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先ほど、ジュリーがステファンに『恋の秘薬』を盛ったと判明した時よりも明らかに戸惑いの声が多く上がった。当然だ。こちらは、『恋の秘薬』と違い、盛った、盛ってないうんぬんではなく、そもそもそんなことは可能であるのか否か、という次元の話になってくるのだ。
そんなことが可能だとは思えない、『光魔法』の使い手を処断するにはこうするしか無かったのだろうという声と、先程の一件から、果たしてステファンがこの場で証拠も無くそんなことを言うのだろうかと一先ず静観の姿勢を見せているものに2分されている。
後者の論調の方がほんの少し優勢であり、次第に会場内は静まり始めた。
「皆も知っていると思うが、わたしは魔力の流れを感知することができる。これは王家が王家たる所以であり、当然父上、母上、兄上も見えているはずだ。」
ステファンの生家である王家・バレリアノ家が王家として成っているのは、その一族に代々伝わる能力が支配者として適正なものであったからだ。
魔力の流れがわかる、それ即ち、不正や操作のために魔法が使われた際、いち早く気づくことが可能であり、隠蔽することが不可能である。
行政や司法の仕組みが確立された現在はその能力が発揮されることはほとんどないが、それでも有事の際に最も信用のおける地位にその能力を保有しているものが座していると言うだけでこれ以上ない抑止力となりうる。
そして、今はその能力が遺憾なく発揮されるべき『有事』である。
これは『原作』には語られていなかった能力であり、これを使えば青い顔でへたり込んだままのジュリーを追い詰めることができるだろう。
「お前は、『光魔法』の使い手として覚醒した時、上手く使いこなせないと言っていたな?だからサポートの任がわたしに来た。間違いないな?」
先ほど、ジュリーがステファンに『恋の秘薬』を盛ったと判明した時よりも明らかに戸惑いの声が多く上がった。当然だ。こちらは、『恋の秘薬』と違い、盛った、盛ってないうんぬんではなく、そもそもそんなことは可能であるのか否か、という次元の話になってくるのだ。
そんなことが可能だとは思えない、『光魔法』の使い手を処断するにはこうするしか無かったのだろうという声と、先程の一件から、果たしてステファンがこの場で証拠も無くそんなことを言うのだろうかと一先ず静観の姿勢を見せているものに2分されている。
後者の論調の方がほんの少し優勢であり、次第に会場内は静まり始めた。
「皆も知っていると思うが、わたしは魔力の流れを感知することができる。これは王家が王家たる所以であり、当然父上、母上、兄上も見えているはずだ。」
ステファンの生家である王家・バレリアノ家が王家として成っているのは、その一族に代々伝わる能力が支配者として適正なものであったからだ。
魔力の流れがわかる、それ即ち、不正や操作のために魔法が使われた際、いち早く気づくことが可能であり、隠蔽することが不可能である。
行政や司法の仕組みが確立された現在はその能力が発揮されることはほとんどないが、それでも有事の際に最も信用のおける地位にその能力を保有しているものが座していると言うだけでこれ以上ない抑止力となりうる。
そして、今はその能力が遺憾なく発揮されるべき『有事』である。
これは『原作』には語られていなかった能力であり、これを使えば青い顔でへたり込んだままのジュリーを追い詰めることができるだろう。
「お前は、『光魔法』の使い手として覚醒した時、上手く使いこなせないと言っていたな?だからサポートの任がわたしに来た。間違いないな?」
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