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「……ー……ズ……リ……ロズ……リ……ローズマリー!」

考え事に耽っていたローズマリーは、目の前で起こっていることをすっかり忘れていたようだ。
なにやら話が進んでいたようだが、全く聞いていなかった。
慌てて意識を引き戻すと、目の前には勝ち誇った顔のルルーがいた。


「はじめに言った通り、お前とは婚約破棄する!余罪についてはおいおい調べてから沙汰を出すが、未来の王妃であるルルーに手を出そうとしたんだ、庵地の保証はないと思え!」
「恨まないでくださいませね、ローズマリー様。でも最後に何か言いたいことがあるなら今言った方がいいのではありませんか?もう公の場に出られることもないでしょうし。」

最後の情けとでもいうかのようなセリフを吐くルルーだが、その実ローズマリーが無様に情けを乞う姿が見たいだけだろう。
だがローズマリーはルルーが期待していたように取り乱したりすることもなく、少しだけ考えた後、静かに口を開いた。


「幼い頃からあなたの婚約者としてお妃教育にも耐えてきました。全ては愛するあなたの為に。婚約者は私なのにあなたの心が私から離れて彼女に入れあげてたから寂しくて悲しくてつい……。でもそうね、確かにこんなふうに晒しあげられるほど証拠を残してしまったのは私の落ち度。正面切って罵倒されても誰かがタイミングよく来る可能性を考えて黙って耐えるのが賢明だっただろうし、『一人で来て』と呼び出されたら罠の可能性を考えて馬鹿正直に一人で行かずに誰か連れてくべきでしたわ。それが回り回って自分の首を絞めることになったのだから。」
「は、なにを今更意味のわからない事を……。」

静かながらも異様な雰囲気で一気に捲し立てるローズマリーを前に、思わずルルーはたじろいだ。
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