借り暮らししてたらいつの間にかイケメンに捕まってました

人間×小人

人間の友達ができました

「かわいい...」

「....は？？？」

「君かわいいね。名前は？」

捕まって握り潰されるのかと震えていたら、僕に視線を合わせるよう若干屈んでにっこりと笑いながら拍子抜けするような質問をしてきた男は、近くで見てもやっぱりイケメンだった。

「なぎさ」

「へ～なぎさって言うの？名前まで可愛い...僕は優榴すぐる」

“可愛い、かわいい”と連呼している目の前の人間の反応が自分の想像とかけ離れていたのでビックリしていると、彼がゆっくりと僕の前に手の平を出してきた。
自分を握り潰そうとせず目の前で待機しているその手に、何だろうとじっと見つめているとにっこりと笑い返される。

「上に乗って。あっちで話そう？
大丈夫、取って食ったりしないから」

巨人を目の前にして反抗出来るわけもなくさっきよりは震えの収まった身体を叩き動かして大きくて線の細い綺麗な手の上に乗ると、彼がいつも座っているベッドの上のテーブルに連れていかれる。

ギシリ、と音を立ててベッドに座った男すぐるが僕のいるテーブルに頬杖をついてジッとこっちを見つめてくるもんだから自然と正座になると、男すぐるはフッと笑った。

「僕、なぎさと仲良くなりたいな」

「仲良く...？」

「そう、仲良く。いつもいつも暇だからさ、話し相手が欲しかったんだ。ダメかな？」

「暇？いつもぱそこん見てるよね？」

「え、僕のこと知ってるの！？嬉しいなぁ。パソコンで遊ぶしかやることがないだけだよ。ね、なぎさは人間に興味ない？」

「うーん、興味あるけど...
　僕のこと食べない？」

「(食べちゃいたいくらい可愛いけど)食べないよ」

「じゃあ優榴と友達になりたい！」　

こうして小人の僕にカッコいい人間の友達ができたのだった。