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カツカツカツカツ…………
穏やかな日差しが差し込む外廊下。穏やかで澄んだ空気が満ちていて清々しく、明るい雰囲気に満ちている。
そこに全く似つかわしくない形相で足早に通りすぎていく影があった。
「なんで……どうして突然……。今まで順調だったのに…………!!!!!」
がりり……と爪を噛み、その可愛らしい顔に似つかわしくない怒気をまとっている。
その気迫は凄まじく、彼女を見かけた生徒たちが思わず一歩後ずさってしまうほどだった。
「あの女……オリヴィア・フェルスター……!何よ何よ、全然シナリオ通りに動かないじゃない!気に入らないわ……。あの王子だって私に首ったけな腑抜けなんじゃないの!?第二王子落として結婚すれば面倒な公務もなく贅沢な暮らしができると思ったのに突然私に興味無くしたみたいに……!許せない……!!」
彼女の異常な様子にそこはかとない恐怖を感じた他の生徒たちはそそくさとその場を後にする。
踵の音を鳴り響かせながら歩いていたジュリーだったが、ふとその足を止めた。
「…………そうだわ。『あれ』を使えばいいじゃない。……そうよ、ここはゲームの世界なんだもの、ヒロインである私に都合のいい世界で当然だわ…………!!そうよ、望まれているのは私が幸せになって『ハッピーエンド』を迎えること。……まってなさい。今、私が本来のストーリーに戻してあげるから!」
そういうと、先ほどまでとは打って変わって口元に不気味な笑みを浮かべて、すっかり静まり返ってしまった外廊下をゆっくりと歩み始めた。
少しして再び足を止めると、くるっと踵を返し、高笑いをしながらその足を学園の外へと向けた。
――――自身を覗き見ていた視線に気が付かぬまま――。
カツカツカツカツ…………
穏やかな日差しが差し込む外廊下。穏やかで澄んだ空気が満ちていて清々しく、明るい雰囲気に満ちている。
そこに全く似つかわしくない形相で足早に通りすぎていく影があった。
「なんで……どうして突然……。今まで順調だったのに…………!!!!!」
がりり……と爪を噛み、その可愛らしい顔に似つかわしくない怒気をまとっている。
その気迫は凄まじく、彼女を見かけた生徒たちが思わず一歩後ずさってしまうほどだった。
「あの女……オリヴィア・フェルスター……!何よ何よ、全然シナリオ通りに動かないじゃない!気に入らないわ……。あの王子だって私に首ったけな腑抜けなんじゃないの!?第二王子落として結婚すれば面倒な公務もなく贅沢な暮らしができると思ったのに突然私に興味無くしたみたいに……!許せない……!!」
彼女の異常な様子にそこはかとない恐怖を感じた他の生徒たちはそそくさとその場を後にする。
踵の音を鳴り響かせながら歩いていたジュリーだったが、ふとその足を止めた。
「…………そうだわ。『あれ』を使えばいいじゃない。……そうよ、ここはゲームの世界なんだもの、ヒロインである私に都合のいい世界で当然だわ…………!!そうよ、望まれているのは私が幸せになって『ハッピーエンド』を迎えること。……まってなさい。今、私が本来のストーリーに戻してあげるから!」
そういうと、先ほどまでとは打って変わって口元に不気味な笑みを浮かべて、すっかり静まり返ってしまった外廊下をゆっくりと歩み始めた。
少しして再び足を止めると、くるっと踵を返し、高笑いをしながらその足を学園の外へと向けた。
――――自身を覗き見ていた視線に気が付かぬまま――。
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