、領地を売り、屋敷を売り、爵位を返納しでもなお借金は残った。
今、どこで何をしているのか、アイリーンは知るべくもないが、王家の監視の目は着いており、毎月微々たる額ながらも借金の返済は進んでいる。
一方、アイリーンは順調に功績を積み重ね、女伯爵としての地位を確立していた。子爵から伯爵までこの短期間で成し遂げたのは異例の事である。
先日、改めてギルバートからプロポーズされ、その地位をさらひ確固たるものとしていた。
現在、王家からスチュアート侯爵夫人が手放した領地を下賜され、その財政状況はうなぎ登りだという。
「伯爵位はどうするか決めたか?アイリーン。」
「そうねぇ……。王家の直轄領にしてしまって私1台限りの爵位にしてしまおうかとも思ったけど……この先子供が生まれた時に決めさせてもいいかもしれないわね。」
「そうだな。きっと選択肢があった方が遠回りせずに済む。」
2人は今、誰にも邪魔されることの無くなった立場で、件のティールームで今後についての話を進めていた。
元侯爵領と共に、アイリーンが引き継いだものだった。
結婚は、二ヶ月後に迫っていた。
勝利は目前。
彼らはぱちりと目を合わせると、声を上げて笑いあったのだった。
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