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視察旅行〜スターク国〜 アンソニーside
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視察旅行は当然スターク国内から始まる。
はじめの視察先は国の直轄地にある葡萄畑とワイン工場だった。
責任者は王弟夫妻。直轄地で、ここではあまり利益を追求しなくて良い為、品種改良などの研究が積極的に行われている。
「こっちの品種は冷害に強いが葉虫に弱い。こっちは葉虫に強いが味がイマイチで、こっちは味はピカイチだが一株になる実の数が少ない。」
王弟であるサミュエル叔父の話を聞きながら葡萄畑を進む。サミュエルは少し研究馬鹿なところがあって、王弟で客をもてなす日だと言うのにツナギで現れた。
マーガレットはそんなサミュエルに嫌な顔一つせず、熱心に話に耳を傾ける。ときどき質問もしている。サミュエルはそんな彼女を気に入ったらしく、より饒舌になった。
「あっちでワインの味比べもしてもらおう。」
そう言ってワインセラーまで案内する。
少しマーガレットの顔色が曇ったような気がした。
「ワイン苦手なの?」
アンソニーが聞くと
「わかりません。ロジャースではアルコールは二十歳になるまで禁止なので飲んだことがないんです。」
と答えた。
「へぇ。そうなんだ?」
「初めて飲むのでどのくらいで酔っ払うか加減がわからなくて。」
それで心配だったのだと言う。
不安そうな顔をしたマーガレットに、アンソニーは妹が居たらこんな感じだったのだろうな、と思った。
「大丈夫だよ。酔ったら私が抱えて連れて帰ってあげるから。」
「まぁ!トニー様にそんな・・・そうならないように注意します。」
ワインセラーまでの道は王宮の庭園とは違う自然のままの素敵な散歩道になっていた。道は簡単に舗装されているが凸凹していてドレスのまま歩くのは大変だろう。
アンソニーはマーガレットがこけないよう充分に注意して歩いた。
ワインセラーの入り口でサミュエル叔父が振り返った。
「兄上に君たちの仲を見てくれと言われていたけれど、大丈夫そうだね。」
扉を開けて二人に先に入るように促す。
「父上が・・・?」
「あぁ、そうだよ。不思議じゃなかったかい?ロジャースに行く時にはわざわざこっちに来なくてもウィンザーの方から回ったほうが近いだろう?俺がお目付役だったって訳さ。」
二人はどうやらサミュエルによる仲良しテストに合格したらしい。
「まぁ、旅行では普段見えない一面も見えて来るから、仲が良かった者同士が喧嘩をすることもあるし、逆に絆が深くなることもある。君たちにとってこの旅行はどう作用するだろうかね。」
ワインの試飲のためにゴブレットにワインを注ぎながらサミュエルが言った。アンソニーは普段見えない一面どころかマーガレットについて何も知らないから新発見しかないな、と思った。
スターク国内での視察は滞りなく過ぎていった。
マーガレットは視察先に行くたびに沢山のことを質問する。その質問がかなり芯をくったもので、マーガレットの理解力と対応力は賞賛に値すると思った。
ヴァージニアは軍需工場や鉱山などは興味がない。そう言う場所ではあまり質問もせずニコニコ笑っているだけのことが多かった。だからどのような場所でも興味を持ち、自らの言葉で質問をするマーガレットは流石、元王女だけのことはあるな、と思った。
移動中の馬車の中で興味のないものはないのか、と尋ねた。
「私の関心は民の幸福です。そのために国の産業がどうなっているのか、それを伸ばすためにはどうすればいいのか、ということには興味があります。視察で訪れる場所はそういう場所が多いので自然と興味を持ってしまいます。」
そう言って前を見据えるマーガレットはとても大人びて見えた。
はじめの視察先は国の直轄地にある葡萄畑とワイン工場だった。
責任者は王弟夫妻。直轄地で、ここではあまり利益を追求しなくて良い為、品種改良などの研究が積極的に行われている。
「こっちの品種は冷害に強いが葉虫に弱い。こっちは葉虫に強いが味がイマイチで、こっちは味はピカイチだが一株になる実の数が少ない。」
王弟であるサミュエル叔父の話を聞きながら葡萄畑を進む。サミュエルは少し研究馬鹿なところがあって、王弟で客をもてなす日だと言うのにツナギで現れた。
マーガレットはそんなサミュエルに嫌な顔一つせず、熱心に話に耳を傾ける。ときどき質問もしている。サミュエルはそんな彼女を気に入ったらしく、より饒舌になった。
「あっちでワインの味比べもしてもらおう。」
そう言ってワインセラーまで案内する。
少しマーガレットの顔色が曇ったような気がした。
「ワイン苦手なの?」
アンソニーが聞くと
「わかりません。ロジャースではアルコールは二十歳になるまで禁止なので飲んだことがないんです。」
と答えた。
「へぇ。そうなんだ?」
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それで心配だったのだと言う。
不安そうな顔をしたマーガレットに、アンソニーは妹が居たらこんな感じだったのだろうな、と思った。
「大丈夫だよ。酔ったら私が抱えて連れて帰ってあげるから。」
「まぁ!トニー様にそんな・・・そうならないように注意します。」
ワインセラーまでの道は王宮の庭園とは違う自然のままの素敵な散歩道になっていた。道は簡単に舗装されているが凸凹していてドレスのまま歩くのは大変だろう。
アンソニーはマーガレットがこけないよう充分に注意して歩いた。
ワインセラーの入り口でサミュエル叔父が振り返った。
「兄上に君たちの仲を見てくれと言われていたけれど、大丈夫そうだね。」
扉を開けて二人に先に入るように促す。
「父上が・・・?」
「あぁ、そうだよ。不思議じゃなかったかい?ロジャースに行く時にはわざわざこっちに来なくてもウィンザーの方から回ったほうが近いだろう?俺がお目付役だったって訳さ。」
二人はどうやらサミュエルによる仲良しテストに合格したらしい。
「まぁ、旅行では普段見えない一面も見えて来るから、仲が良かった者同士が喧嘩をすることもあるし、逆に絆が深くなることもある。君たちにとってこの旅行はどう作用するだろうかね。」
ワインの試飲のためにゴブレットにワインを注ぎながらサミュエルが言った。アンソニーは普段見えない一面どころかマーガレットについて何も知らないから新発見しかないな、と思った。
スターク国内での視察は滞りなく過ぎていった。
マーガレットは視察先に行くたびに沢山のことを質問する。その質問がかなり芯をくったもので、マーガレットの理解力と対応力は賞賛に値すると思った。
ヴァージニアは軍需工場や鉱山などは興味がない。そう言う場所ではあまり質問もせずニコニコ笑っているだけのことが多かった。だからどのような場所でも興味を持ち、自らの言葉で質問をするマーガレットは流石、元王女だけのことはあるな、と思った。
移動中の馬車の中で興味のないものはないのか、と尋ねた。
「私の関心は民の幸福です。そのために国の産業がどうなっているのか、それを伸ばすためにはどうすればいいのか、ということには興味があります。視察で訪れる場所はそういう場所が多いので自然と興味を持ってしまいます。」
そう言って前を見据えるマーガレットはとても大人びて見えた。
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