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授業が終わり、オリヴィアはステファンを探して校内を歩き回っていた。
先日のお礼を改めて伝えようと思ったのだ。だが、彼はいつもジュリーと昼食を共にしていたはずだ。愛する婚約者が他の女にうつつを抜かしている様子など見たくもない。だから実際に見た訳では無いのだが、わざわざ彼女が自慢しに来たのだ。それはそれはもう、得意気に。
彼女は、自分の手作りしたお菓子をそれはそれは嬉しそうに受け取ってくださるのだ、と言っていた。
ならばクッキーを焼けば受け取ってくれるだろうか?
そう思って夜更かしして焼いてきたのだ。
幼い頃、甘いものが好きなステファンのために、侯爵家お抱えのシェフに教わって何度も何度も練習したのだ。
シェフたちも呆れかえるほどに何度も、だ。
その結果、お菓子作りに関してはその辺のパティシエにも引けを取らないレベルにまで成長していたのだ。
今回も、なんの問題もなく美味しく焼けた。
彼は喜んでくれるだろうか?
なんとかジュリーとステファンが会う前に渡してしまいたかった。
もしもジュリーの前で彼に拒絶されたら?彼女の手料理は食べるのに?
そう思うと、自然と早足になっていった。
果たして彼はすぐに見つかった。……だが、一人ではなかった。
それもお昼に誘いにきたタイミング。
――最悪だ。
もういっそ、一言お礼を言って押し付けて逃げてしまおうか。
そんな考えが頭をよぎった時だった
『王族たるもの、毒味も住んでいない他人の作ったものなど迂闊に口にすることはできない。』
冷や水を浴びせられたような気持ちだ。
当然だ。彼のいう通りだ。
何を浮かれていたのだろうか。どうしてそこに思い至らなかったのだろう。少し考えただけでも分かりそうなものなのに。
せっかく作ったけれど、彼に気づかれる前に処分しなくては。
そんな分別もついていないと思われたら、今度こそ完全に愛想を尽かされてしまうかもしれない。
授業が終わり、オリヴィアはステファンを探して校内を歩き回っていた。
先日のお礼を改めて伝えようと思ったのだ。だが、彼はいつもジュリーと昼食を共にしていたはずだ。愛する婚約者が他の女にうつつを抜かしている様子など見たくもない。だから実際に見た訳では無いのだが、わざわざ彼女が自慢しに来たのだ。それはそれはもう、得意気に。
彼女は、自分の手作りしたお菓子をそれはそれは嬉しそうに受け取ってくださるのだ、と言っていた。
ならばクッキーを焼けば受け取ってくれるだろうか?
そう思って夜更かしして焼いてきたのだ。
幼い頃、甘いものが好きなステファンのために、侯爵家お抱えのシェフに教わって何度も何度も練習したのだ。
シェフたちも呆れかえるほどに何度も、だ。
その結果、お菓子作りに関してはその辺のパティシエにも引けを取らないレベルにまで成長していたのだ。
今回も、なんの問題もなく美味しく焼けた。
彼は喜んでくれるだろうか?
なんとかジュリーとステファンが会う前に渡してしまいたかった。
もしもジュリーの前で彼に拒絶されたら?彼女の手料理は食べるのに?
そう思うと、自然と早足になっていった。
果たして彼はすぐに見つかった。……だが、一人ではなかった。
それもお昼に誘いにきたタイミング。
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もういっそ、一言お礼を言って押し付けて逃げてしまおうか。
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冷や水を浴びせられたような気持ちだ。
当然だ。彼のいう通りだ。
何を浮かれていたのだろうか。どうしてそこに思い至らなかったのだろう。少し考えただけでも分かりそうなものなのに。
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そんな分別もついていないと思われたら、今度こそ完全に愛想を尽かされてしまうかもしれない。
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