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ホセ
その4 守るべきもの
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アルトゥールとベアトリスの逢瀬を見た一ヶ月後、予算委員会が終わり来期の予算が決定した。これからしばらくはホセは時間に余裕ができる。
午前中に教会に行った後、王女について学園に入った。久しぶりの学舎はとても懐かしかった。
授業時間になり王女が真面目に授業を受けているのを見届けるとホセは懐かしい校舎を眺めてウロウロしていた。
「ベンボーリオ君じゃないか。そんな格好をしてどうしたんだね?もう騎士は辞めたのかい?」
そう話しかけてきたのは学園時代にお世話になった先生だった。
街に行く時は身分がバレたくないという王女の希望でホセは平民のような格好をしていた。
「いえ、王女の護衛です。幸いにもまだ騎士を続けております。」
「そうか。騎士は楽しいかね?」
ホセはその時まで楽しいかどうかなど考えたことがなかった。しかし、まだ年若いと言うのに色々と任せてもらえることも王女の護衛として街で子供たちに色々教えるのも楽しかった。
世の中を斜めに見ていた男は、いつの間にか真っ直ぐ前を向いていた。
「そうですね。楽しいです。」
ホセは迷いなくそう答えた。
ホセの回答が意外だったのか先生は少し驚いた後、ニコッと笑って「それは結構。ベンボーリオ君は良い風に変わりましたな。」と言い、肩を叩いて去っていった。
良い風に変わったか・・・そうかもしれないな。
ホセはその言葉がストンと心に落ちてきたのを感じた。
放課後になり、王女を迎えに行く。
王女は婚約者の青年の背中を見ていた。そして青年は銀髪の美少女と見つめ合い笑い合って生徒会室に入っていった。
一連の行動を見てホセは王女の気持ちも婚約者の青年の気持ちも理解してしまった。そして、王女が青年に心がありながら、言い訳しなかった理由も。
王女はなんと気高く、健気なのだろう。
ホセはこの時、自分だけは最後まで彼女を守り続けなければという強い想いを抱いた。しかしそれが護衛としての想いを逸脱したものである、ということにはまだ気付いていなかった。
その一ヶ月後、王女と青年との婚約は解消された。
王女が自ら解消を言い出さなかったのは青年の立場を慮ると同時に、最後の最後まで彼を信じたかったからだろう。
婚約が解消された翌日、辛いはずなのに明るく気丈に振る舞う様子はホセの胸を締め付けた。
教会から学園に向かう途中、ホセは思い切って声をかけた。
「今日は午後も学園をサボりませんか?」
「え?・・・でも。」
「お叱りなら俺が受けます。イグナシオの丘に行きましょう。とても景色が綺麗なんです。」
ホセは王女の手を握るとぐいぐい引っ張って丘まで連れてきた。ホセは怖くて王女の顔を見れなかったが、丘からの景色を見た王女は「わー」と歓声を上げた。
「すごく綺麗な景色だわ。ありがとうホセ。」
丘からは町が一望できるようになっている。
「これで、貴女が少しでも元気ななってくれれば良いんだけど。」
ホセはそう言って鼻の頭をポリポリとかいた。
「婚約者のこと、愛していらしたんでしょう?」
ホセがそう言うと王女はおどろいた顔をしてホセをみつめた。そして、
「ここではただのベアトリスなんだから敬語は使わないで。」
と言った。
その表情は固かった。
王女は景色を見つめながらぽつりと呟いた。
「ずっと好きだったの。幼い頃から。でも彼が私にそう言う気持ちを抱いていないことは知っていたわ。それでも良いと思っていたの。彼女と会うまでは。」
固かった表情はいつしか泣きそうな表情に変わっていた。ホセは王女をそれ以上傷つけたくなくて
「分かっています。だからこれ以上は・・・」
と言ったが、王女は首を振った。
「いいえ、今ここで全てを出し切りたいわ。」
王女は震える声で続けた。
「彼が彼女を愛していることにすぐに気付いたわ。そして、彼女が彼を愛していることにも。私、どうもそう言うことに気付くのは早いのよ。自分のそう言うところを恨んだわ。」
彼女は大きく深呼吸する。
「私、彼のことが好きだったの。だから、彼に瑕疵が出来ないようにうまく行動したつもり。私、頑張ったでしょう?」
そう言ってホセを見上げた王女の目からは大粒の涙がとめどなく流れていた。ホセは王女を抱きしめて「頑張りましたね」と言いながら赤ちゃんをあやすようにぽんぽんと背中をたたいた。
王女はホセの胸の中で泣き疲れて眠ってしまった。ここ数日、眠れていなかったのかもしれない。
ホセは王女をお姫様抱っこすると、街馬車を拾い王宮に帰った。そして、王宮に着くと再びお姫様抱っこをして王女の部屋まで運んだ。
ホセは心の中で「一生、貴女をお守りします」とつぶやいた。
***
ホセは王女の行動の中で一つだけ許せないところがあった。それは婚約者に瑕疵をつけないため、自ら瑕疵を被ったところだ。学園をサボったのは少し悪い事ではあるが、咎められるようなものではない。
王女の行動は貧民への救済や孤児院の慰問と同じように褒められる事のはずである。ホセは王女の名誉をなんとか回復できないか、と考えた。
一番早いのは王女自らがちゃんと否定してくれることだが、王女は婚約者のためにそれはしないだろう。
となると他の誰かに否定してもらう必要がある。ホセはいくつかのルートで否定してもらうことを企んだ。
一つは子供たちとや貧民街の市民に口コミで広めてもらう方法だ。王女は自分の身分がバレていないと思っていたが、王族は家族の肖像画が毎年公開されるため街の人たちにはバレバレだった。ただ、本人がバラして欲しくなさそうなので黙っていただけだった。
しかし、王女がこの街に出入りしているせいで婚約破棄されたと言う事実を伝え、王女はこの街で悪いことをしているわけではないと訴えてほしいとお願いするとすぐにみんな協力してくれた。結果、貧民街以外の街の中でも王女の人気が非常に高まったのである。
それでも平民と貴族の間には情報の分断がある。平民の間で噂になってもなかなか貴族にまでは伝わりにくい。
貴族の間に話を伝えるべく取った方法はこうだ。
貧民街で行なっている子供達の教育を他の孤児院などで横展開させたのだ。そして、その方法を「ベアトリスメソッド」と名付けた。孤児院には貴族のご婦人や令嬢が慰問に訪れる。その時に「ベアトリスメソッド」と共にベアトリス王女の名が良いように広まるという算段だ。
いきなり多くの孤児院に横展開するのは難しいので、とりあえず、社交界で大きな影響力を持つボルソナーロ侯爵夫人が慰問で訪れる教会からスタートさせた。
結果、数ヶ月後には見事にベアトリスの名誉は挽回することができた。
午前中に教会に行った後、王女について学園に入った。久しぶりの学舎はとても懐かしかった。
授業時間になり王女が真面目に授業を受けているのを見届けるとホセは懐かしい校舎を眺めてウロウロしていた。
「ベンボーリオ君じゃないか。そんな格好をしてどうしたんだね?もう騎士は辞めたのかい?」
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街に行く時は身分がバレたくないという王女の希望でホセは平民のような格好をしていた。
「いえ、王女の護衛です。幸いにもまだ騎士を続けております。」
「そうか。騎士は楽しいかね?」
ホセはその時まで楽しいかどうかなど考えたことがなかった。しかし、まだ年若いと言うのに色々と任せてもらえることも王女の護衛として街で子供たちに色々教えるのも楽しかった。
世の中を斜めに見ていた男は、いつの間にか真っ直ぐ前を向いていた。
「そうですね。楽しいです。」
ホセは迷いなくそう答えた。
ホセの回答が意外だったのか先生は少し驚いた後、ニコッと笑って「それは結構。ベンボーリオ君は良い風に変わりましたな。」と言い、肩を叩いて去っていった。
良い風に変わったか・・・そうかもしれないな。
ホセはその言葉がストンと心に落ちてきたのを感じた。
放課後になり、王女を迎えに行く。
王女は婚約者の青年の背中を見ていた。そして青年は銀髪の美少女と見つめ合い笑い合って生徒会室に入っていった。
一連の行動を見てホセは王女の気持ちも婚約者の青年の気持ちも理解してしまった。そして、王女が青年に心がありながら、言い訳しなかった理由も。
王女はなんと気高く、健気なのだろう。
ホセはこの時、自分だけは最後まで彼女を守り続けなければという強い想いを抱いた。しかしそれが護衛としての想いを逸脱したものである、ということにはまだ気付いていなかった。
その一ヶ月後、王女と青年との婚約は解消された。
王女が自ら解消を言い出さなかったのは青年の立場を慮ると同時に、最後の最後まで彼を信じたかったからだろう。
婚約が解消された翌日、辛いはずなのに明るく気丈に振る舞う様子はホセの胸を締め付けた。
教会から学園に向かう途中、ホセは思い切って声をかけた。
「今日は午後も学園をサボりませんか?」
「え?・・・でも。」
「お叱りなら俺が受けます。イグナシオの丘に行きましょう。とても景色が綺麗なんです。」
ホセは王女の手を握るとぐいぐい引っ張って丘まで連れてきた。ホセは怖くて王女の顔を見れなかったが、丘からの景色を見た王女は「わー」と歓声を上げた。
「すごく綺麗な景色だわ。ありがとうホセ。」
丘からは町が一望できるようになっている。
「これで、貴女が少しでも元気ななってくれれば良いんだけど。」
ホセはそう言って鼻の頭をポリポリとかいた。
「婚約者のこと、愛していらしたんでしょう?」
ホセがそう言うと王女はおどろいた顔をしてホセをみつめた。そして、
「ここではただのベアトリスなんだから敬語は使わないで。」
と言った。
その表情は固かった。
王女は景色を見つめながらぽつりと呟いた。
「ずっと好きだったの。幼い頃から。でも彼が私にそう言う気持ちを抱いていないことは知っていたわ。それでも良いと思っていたの。彼女と会うまでは。」
固かった表情はいつしか泣きそうな表情に変わっていた。ホセは王女をそれ以上傷つけたくなくて
「分かっています。だからこれ以上は・・・」
と言ったが、王女は首を振った。
「いいえ、今ここで全てを出し切りたいわ。」
王女は震える声で続けた。
「彼が彼女を愛していることにすぐに気付いたわ。そして、彼女が彼を愛していることにも。私、どうもそう言うことに気付くのは早いのよ。自分のそう言うところを恨んだわ。」
彼女は大きく深呼吸する。
「私、彼のことが好きだったの。だから、彼に瑕疵が出来ないようにうまく行動したつもり。私、頑張ったでしょう?」
そう言ってホセを見上げた王女の目からは大粒の涙がとめどなく流れていた。ホセは王女を抱きしめて「頑張りましたね」と言いながら赤ちゃんをあやすようにぽんぽんと背中をたたいた。
王女はホセの胸の中で泣き疲れて眠ってしまった。ここ数日、眠れていなかったのかもしれない。
ホセは王女をお姫様抱っこすると、街馬車を拾い王宮に帰った。そして、王宮に着くと再びお姫様抱っこをして王女の部屋まで運んだ。
ホセは心の中で「一生、貴女をお守りします」とつぶやいた。
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ホセは王女の行動の中で一つだけ許せないところがあった。それは婚約者に瑕疵をつけないため、自ら瑕疵を被ったところだ。学園をサボったのは少し悪い事ではあるが、咎められるようなものではない。
王女の行動は貧民への救済や孤児院の慰問と同じように褒められる事のはずである。ホセは王女の名誉をなんとか回復できないか、と考えた。
一番早いのは王女自らがちゃんと否定してくれることだが、王女は婚約者のためにそれはしないだろう。
となると他の誰かに否定してもらう必要がある。ホセはいくつかのルートで否定してもらうことを企んだ。
一つは子供たちとや貧民街の市民に口コミで広めてもらう方法だ。王女は自分の身分がバレていないと思っていたが、王族は家族の肖像画が毎年公開されるため街の人たちにはバレバレだった。ただ、本人がバラして欲しくなさそうなので黙っていただけだった。
しかし、王女がこの街に出入りしているせいで婚約破棄されたと言う事実を伝え、王女はこの街で悪いことをしているわけではないと訴えてほしいとお願いするとすぐにみんな協力してくれた。結果、貧民街以外の街の中でも王女の人気が非常に高まったのである。
それでも平民と貴族の間には情報の分断がある。平民の間で噂になってもなかなか貴族にまでは伝わりにくい。
貴族の間に話を伝えるべく取った方法はこうだ。
貧民街で行なっている子供達の教育を他の孤児院などで横展開させたのだ。そして、その方法を「ベアトリスメソッド」と名付けた。孤児院には貴族のご婦人や令嬢が慰問に訪れる。その時に「ベアトリスメソッド」と共にベアトリス王女の名が良いように広まるという算段だ。
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