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6. 悪役令嬢とヒロイン
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ロビンが居なくなっても自分に話しかけてくれる人など居なかった。
当たり前と言えば当たり前だだった。
自分はこれまでロビンにずっとひどい態度を取っていたし、そのせいで他の生徒からは敬遠されていた。
いつの間にか悪役令嬢などという不名誉な名前までついてしまった。
悪役令嬢と言うのは今ちまたで流行っている人気小説の悪役の総称らしい。だいたいはヒロインと言われる健気な女の子をいじめるそうだ。
私が悪役令嬢ならヒロインはあの方ね。だから私があの方をいじめているなんて噂が立ったのかしら。そう思っているとヒロインであるハーミアが横からぶつかってきた。
しかし、これまで剣術で鍛えているティターニアはビクともしなかった。
「いったーい。ティターニア様何なさるんですかぁ?」
そう言って上目遣いでティターニアをながめてくる。
こういうのが庇護欲をそそると言うのだな、と思いながらハーミアに手を伸ばす。
「申し訳ありません。少し考え事をしていて周りの様子を伺っておりませんでしたわ。」
しかし、ハーミアはティターニアの手を払い除けた。
「ひどいっ!いくらハーミアのことが嫌いだからってぶたなくてもいいじゃない!」
「えっ!?」
何言ってるの?そう思った時には既にハーミアのペースだった。
「学園だけじゃなく、社交界でもいじめるんですか・・・」
ハーミアが涙を流す。
ティターニアがどう反応していいか考えていると、後ろから声がした。ヘレナ・ディミートリアス侯爵令嬢だった。これまでの人生ではどの人生でも友人だった。
「ハーミア嬢どうなさったのですか?わたくしずっと見ておりましたけれど、ティターニア様はあなたのことをぶったりしておりませんわよね?」
「えっ!?見てたって?」
ハーミアが驚いている。わたしも驚いた。
「えぇ、学園で非公式に婚約破棄宣言をされたとはいえお二人の婚約は継続されておりますもの。ティターニア様が妃としてロビン殿下の寵愛をお受けになるかどうか、貴族としては判断する必要がありましてよ。だからお二人の様子を観察しておりましたの。」
なるほど、私がお飾りの妃になるなら、側妃を娶る可能性があるものね。だから観察していたと・・・
「きっと、わたくし以外にも多くの方がお二人の様子を観察していたと思いますわ。」
「なっ!そんな!」
「それで、どうですの?ハーミア・ライサンダー男爵令嬢、何故ティターニア様に嘘の罪をなすりつけようとなさるのです?」
「嘘の罪なんて・・・」
「この様子じゃあなたがティターニア様にいじめられたと言っていた話も本当かどうか怪しいですわね。」
「それは本当です!本当に私いじめられてて・・・」
「でも、いじめられてた人からいじめている人に近付くかしら?」
「それは・・・」
ハーミアが言い淀んだ時にロビンが戻ってきた。
「何の騒ぎだい?」
「ロビン様ぁ、ティターニア様がハーミアのこといじめてきますのー」
そう言ってハーミアはロビンに縋り付く。
すると、ロビンは眉を上げた。
「本当かい?」
「本当ですぅ」
うるうるとした目でロビンを見る。
「ロビン殿下、発言よろしいでしょうか?わたくし、ティターニア様をずっと見ておりましたが、ハーミア嬢をいじめるような態度はございませんでしたわ。」
「そうか、ヘレナ嬢ありがとう。ハーミア、どうなんだい?」
「それは・・・」
ハーミアが言い淀むとヘレナが付け加えた。
「学園でのいじめ騒動も本当にあった事なのか怪しいと思いますわ。ティターニア様の名誉のためにも今一度、再調査をなさった方がよろしいと思います。」
「あぁ、それは・・・」
ロビンが何かを発言しようとした時、ハーミアが大声でロビンの発言をぶった斬った。
「学園では本当にいじめられておりました!」
それを聞いてロビンは可哀想な子を見る目でハーミアを見る。
「嘘はよくないよ、ハーミア」
「嘘じゃないもん」
「ティターニアがもし本当に君をいじめていたのなら、妃として相応しくない。でも、ティターニアが君をいじめてるなんて事実はなかったから、婚約破棄は出来ないと父上に言われたよ。」
「えぇ?」
ハーミアの形相がどんどん鬼のようになって行く。
「あぁ、ティターニアにはね、俺の婚約者として監視がずっとついているんだよ。だから、ティターニアが君に何もしていないと言うことは王宮には筒抜けだったのさ。」
「でも、前はハーミアのこと信じて婚約破棄までしてくれたじゃない!」
「あの時は俺も浅慮だった。そのせいで俺は出来損ないのレッテルを貼られた。だから今から挽回する必要があるんだよ。残念ながら嘘つきの君に付き合っている余裕はないんだよ。君にはきちんと言ったよね。俺はティターニアとやり直したいからもう会わないって。」
「そんなの、一方的に言われて納得できるわけないじゃない!」
そう言われてロビンは少し困った顔をした。
「君が納得してようとしてまいと、関係ないんだよ。」
当たり前と言えば当たり前だだった。
自分はこれまでロビンにずっとひどい態度を取っていたし、そのせいで他の生徒からは敬遠されていた。
いつの間にか悪役令嬢などという不名誉な名前までついてしまった。
悪役令嬢と言うのは今ちまたで流行っている人気小説の悪役の総称らしい。だいたいはヒロインと言われる健気な女の子をいじめるそうだ。
私が悪役令嬢ならヒロインはあの方ね。だから私があの方をいじめているなんて噂が立ったのかしら。そう思っているとヒロインであるハーミアが横からぶつかってきた。
しかし、これまで剣術で鍛えているティターニアはビクともしなかった。
「いったーい。ティターニア様何なさるんですかぁ?」
そう言って上目遣いでティターニアをながめてくる。
こういうのが庇護欲をそそると言うのだな、と思いながらハーミアに手を伸ばす。
「申し訳ありません。少し考え事をしていて周りの様子を伺っておりませんでしたわ。」
しかし、ハーミアはティターニアの手を払い除けた。
「ひどいっ!いくらハーミアのことが嫌いだからってぶたなくてもいいじゃない!」
「えっ!?」
何言ってるの?そう思った時には既にハーミアのペースだった。
「学園だけじゃなく、社交界でもいじめるんですか・・・」
ハーミアが涙を流す。
ティターニアがどう反応していいか考えていると、後ろから声がした。ヘレナ・ディミートリアス侯爵令嬢だった。これまでの人生ではどの人生でも友人だった。
「ハーミア嬢どうなさったのですか?わたくしずっと見ておりましたけれど、ティターニア様はあなたのことをぶったりしておりませんわよね?」
「えっ!?見てたって?」
ハーミアが驚いている。わたしも驚いた。
「えぇ、学園で非公式に婚約破棄宣言をされたとはいえお二人の婚約は継続されておりますもの。ティターニア様が妃としてロビン殿下の寵愛をお受けになるかどうか、貴族としては判断する必要がありましてよ。だからお二人の様子を観察しておりましたの。」
なるほど、私がお飾りの妃になるなら、側妃を娶る可能性があるものね。だから観察していたと・・・
「きっと、わたくし以外にも多くの方がお二人の様子を観察していたと思いますわ。」
「なっ!そんな!」
「それで、どうですの?ハーミア・ライサンダー男爵令嬢、何故ティターニア様に嘘の罪をなすりつけようとなさるのです?」
「嘘の罪なんて・・・」
「この様子じゃあなたがティターニア様にいじめられたと言っていた話も本当かどうか怪しいですわね。」
「それは本当です!本当に私いじめられてて・・・」
「でも、いじめられてた人からいじめている人に近付くかしら?」
「それは・・・」
ハーミアが言い淀んだ時にロビンが戻ってきた。
「何の騒ぎだい?」
「ロビン様ぁ、ティターニア様がハーミアのこといじめてきますのー」
そう言ってハーミアはロビンに縋り付く。
すると、ロビンは眉を上げた。
「本当かい?」
「本当ですぅ」
うるうるとした目でロビンを見る。
「ロビン殿下、発言よろしいでしょうか?わたくし、ティターニア様をずっと見ておりましたが、ハーミア嬢をいじめるような態度はございませんでしたわ。」
「そうか、ヘレナ嬢ありがとう。ハーミア、どうなんだい?」
「それは・・・」
ハーミアが言い淀むとヘレナが付け加えた。
「学園でのいじめ騒動も本当にあった事なのか怪しいと思いますわ。ティターニア様の名誉のためにも今一度、再調査をなさった方がよろしいと思います。」
「あぁ、それは・・・」
ロビンが何かを発言しようとした時、ハーミアが大声でロビンの発言をぶった斬った。
「学園では本当にいじめられておりました!」
それを聞いてロビンは可哀想な子を見る目でハーミアを見る。
「嘘はよくないよ、ハーミア」
「嘘じゃないもん」
「ティターニアがもし本当に君をいじめていたのなら、妃として相応しくない。でも、ティターニアが君をいじめてるなんて事実はなかったから、婚約破棄は出来ないと父上に言われたよ。」
「えぇ?」
ハーミアの形相がどんどん鬼のようになって行く。
「あぁ、ティターニアにはね、俺の婚約者として監視がずっとついているんだよ。だから、ティターニアが君に何もしていないと言うことは王宮には筒抜けだったのさ。」
「でも、前はハーミアのこと信じて婚約破棄までしてくれたじゃない!」
「あの時は俺も浅慮だった。そのせいで俺は出来損ないのレッテルを貼られた。だから今から挽回する必要があるんだよ。残念ながら嘘つきの君に付き合っている余裕はないんだよ。君にはきちんと言ったよね。俺はティターニアとやり直したいからもう会わないって。」
「そんなの、一方的に言われて納得できるわけないじゃない!」
そう言われてロビンは少し困った顔をした。
「君が納得してようとしてまいと、関係ないんだよ。」
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