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28話
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暫くの間国王と公爵の二人きりの室内は書類のめくれる音とサインをする度に走るペンの音だけが鳴る静かなものだった。
しかし、その静寂は唐突に破られた。
「宰相!どういう事なの!?貴女の娘を出しなさい!」
ノックも無しに、唐突に王妃が執務室へと入ってきたのだ。ドアを蹴破らんばかりの勢いだ。
彼女が言っているのは例の大量の書類の事だろう。
きっとあれの事は国王は知らない。
それならこの場ではしらばっくれる一択だ。
事を荒立てて表面化した時一番困るのはこの音ななのだから。
「どう……とは?娘なら今頃学園にいますよ。何か粗相でも?」
「私が渡した仕事を期日までに終わらせていないのよ!昨日迄のはずだったわ!」
「仕事……ですか?なんの事だか……。あぁ、もしかしてあの子の部屋に大量にあった書類の事ですか?昨日娘は体調不良で倒れまして、部屋に入った時に見つけたんです。でもあれはあなたと王太子殿下の名義のものでしたから。勘違いだと思って処分しましたよ。偽造されたり外部に流出しては困りますから。娘にはまだそんな権限はありませんから本物なはずありませんしね。………………あぁ、それともまさかあれは本物だと?」
「……っ!なんの事だか私には一切分かりません。私たちの名義ですって?そんなものあるはずないじゃない!」
「そうですよね。これはこれは失礼致しました。」
まずい事になったと気がついたのだろう。一瞬動揺したように見えたが、直ぐに持ち直した。それでもこれ以上公爵に話して国王の前で口を滑らせたりしたら……と不安になったのだろうか。彼の言葉に被せて勢いよく言ったあと、部屋の出口の方へと歩き始めた。
書類がもう存在しないと分かったならもう彼には用は無いのだろう。きっと彼女はこの後どうやって誤魔化すかを必死で考える事になるのだろう。
「……王妃よ。何度も言ったはずだ。執務室に入る時は許可を取れとな。」
しかし、そこで今まで黙っていた国王が口を開いた。
王妃はその言葉に一瞬動きを止めたが、そのまま聞こえなかったかのように扉の外に出ていった。
後に残されたのは深い深い溜息と重い空気だけだったのであった。
しかし、その静寂は唐突に破られた。
「宰相!どういう事なの!?貴女の娘を出しなさい!」
ノックも無しに、唐突に王妃が執務室へと入ってきたのだ。ドアを蹴破らんばかりの勢いだ。
彼女が言っているのは例の大量の書類の事だろう。
きっとあれの事は国王は知らない。
それならこの場ではしらばっくれる一択だ。
事を荒立てて表面化した時一番困るのはこの音ななのだから。
「どう……とは?娘なら今頃学園にいますよ。何か粗相でも?」
「私が渡した仕事を期日までに終わらせていないのよ!昨日迄のはずだったわ!」
「仕事……ですか?なんの事だか……。あぁ、もしかしてあの子の部屋に大量にあった書類の事ですか?昨日娘は体調不良で倒れまして、部屋に入った時に見つけたんです。でもあれはあなたと王太子殿下の名義のものでしたから。勘違いだと思って処分しましたよ。偽造されたり外部に流出しては困りますから。娘にはまだそんな権限はありませんから本物なはずありませんしね。………………あぁ、それともまさかあれは本物だと?」
「……っ!なんの事だか私には一切分かりません。私たちの名義ですって?そんなものあるはずないじゃない!」
「そうですよね。これはこれは失礼致しました。」
まずい事になったと気がついたのだろう。一瞬動揺したように見えたが、直ぐに持ち直した。それでもこれ以上公爵に話して国王の前で口を滑らせたりしたら……と不安になったのだろうか。彼の言葉に被せて勢いよく言ったあと、部屋の出口の方へと歩き始めた。
書類がもう存在しないと分かったならもう彼には用は無いのだろう。きっと彼女はこの後どうやって誤魔化すかを必死で考える事になるのだろう。
「……王妃よ。何度も言ったはずだ。執務室に入る時は許可を取れとな。」
しかし、そこで今まで黙っていた国王が口を開いた。
王妃はその言葉に一瞬動きを止めたが、そのまま聞こえなかったかのように扉の外に出ていった。
後に残されたのは深い深い溜息と重い空気だけだったのであった。
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